原付二種を識別するか一般原付を識別するか

道路を走っているとバイクの後ろについた三角マークが気になる。

あれ何なんだろう? と思ったら、昔からの通達に従って原付二種に付けている識別マークだそうで、

前の泥よけの端にU字状のシールを貼り、後ろの泥よけに三角マークを描くことで、

原付一種と識別を容易にしたという経緯があるそうだ。


ただ、輸入車には付いていないことも多いし、剥がれてしまったり、剥がしてしまったものも多い。

実際のところ、現在の制度ではナンバープレートの色で識別可能で、

二輪の原付一種は白色、原付二種は桃色または黄色で全国的に統一されている。

昔はナンバープレートの色で識別するという方法がうまくいかなかったので、

こういう識別手段をメーカーに用意させたと見ているが、明確なところはわからない。


ところでニュースでもたびたび話題になっているが、

排気量50cc以下のバイクは排ガス規制のため生産中止になることが決まっている。

従来の原付一種の定義にあたる車は、定格出力0.6kW以下の電動車しか作られなくなることを意味している。

電動バイクならば特に問題ないんですけどね。特定原付もこの範囲で作られている。

原付二種はエンジン車も製造できるが、運転には普通自動二輪免許(小型限定)が必要である。

このため排気量125cc以下で最大出力を4kWに制限したバイク道路交通法上、一般原付として扱うルールができる予定である。


最近、道路交通法施行規則の改正案のパブリックコメントが始まったようだが、

その内容を見ると新たに一般原付に含まれる車の定義は

二輪のもののうち、構造上出すことができる最高出力が4.00kW以下の原動機を有するものにあっては、総排気量0.125L以下

ということで二輪車に限り緩和されるということになる。

原付って当然二輪でしょ? と言うかもしれないけど、下記のものも一般原付に含む。

  • 輪距500mm未満の三輪車 : 排気量50cc(定格出力0.6kW)以下
  • それ以外 : 排気量20cc(定格出力0.25kW)以下 (そんな車存在するのか?)

ただ、これらの定義は変更にならないようなので、エンジン車で一般原付扱いの三輪車は製造されなくなるように読める。


ちょっと変な気がしたのだが、これは現状の原付二種の定義が二輪に限定されているためで、

排気量50cc(定格出力0.6kW)以下であれば、様々な車が道路運送車両法上の原付に該当する。

道路交通法上、普通自動車として扱われるミニカーもここに該当する。

このグループを原付一種というので、原付一種には特定原付もミニカーも含む。

しかし、それを超過すると道路運送車両法上の原付として認められるのは排気量125cc(定格出力1.0kW)以下の二輪(側車付きを除く)のみである。

このグループを原付二種というが、原付二種は必ず二輪ということになる。

三輪以上の場合は50ccを超えた時点で道路運送車両法上の軽自動車となる。


一般原付の定義拡張の対象が二輪に限られるのは、すでに存在する原付二種を出力制限して作る想定だからで、

現在の原付一種のエンジンを置き換えて作ることは想定していないからではないかと思う。

道路運送車両法上は出力制限して一般原付扱いになる車は原付一種として扱う予定だという。

(このためナンバープレートの色も引き続き白色となる見込みである)

ということは来年4月以降の新車で三輪以上の車で道路運送車両法上の原付になるのは電動車に限られるのではないか。


歴史的経緯から原付二種を特別扱いして識別マークを付けてきたが、

今後はエンジン車では出力制限を加える原付一種の方が特別ということになる。

エンジンは同じでも出力制限を解除すると区分が変わってしまうわけで、

改造を困難にする仕組みや識別方法をどうするかというところが問題である。

こうなってくると、原付二種マークよりも原付一種マークの方が必要に思える。

このあたりどうするんでしょうね?


排ガス規制問題に対する答えがここになるまでにはいろいろな経緯があって、

普通自動二輪免許(小型限定)の取得を容易化することも検討されたが、

最高速度60km/hの乗り物にはそれなりの技量が必要と劇的な変化はなかった。

原付の30km/h制限が実際に守られているかは疑問だが、よりどころとしては大きいようだ。

電動化というのもあるが、原付一種クラスでは航続距離30km程度が実情で、

なかなか現在の一般原付の用途を全て代替するのは難しいところもある。

それで出力制限した原付二種を一般原付として扱う結論に至ったようだ。


ちなみに道路交通法上の一般原付は 二輪または輪距500mm未満の三輪 に実質的に限られているが、

特定原付については普通自転車サイズであれば車輪の数の規定はない。

このため四輪の特定原付は認められるし、すでに存在しているようだ。

四輪の特定原付は20km/h出せるシニアカーのような使われ方をするのではないか。

四輪の原付一種(新車は電動に限られる)には 特定原付 と ミニカー が考えられ、

前者は標識で言うところの「自転車」「軽車両」で16歳以上なら免許不要、

後者は標識で言うところの「自動車」で四輪の免許が必要とかなり極端である。