セレクトセールで馬を買うクラブ

昨日投稿しようと思って忘れてたんだけど。

昨日・今日とサラブレッドのセリ市、セレクトセールが行われていた。

平均落札価格6470万円という恐ろしいセリである。高すぎる。

でも日本競馬の賞金水準は高いですからね。

その中で大きな夢を持てる馬が集まるとこんなことになるんだろうなぁって。


そんなセレクトセールの昨日、1歳セッションの速報を見ていて気になるものが。

それはキャロットクラブがノーザンファーム生産馬を4頭買っていたこと。

キャロットクラブはクラブ馬主のキャロットファーム所属馬の所有者である。

このクラブはノーザンファームと経営が一体化していると考えられている。

ノーザンファーム生産馬に対してクラブ会員の出資を募り、

(特に牝馬の)引退後の権利についてはノーザンファームに帰属する形である。

牧場にとっては引退後の権利を留保しつつ、クラブ会員の出資金という形で馬代金を回収できるというメリットがある。

ノーザンファームが手放したくない馬がやってくる先の1つがキャロットクラブである。というのが定説である。


にもかかわらず、わざわざ牧場・クラブ間の取引をセールで行うと。

このような取引は過去にも発生しているのだが、基本的には主取りを回避するためだと言われている。

このようなセリ市では入札が入らなかった場合は販売者が落札することが慣例となっている。

(入札が入った場合でも、リザーブ価格以下であれば販売者が落札してよい)

ここで販売者が落札する代わり、クラブに落札させたという考えである。


確かに主取りでも手数料はかかる。それでも販売手数料の半額である。

なので主取りしてクラブに売却する方がお得なはずなんですよね。

セリに出品するのは牧場としても高く売りたいという考えがあるからだろうし、

その中でクラブ所有馬にしたければ、セリで買えと牧場に言われたのかもしれない。

ほとんど競らずに決まるものが多いが、そこそこ競ったものもある。

キャンプロックの2022 は4600万円で落札という金額を見てもわかる通り。

クラブとしてはかなり価値を見いだしていたということなのだろうか。


クラブ馬主という点では他に特徴的だったのがDMM.com(DMMバヌーシー)だった。

DMMは特定の牧場と関係を持たないクラブなので、セリ市は重要な調達手段である。

それで買ったのが1歳は牝馬2頭、当歳は牝馬4頭・牡馬1頭と、ほぼ牝馬。

あまりに牝馬ばかり買うものだから「牧場でも作るのか?」と言われる始末。

他に確保した馬と合わせればクラブ全体としては牡馬・牝馬のバランスは悪くないようで、

あくまでもセレクトセールの購入馬が牝馬に偏ったというだけらしい。

ただ、ここにはやはりいろいろな戦略があるんじゃないかという話で、

セレクトセールでよい馬を買おうとすると、牡馬はあまりに高すぎると。

それに比べれば牝馬は安いし、引退後に繁殖馬としての期待も持ちやすい。

牡馬については関連会社所有の繁殖牝馬の子と牧場での庭先取引を中心に獲得すると。

折しも当歳牡馬ではラヴズオンリーユーの初子がいるわけですよね。

このようなことができるのも、ラヴズオンリーユーがセレクトセールで購入した牝馬であったからこそである。


セレクトセールといえば、アドマイヤビルゴのことを考えてしまう。

アドマイヤビルゴは2017年のセレクトセール当歳で5.8億円(本体)で取引された馬である。

セレクトセール歴代2位の高額取引である。

リステッド2勝で獲得賞金はおよそ1億2800万円、まだ現役ですね。

JRAでOPクラスになるような馬も、1億円稼ぐ馬もそうそういない。

本当に立派な馬だと思うけど、取引価格に目を向けると全然見合ってない! となってしまう。

でも、他の3億円以上で取引された馬を見てみるとアドマイヤビルゴの活躍ってずば抜けてすごいんだよね。

超高額馬は走らないというジンクスをアドマイヤビルゴは部分的に塗り替えたと思うが、

やはりこれで満足してよいわけはなく、G1ウイナーが出てほしいよね。

この前デビュー勝ちしたダノンエアズロック(モシーンの2021)には期待したい。

高い馬を買って活躍馬を種牡馬にする

小型特殊自動車は自動車だが

昨日、通行止め標識の話を書いたが、それに関連してこんな話がある。

運転免許の試験問題にもあるらしいんだけど、

Q. 小型特殊自動車は、自動車専用道路を通行することができる。

A. 正

ただし実務的にはかなり困難である。一体これはなんなんでしょうね?


