東京都の隣の山梨県

東京都から最も近い山梨県と言われて上野原かな? と思いがちだが、

甲州街道ルートでは神奈川県相模原市(相模湖・藤野)を挟んでいる。

よく地図を見てみると東京都と山梨県は直接接している。

その東京都と直接接する山梨県として知られているのが丹波山村・小菅村である。

ふと思い立って、東京都に隣接する山梨県に向かうことにした。


というわけでバイクを畳んで奥多摩方面の電車に乗る。

ハイキングなどの野外活動に出かける人が多いようで、青梅まででもいろいろ降りていく。

奥多摩行きの電車は青梅で乗換だが、4両編成の車内はけっこうな混雑。

本当にいろいろな駅でハイキング客らしきが降りていく。ネタが豊富である。

終点の奥多摩駅に到着したらバイクを組み立てて、国道411号線を走って行く。

とにかくバイクが多い。ただ、原付一種には遭遇しなかった。原付一種が自走するには遠いのだろう。

自転車もちらほらいる。同じ電車にも自転車を畳んで運んでいる人はいた。

上り坂がきつい自転車は抜くが、逆に速い自転車に抜かれることもあった。

そんな20km/hの旅である。急坂では速度が保てなくなることはあるが。


怖いのがトンネルである。歩道もなければ路側帯も狭い。そして割と暗い。

トンネル区間が多いことは事前に把握していて、昼間だがイエローベストを着て走っていて、

そのうえライト常時点灯なわけで、他の車に見つけてもらう分には申し分ないはず。

他の車との関係を考えれば路側帯に入らない程度に左端を走るが、

その狭い路側帯を歩く歩行者にはなかなか気づきにくく、途中で発見して間隔を取ったり……

トンネルは本当に怖かった。歩行者が皆無とは言えない道でこれはきつい。


そんなのでだいぶ標高を上げたらダムが見えてきた。

これが小河内ダム、ダム湖は一般的には奥多摩湖と呼ばれている。

詳しいことは後で紹介するが、丹波山村へは湖岸をひた走る。

急カーブが多いので注意深く走って行く。速い車にたくさん抜かれるが、実は30km/h制限である。

絶対にそんな速度ではないと思うのだが……

小菅村方面との分岐点を過ぎると車の数はだいぶ減って、割とゆったり。

まだダム湖が続く中、山梨県のカントリーサインが見えて、丹波山村に入る。


丹波山村に入ると登山者用の駐車場がなんとかとかそんな看板が目立つ。

車の数が減ったこともあって、だいぶのどかな雰囲気である。

丹波山村で目的地にしたのは 道の駅たばやま で都県界から8kmとある。

ここまで走ってきた距離を考えればもう少しという感じだが、だいぶ坂がきつい。

電池も消耗していることもあり、速度維持がなかなか難しくなってくる。

川もダム湖の景色から渓谷に移り変わってくる。国道よりだいぶ下に集落が見えて驚く。

なお、この川は丹波川と書かれているが、多摩川の本川である。

キャンプ場の看板が見えて、やはり野外活動が盛んな地域であるなと思う。


坂道での電池消耗は激しく、目的地に到着する前に電池切れ。本日25km地点で電池交換。

帰りはそんなに消耗しないだろうけどとは思いつつも、片道持たないのかと。

丹波山村に入ってからが想像以上にタフだったと、目的地の道の駅に到着。

バイクがたくさんいたので、ナンバープレートを見て回っていたが、

多くは「多摩」や「足立」など東京都の地名の軽自動車・小型自動車のナンバープレートだった。

四輪もそんな感じだな。山梨って車もいたけど少数派である。

原付二種もそんなになくて、原付一種は自分以外に2人、いるにはいるのか。

当たり前の事ながら原付一種でも特定原付なんてのは自分だけである。


ところで丹波山村というのは他の山梨県とのバス便のない村である。

丹波山村・小菅村はともに奥多摩駅からのバスがメインの交通手段である。

