一般道路の制限速度は標識がなければ60km/hとなっているが、
これが一定の要件を満たせば30km/hとなる制度変更を考えているらしい。
生活道路、法定速度30キロ 中央線ない区間 警察庁方針 (朝日新聞デジタル)
しばらくたって図示した記事が出てきてイメージがつかみやすくなった?
(有料記事なので図以外はほぼ見えないかもしれないが)
生活道路と言っているが、これはあいまいな言い方である。
具体的には中央線・中央分離帯のない道路に適用することを考えているとのこと。
優先道路の規定に「中央線又は車両通行帯が設けられている道路」という用語があるが、イメージとしてはこれに近いのだと思う。
車両通行帯が設けられている=2車線以上あるという意味で、これはよい。
ある程度の幅がある道路には中央線を標示して、その左側を通行するように求めている。
とはいえ、必須ではないし、中央線の標示がなくても幅12m以上あれば、
中央より左が6m以上あるのではみ出し禁止である。(そんな道路はほぼないだろうが)
あとは中央分離帯、これも通常は片側2車線以上(=車両通行帯あり)だが、
稀に片側1車線で中央分離帯がある道路も存在する。
道路交通法には中央分離帯という概念がないように思えるので、うまく書かないといけないかも。
2012年から「ゾーン30」という考えが多くの地域で取り入れられている。
うちの近所もそうなんだけど幹線道路から入ったところはゾーン30になっている。
(30)[区域ここから]という標識と「ゾーン30」と書いた標識と、路面にも「ゾーン30」と標示を行っている。
東京都ではゾーン30という標識を付けているが、これは法定外の標識で、
他の地域では(30)[区域ここから]だけではないかと思う。
路面の「ゾーン30」は他の地域でもよくみられるものではないか。
ゾーン30は効果的ではあるが、全ての境界部にゾーン30の標識を置くのが負担であると。
どうもそこが問題視されているように見えた。
というのも同時期にこんなニュースも流れたためである。
横断歩道の白線間隔、45→90センチ 車からの見え方「問題なし」 (朝日新聞デジタル)
横断歩道の白線の間隔を倍に広げること、「止まれ」標識がある場合に「横断歩道」標識を省略できること、
どちらも安全面に問題はないだろうとの判断で、それは正しいと思うが。
ただ、標識2枚、白線3本とか、そういうのをケチる話を言っている中で、
ゾーン30を導入するには幹線道路との交差点すべてに、
最高速度標識2枚(出口に[区域ここまで]の標識が必要なため)、路面に「ゾーン30」という標示と、
ゾーン30の導入には金銭的な問題もあるというのは想像できる。
東京都はお金持ちだから「ゾーン30」という標識まで付けているけど。
というわけで一定の要件を満たす道路の制限速度を30km/hにするのは、
ゾーン30は標識・標示に金がかかって仕方がないという事情もありそうと。
ゾーン30に関連して元々中央線があった道路の中央線を消すことも行われている。
中央線のない道路=30km/h規制という考えは実態に合っているのだろう。
これが導入されるとほとんどの道路は30km/h規制となると言える。
それ以外の幹線道路は60km/h制限が原則とはいえ、
実際には40km/hとか50km/hとかに規制していることも多い。
そう。元々幹線道路の方が速度規制は充実しているぐらいである。
60km/h制限が適用される区間は全体にしては一部と言えるようになるかもしれない。
ただ、中央線・車両通行帯・中央分離帯もないが幹線道路というのは存在する。
それが山間部で行われている「1.5車線的道路整備」である。
1.5車線的道路整備 ~地域の実情に応じた道づくりへ~ (新潟県)
本来は国道・県道などの幹線道路は2車線以上で整備するべきである。
しかし、元々道幅を大きく広げて2車線確保するのは金も時間もかかる。
通行量が少ない前提で、主な区間は現道の幅が狭かったり、見通しの悪い部分を広げる程度に留め、
待避所を設置して対向車と適宜行き違えるようにすることとする。
こうすれば1車線道路でも幹線道路としての役目が果たせるという考えである。
もちろん30km/h以外の最高速度を指示する標識を付ければよく、
山間部の1車線道路は道路構造令で言うところの第3種第5級に相当する。
(通常は国道・県道には適用されないクラスである)
このような道路の設計速度は40, 30, 20km/hと記載されているので、
安全に走行できるのはせいぜい40km/hと考えられる。
なので元々40km/h規制があってもいいぐらいで、すでに存在すればそれでよい。
その中で集落内を走行する区間とかは30km/h制限が適するかもしれない。
元々規制標識なし(60km/h制限)は不適切なので、今から着手するべきように思う。
山間部の幹線道路というのは、市街地・集落部の生活道路よりは限られてるだろうから。
例外的なケースはあると思うが、概ね感覚としては合っている気がする。
理解しやすさという点でも中央線・車両通行帯・中央分離帯の有無というのはよい気がする。
もしも例外的なケースであれば、それは追加で標識を置けばいいだけのこと。
とはいえ、追加で置かれる標識が(60)である可能性はほぼなく、あるとしても(40)ではないかと思う。
元々片側1車線を確保できていない道路は50km/h以上での走行には適しないだろう。
そしてこの制度が定着すればゾーン30に関わる標識・標示もなくなるのだろう。
短命な制度でしたねと後に言われることになるのかもしれない。
1992年まで存在した高速車・中速車・低速車の区分に由来する「40高中」の標示みたいな話か。
今回の制度変更案はゾーン30の効果が評価された結果である可能性はあるので、その点では重要な足跡かもしれない。