「自動車・歩行者専用」には3つの意味があるという話を書いた。

歩行者専用+自転車を除くの意味

歩道に付けられるものを別としても道路交通法の規定によるものと、道路法の規定によるものの2種類がある。

前者は普通自転車に該当しないタンデム車などが除かれている。

ここが明確ではないので東京都では「歩行者専用」+「自転車を除く」を多用していると書いた。


「自動車専用」の定義は「高速自動車国道又は自動車専用道路であること。」とシンプルな記載。

そして、この高速自動車国道・自動車専用道路は道路法で規定されている。

自動車専用道路の定義も「自動車のみの一般交通の用に供する道路」とシンプル。

高速自動車国道の定義は高速自動車国道法を参照しているが「自動車の高速交通の用に供する道路で――」とある。

問題はここでいう「自動車」は道路運送車両法で言う自動車であること。

道路運送車両法と道路交通法では用語がいろいろ違うので大変なのだ。


道路運送車両法には 自動車・原動機付自転車・軽車両 の3区分がある。

自動車は 普通自動車・小型自動車・軽自動車・大型特殊自動車・小型特殊自動車 に分類される。

車両の登録・検査・届出はこの区分で行う。

道路交通法では車両を 自動車・原動機付自転車・軽車両・トロリーバス に4区分している。

自動車は 大型自動車・中型自動車・準中型自動車・普通自動車・大型特殊自動車・大型自動二輪車・普通自動二輪車・小型特殊自動車 に分類される。

運転免許や各種の通行規制はこの区分で行われるのだが、

「自動車専用」の標識は道路運送車両法に基づく区分が使われるので少し合わないと。

具体的には排気量125cc以下の二輪車とミニカーは道路運送車両法の原動機付自転車に該当するため「自動車専用」の標識があるところを走れない。


小型特殊自動車についてはどちらの区分でも「自動車」となるため、

「自動車専用」のところを走るのは定義上問題なさそうに見える。

ただ、ここには2つ問題があって、まず2つの法律で小型特殊自動車の意味が異なること。

道路交通法の小型特殊自動車は15km/h以上の速度が出なくて、高さ2.0m以下のものを指す。

電動キックボードが実証実験中だったときはこの区分でやっていた。

この範囲であればペーパーテストだけで取れる小型特殊自動車免許、あるいは普通自動車免許などがあれば走行できる。

一方、道路運送車両法の小型特殊自動車は農耕作業用自動車はサイズ制限なし、速度も35km/hまでなら出てもよい。

それ以外の場合は道路交通法に比べて高さ制限が2.8m以下に緩和されている。

でも道路交通法の小型特殊自動車の範囲を超えると、公道では大型特殊自動車の免許が必要になる。

農耕作業用だとサイズ制限がなく、速度制限が緩いので、これに該当するケースがある。


実際のところ、小型特殊自動車というのは公道を走らない車も多い。

それでも軽自動車税の課税対象にはなるので届出して課税標識(ナンバープレート)を付けないといけない。

でも、道路運送車両法の小型特殊自動車の範囲であれば、車検は不要で市町村への届出のみ。

軽自動車税も全体的に安めの設定にはなっている。


さて、話は戻って小型特殊自動車のもう1つの問題。

小型特殊自動車は「自動車」に該当するが、基本的には15km/h以下でしか走行できず、

農耕作業用で道路交通法で大型特殊に該当するものでも35km/hまでである。

ここで問題になってくるのが最低速度の規制である。

「自動車専用」の標識に「高速自動車国道」の補助標識が付くと、