小菅村については国道139号線の松姫トンネルの開通後に大月へのバスが設定されるようになったが、

丹波山村についてはそういうものもなく、バスは奥多摩への路線が唯一である。

ただ、他の山梨県との往来ができないわけではない。国道411号線は甲州市(塩山)に通じているからである。

国道411号線の丹波山村前後の区間は大菩薩峠経由の青梅街道の代替ルートとして作られた。

青梅街道ルートならば武蔵~甲斐が1回の峠越えで済むのでニーズがあったが、

明治になって大菩薩峠には車道が通せないと、柳沢峠経由のルートを新設されたのだという。

現代では高速道路の通る甲州街道ルートが圧倒的だが、中央道の渋滞を回避して使われることもあるという。


道の駅で昼食を食べて、来た道を帰っていく。

帰りは下り坂が多いかと思ったが、丹波山村内はアップダウンが多く、上りもそれなり。

このバイクはエンジンブレーキというか発電ブレーキが存在しないので、

下り坂はブレーキに注意しながら走って行く必要がある。

山梨県内では側溝に蓋がないので、端に寄りすぎないように注意深く下がっていく。

奥多摩湖が見えてきたら東京都に戻ってきて、側溝に蓋があるので少し安心。

ただ、交通量も増えてきて、歩行者も皆無とはいえず、特にトンネルは怖い。


往路はスルーしてきたが、ダム付近で国道を逸れると「奥多摩水と緑のふれあい館」がある。

そもそも小河内ダムは東京都水道局の管理するダムで主に水道用水のためのダムである。

というわけでこの施設は東京都水道局のPR施設という意味合いが強い。

ペットボトルに「東京水」を汲める機械もあったので、空きペットボトルに冷たい水道水を入れて水分補給。

奥多摩の歴史・民俗の展示室もあり、なぜここに都県界があるかという理由も紹介されていた。

戦国時代、青梅の三田氏と甲斐の武田氏が均衡したところが武蔵・甲斐の国境になったのだという。

かつて大菩薩峠経由の青梅街道が重要ルートだったからこそこうなったのだろう。

ただ、今となっては……という話はあり、実は丹波山村・小菅村は奥多摩町に合併の申し入れを行ったことがある。

奥多摩町に拒絶されて実現されなかったそうだが、山梨県であることにこれといった合理性はない。


水道事業の展示ではまず水道水源林の紹介がある。

実は東京都水道局は奥多摩町・丹波山村・小菅村・甲州市で林業をしているのである。

奥多摩湖への土砂流入を防ぎ、貯水量を確保し続けるという目的があるのだという。

荒廃した山を回復させるのがスタート地点だったのだろうが、

水没地からの転出や産業構造の変化により林業の担い手がいなくなる中で、

小河内ダム上流のかなり広範囲の山林を水道局が管理しているのだという。

林業といっても木材の生産が主目的ではないので広葉樹主体だが、木材生産も行っている。


そんなので小河内ダムの堤体を歩き、展望塔から眺め……とやっていた。

ちなみにダム湖の正式名称は小河内貯水池らしい。あまり見ない名前だが。

ダムの水は水力発電をして多摩川に流される。

水力発電所は東京都交通局の施設らしい。東京市電気局の名残か。

羽村取水堰でくみ上げられ、羽村浄水場で使われるか、村山貯水池(多摩湖)や山口貯水池(狭山湖)に引き込まれる。

そこにいったん蓄えられたあとに、東村山浄水場・境浄水場で使われるというフローである。

限られた水源をフル活用するべくこんなことをしているようだ。


ここから奥多摩駅までは下りが続き、速度が出るので慎重に進んでいく。

ただ、電池の消耗ってのは少ないですね。往路は片道持たなかったが、帰りはまだまだ余裕。

とはいえあまり余裕ぶっこいても危ないわけで、奥多摩駅で畳んで電車に乗って帰路についた。

奥多摩駅では空いてたが、だんだん人が増えてきて、御嶽駅で吊革が埋まるぐらいには人が乗ってきた。

青梅駅からは10両編成なのでだいぶ和らぎますけどね。