他の標識で指示しない限り、最高速度100km/h(大貨等・三輪・けん引は80km/h)、最低速度50km/hとなる。

ただし対面通行区間や本線以外では最低速度の規制はない。

このため小型特殊自動車は高速自動車国道を走行することはできない。

大型特殊自動車も最高速度49km/hの自主規制があるので、実質走行できない。


最低速度規制だけが問題なので、最低速度のない「自動車専用道路」は小型特殊自動車も走行できるということになる。

例えば、首都高速道路がそうで、料金区分には小型特殊自動車が「軽自動車等」に該当するという記載もある。

でも、いくら最低速度規制がないといってもそれは困難でしょう。

一方で伊勢湾岸自動車道の名港トリトン区間など、高速自動車国道ではないが、

高速自動車国道と同様に最低速度規制が設けられた区間もある。

そういう場合は小型特殊自動車は走行できない。

インターチェンジには最低速度規制の予告標識があるので判断可能みたい。


世の中には自動車専用道路に近いが、この標識を使わない道路がある。

新神戸トンネルは 歩行者通行止め、自転車・軽車両通行止め、二輪車通行止め+「原付」の3枚の標識が付けられている。

(この他、長大トンネルのため 危険物積載車両通行止め の標識もある)

これは歩行者・自転車・軽車両と二輪車のうち原付が通行できないことを表す。

自動車専用との違いは2点、ミニカーと原付二種が通行可能であること。

阪神高速では唯一「軽車両等」の料金区分が設定されている。(料金は50円)

そして二輪車の2人乗りの規制が一般道と同じであること。

原付二種が走行可能というのが差異のほとんどですね。

六甲山地では通行手段が限られることもあってかこういう規制になっている。

原付一種(30km/h制限)がダメで、小型特殊自動車(15km/h制限)がOKってのはどうも納得いかないが。

同様に交通手段が限られる 関門国道トンネル も同様の規制になっている。

排気量50cc以下の原付や自転車は関門海峡を自走できないが、料金(20円)を払った上で人道の押し歩きは認められている。

そして小型特殊自動車はやはり車道を走行できる。人道通すわけにはいかないのはそうですが。

歩行者専用+自転車を除くの意味

地域により道路標識の使い方にも特徴があるが、

東京都では「歩行者専用」の標識に「自転車を除く」と付いたものがある。

この標識、最初に見たときは意味不明だったのだが、単純には歩行者と自転車が通れるという意味である。

それ「自転車・歩行者専用」じゃないの? と思うのだが、理由があるらしい。


道路標識について定めた法令は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」という。

この命令の書き出しは「道路法第四十五条第二項及び道路交通法第九条第三項の規定に基づき」となっている。

この2つの法律には考え方に差がある部分がいくつかある。

実はそれがよく現れているのが「自動車・歩行者専用」標識である。

この命令ではこの標識の意味を3つ規定している。

  1. 道路法第四十八条の十四第二項に規定する自転車歩行者専用道路であること。
  2. 道路交通法第八条第一項の道路標識により、特定小型原動機付自転車及び自転車以外の車両の通行を禁止すること。
  3. 道路交通法第十七条の二第一項及び第六十三条の四第一項第一号の道路標識により、特例特定小型原動機付自転車及び普通自転車が歩道を通行することができることとすること。

同じ標識で3つの意味があるという厄介な標識である。

3番目の自転車が通行可能な歩道を示す意味で使われるのが数としては多い。

歩道に設置されるという点では他の2つと明らかに違うので区別は容易である。


問題は1番目と2番目の意味で、これはどちらも道路全体が対象となる。

根拠となる法律の違いはさておき、意味はあまり変わらないのでは? と思うが少し違うらしい。

前の条文で「自転車」は自転車道を通行してはならないものを除くとなっていて、

特定原付対応の改正以前は「普通自転車」という表記になっていた。

すなわち2番目に書いた意味で付けられた標識は普通自転車以外の自転車は通行できないことを表している。

一方、1番目の意味で、すなわち道路法の規定により付けられた標識は必ずしもそうとはいえない。

道路法の規定では「自転車・歩行者専用道路」は「もつぱら自転車及び歩行者の一般交通の用に供する道路」を表す。

ここで言う自転車には普通自転車に該当しない自転車を含む。

なので3人乗りのベロタクシーとか、2人乗りのタンデム車も走行可能らしい。


というわけで多くの地域では意味の異なる3つの標識が混在している。

しかし、東京都ではさっきの2番目の意味でこの標識を使わず、

その代わりに「歩行者専用」+「自転車を除く」を使っているのだという。

そもそも歩行者専用から自転車を除くという意味がわからないが、

実はこの標識は赤丸に×の「通行止め」標識のバリエーションの1つである。

通行止め標識があれば車両・歩行者ともに通行できないことを表す。

「歩行者専用」は歩行者以外通行止めの意味で、その通行止め対象から「自転車」を除いているわけである。

そして、補助標識の「自転車」とは普通自転車+特定原付の意味なので、

結果としては「自転車・歩行者専用」の1番目の意味と同じになるということらしい。

すなわちタンデム車やベロタクシーは通行止め対象ということである。


この記載では明確ではないが、警察庁の資料を見ると、「自転車・歩行者専用」の2番目の意味であっても特定原付は通行可能らしい。

というか、この標識が付いた道路は特定原付は通行可なんですね。

前に特例特定原付(歩道モード)に限って通行可の意味だと書いたけど、違ったんですね。

このときも警察庁の同じ資料を見て書いたつもりだったんだけど……

あとでこれに合わない記載には抹線を引いておく。


通行止め標識のバリエーションとして理解すればわからなくもないけど、

正直なところ、「歩行者専用」+「自転車を除く」は理解しにくい。

しかも特定原付は「自転車」に含むので、ここに最高速度20km/hで突っ込んでくるわけだよね。

ちょっと標識のイメージとは合わないよね。

ただ、ただの通行止め標識のバリエーションと言えない面もある。

それは道路交通法の「歩行者用道路」の規定である。

歩行者は歩道・路側帯がない道路では端(原則右側)に寄って歩くルールがある。

「歩行者の通行の安全と円滑を図るため車両の通行が禁止されていることが道路標識等により表示されている道路」ではこれに従わなくてよい。

このため「歩行者専用」の標識がある道路は真ん中を歩いてもよい。

通学路の安全のために付けられることも多い標識だが、そういう意味もある。

「○○を除く」と示されたり、許可を受けて通行する車両には歩行者に注意して徐行する義務がある。

この点では「自転車・歩行者専用」より強い意味のある標識となっている。

東京都で「歩行者専用」+「自転車を除く」が使われることには歩行者最優先を示す意味もあるらしい。

だから、確かに特定原付は最高速度20km/hで通行可能ではあるけれど、

歩行者に注意して徐行するため、結果としてこのスピードは出せない可能性はある。


調べてみると東京都以外でもこういう使い方はあるみたいで、

この前北九州にいたときにも「歩行者専用」+「軽車両を除く」を見た。

軽車両を除くなので、普通自転車以外の自転車や荷車も通行できる。

なので「自転車・歩行者専用」の自転車を明確化するという意味は無い。

「自転車・歩行者専用」+「軽車両を除く」でも通行できる車両は明確だし。

なので、この組み合わせによる効果は 歩行者最優先 を示すことだけ。

一方で何でもかんでも「自転車・歩行者専用」だけで済ませる地域もある。

僕が知る限りでは大阪府がこの考えでやっていて、お初天神通すら「自転車・歩行者専用」だけ。

そうかと思えばお隣の兵庫県では「歩行者専用」+「○○を除く」ばかり使うらしい。

ActivityPubはなにものか?

先日、Twitterで一時的に厳しい閲覧数の制限が行われた。

現在はだいぶ緩和されたようだが、なくなったわけではない。

長らくAPI制限や広告の回避手段として使われていたTweetDeckも有料会員限りとなり。

そうはいってもなかなか有料会員が増えている話も聞かないのが実情である。


そんな中でMeta社がThreadsという新しいサービスを始めた。

同社の運営するInstagramを文字だけでも利用できるようなサービスらしい。

といっても、Instagramとアカウントは共通でも、投稿内容は別立てだが。

そして、このThreadsは今後、ActivityPubに対応しMastodonなどのfediverseプラットフォームと接続できるようになると記載がある。

まだ実現されてはいないがそのように宣言されている。


というわけでActivityPubの話である。

さっきfediverseという言葉が出てきたがfederation+universeを表す言葉で、

これも正直よくわかんない言葉なのだが、分散型SNSとほぼ同義である。

Webサービス同士を相互接続することによりサービスの枠を超えてコミュニケーションが取れる仕組みを表している。

これを実現するためのシステムとして中心になっているのがActivityPubだと。

というわけでちょっと実験してみた。


ActivityPubに対応したシステムとしてはMastodonとMisskeyがよく知られている。

MastodonもMisskeyもシステムの名前でそれを使ったサービスは多数ある。

そんな中で僕はPawooというMastodonのインスタンスに登録した。

Pawooは2017年にPixivにより開設され、現在は別会社に譲渡されている。

イラスト投稿サイトのPixivとの関係から絵の投稿が盛んである。

絵の投稿が多く、その内容についてタブーが少ないがために、他のMastodonインスタンスから「鎖国」されるという事件もあった。

その自由度の高さからTwitterで凍結されたユーザーが集まったりしていたとか。

最近はそこまで人気はないかもしれないが、肌には合う気がする。


そのPawooだが、他のActivityPubを採用したサービスのユーザーをフォローできる。

misskey.io にアカウントを持っている知り合いがいたのでフォローしてみたが、

ユーザー検索で @xxxxxxx@misskey.io のように検索してフォローボタンを押すだけ。

ActivityPubは新規に追加された投稿などを送信する仕組みである。

なので他のサービスでの投稿は最近受信したものだけがPawooで表示される。

過去の投稿については投稿者の利用しているサイトで見る必要がある。

投稿に対して返信したり、ブースト(TwitterのReTweetと同じ意味)したり、お気に入りに入れたり出来る。

サービスの垣根を越えて通知・拡散できる仕組みである。


もっともMisskeyの場合、任意の絵文字でレスポンスができるが、Mastodonでは1種類しかないので、

Misskeyでどの絵文字を付けてもMastodonでは同じお気に入りにしか見えないし、

Mastodonでお気に入りにすると、Misskeyではハートマークに変換して表示される。

Misskey同士であれば絵文字を使ったコミュニケーションは通じるが、ActivityPubとして一般に通じるものではない。


ActivityPubに対応したサービスを自分で作ることも可能である。

MastodonやMisskeyをダウンロードして自分のサーバーにインストールできるし、

それ以外の仕組みも考えられて、例えばWordPressのActivityPubプラグインなんてのもある。

これを使えばWordPressの更新内容をフォロワーのタイムラインに流せると。

試してみたが、ちょっと難しい面はあるのだが、確かにできた。

ActivityPub対応のサービスを自営することで特定のサービスに依存しない情報発信ができる。

公的機関などが使う可能性もあるかもしれない。


ただ、一方でこのような仕組みを金に出来るかというのは疑問もある。

Twitterが収益性という面でずっと課題を抱えているというのは知られているが、

それでもTwitterは今起きている様々なことが一箇所に集まることに価値があった。

そのような場だからこそ企業・公的機関の情報発信などに役立てられてきたわけである。

Twitter依存への反省から分散型SNSの流れが出てきたわけだが、分散してはTwitterが持っていたような一箇所に集まることの価値はない。


そんな中でMeta社のThreadsは何を狙っているのかということである。

今はInstagramの投稿を見るためにはInstagramのサイトで見ることになり、

そうすると広告であったりフォローしていない人の投稿も混ざって見せられる。

この構造はThreadも似たようなものだという。

今後ThreadsがActivityPubに対応すれば、Threadsの投稿はThreadsにアクセスせずとも見られるようになる。

逆にThreadsの利用者がThreads以外の投稿を見ることもできるわけだが。

単純には言えないが、Threadsにとって通信リソースばかり食って得るものがないという結果も想定されるところである。

これではMeta社にとっては面白くないので、何らかThreadsへの囲い込みを図るのではないか。

そしたらfediverseというお題目はないがしろにされるのではないか? という懸念はある。


あと、Twitterと比べてMastodon、Misskey、Threadsで共通して弱いのが検索機能である。

これらのサービスの検索はタグ検索しか備えていない。(Threadsは投稿内容の検索機能自体がまだない)

Twitterであれば言葉を調べて、それについてどういう話題があるか見ることができる。

Twitterには世界中の今起きていることが蓄積されているのでとても意味が大きい。

そもそも分散型SNSはサービスごとに投稿データは違うので全てを検索はできない。

(他サービスから受信した投稿データも検索には含まれるとはいえ)

その上で投稿に付けられたタグをもとにした検索しかサポートしないことが多い。

ここはやっぱりTwitterが圧倒的なんだよなと思う。


というわけでやはりTwitterは他に代えがたいというのが実情である。

ただ、ActivityPubという技術自体は面白いところはあるし、

例えばこれでInstagramの投稿をPawooに流せるとかなればそれはそれでうれしい。

問題はそれが金になりそうなビジョンがないということである。

Meta社が金にならないことをやるとは思えませんから何かあるんでしょう。

バスに乗る前に平常展に

京都の宿は九条通近く、この辺は京都駅から歩ける距離ということで宿が多い。

この九条通に近いというのは観光客にとってもよいところである。

なぜならば東山通方面のバスが頻発しているから。

というわけでチェックアウトして207系統に乗ると観光客が目立った。

今熊野あたりで四条方面へ向かう地元住民が乗ってきて、僕は東山七条で下車。


平常展のために建てたはずの平成知新館は、明治古都館の耐震性問題で特別展をやっている期間は平常展を止めなければならない状態が続いている。

そのような事情もあり平常展が貴重になっている京博である。

3月には特別展の準備のため半分ほど閉鎖しての開催だった。

1日券で京都を北から東へ

「本当に焼き物の展示がないということで、それではこの博物館の魅力も半減ぐらいありそう」なんて書いたが。

しかし今日は茶碗がたくさん展示されていて、これには大満足。

あとは「新収品展」ということで、これもなかなか機会がなかったんだろうな。

ちょっと驚いたのは大正時代の日本画が収蔵されていたこと。

東京国立博物館と東京国立近代美術館には1907年(第1回文展)を境に所蔵品を移管し合った経緯がある。

これは他館には関係ない話だから、京都国立近代美術館は明治以前の作品もある、

これは気づいていたけど、その逆が京博にあるとはまさか。

何らかの意図があり寄贈を受けたんだろうけど、この博物館には新しすぎる作品で違和感があった。

日本画なんていうのは明確な切れ目がわからない分野でしょうがね。


そんなこんなで京博のコレクションを楽しんだところでちょうどいい時間。

11時頃には早めの昼食、そして京阪電車で藤森駅へ。

名神の深草バス停に向かって歩いて行く。案内がかなり充実している。

前に竹田から歩いたときは突然バス停が登場するような感じだったのに。

グラン昼特急(といっても1階の4列シート)で東京まで。

グラン昼特急の最終便が12時すぎに京都発なので慌ただしいけど、

こういう動き方もできなくはないのでやってみた。

キャンペーン合わせで買った小説をタブレットで読みながらゆったりかえったのだった。

最新鋭フェリーで行く大阪・奈良・京都

別府から大阪までの さんふらわあむらさき はありとあらゆるものがデカくて、

トイレで「デケぇ」と連呼する人がいて、自分が出したのがデカかったのか?

とでも思ったら、トイレを出たところで同行者と「トイレがデカくてびっくりした」なんて言っていて、洗面所含めて大きいのはその通り。

風呂も広くて、脱衣所や洗面所もゆったりしている。夜間は閉鎖されるがその間に使えるシャワールームも備えている。


確かにこの船、瀬戸内海を航行する定期船としては最大クラスである。

2016年に乗った さんふらわああいぼり より大きいのは当然だが、

大洗~苫小牧で使われている さんふらわあさっぽろ/ふらの よりもさらに大きい。

同じ商船三井とあって構造的には似ている部分が多々ある。

一方で乗船時間の差かいらないと判断された設備もあるようで、ゲームコーナー・サウナ・洗濯機はない。

あとツーリスト(いわゆる雑魚寝)は全廃されたが、制度上の相部屋はけっこうある。

今回利用したプライベートベッドはいかにも相部屋だが……

プライベートシングル、プライベートツイン、グループ和室は大部屋をカーテンで区切ったもの。なので貴重品は室内に置けない。

よく見たらグループ和室ってツーリストをグループ単位で区切ったものか。

プライベートベッドグループは4人でプライベートベッドの1室を貸し切れるもの。

前の船で4人部屋のツーリストベッドはグループ利用が基本だったのを継承している。

グループ単位で使うという意味では個室だが、構造的には大部屋と同じである。

まぁ本格的な個室もかなりあるのはその通りで、1人用のスーペリアシングルも30室あるのでビジネス利用もけっこう考えてるのかね?

(1人用の個室としてはドライバールームもそうで、繁忙期には売るみたい)


この船、QRコードでそのまま乗船できるので乗船手続きもいらない。

部屋の鍵もQRコードで画面のコードを見せれば……というがどうも反応が悪い。

船内に「QRキー再発行」と書かれた装置があるので、ここに画面のQRコードを呈示すると印字されたカードが出てくる。

これだとだいぶ通りやすくなったが、それでも反応は少し遅い。QRコードは難しい。

これが唯一の難点かなぁ。でも鍵どころかカードキーの受け渡しもいらないのは楽ですよね。


さて、そんなこんなで大阪港に到着して、電車で都心へ。

朝食を食べて、次の目的地に行こうにもちょっと早すぎる。

というわけで、少し時間調整をしようと思ったが、どうしたもんか。

と思ったらコワーキングスペースらしきものがあり、利用料もそこそこ。

こういうとき役立つんですね。ネットカフェも高そうだったので助かった。


さて、靱公園を経てやってきたのは中之島の国立国際美術館、いつもの。

特別展の「ホーム・スイート・ホーム」はテーマ性はよくわからなかったが、

なんか音がしてるなと思ったら、作品の構成要素に「サウンドインスタレーション」と書かれていて音まで作品だったとか、

映像が組み込まれていたり、もちろん映像作品もあった。

学びということで言えばコレクション展の方が大きかったかなぁ。

現代美術も新旧あるけど、時間が経てばもはや現代とは言えないのでは? なんて思いがよぎったけど、これは正統とは言えんなと作られた作品は変わらないね。

と、今ではすっかり普通になった漫画的なモチーフから描かれた1990年代の作品を見て思った。

ヨーロッパ中心の美術史に反旗を翻すような作品もそういう類なのかも。


中之島を出て、奈良公園へ。

そして奈良博に近づいたところで特別展「南山城」が来週からのことに気づいた。

これは素で勘違いしていた。やってしまった……会期中には多分もう来ないだろうし。

……東京で見ますか。あ、そうそう東博に巡回してくるんですよ。

そんな展示替え中の奈良博も本館(なら仏像館)だけは開館していてけっこう賑わっているようだった。

彫刻以外の平常展展示があるときと値段が変わらないのは納得いかないが、

やはり仏像だけでも学ぶべきところは多いですよね。特に外国人の観光客にとっては。

まぁ奈良に来てしまったものは仕方ないのでいろいろ見て回っていた。

昨日は野生のサルを見て、今日は野生のシカですか。


宿は京都で、雨が土砂降りになって水たまりを踏んで残念。

宿はトイレ・風呂共用になっていて、それはそれでいいんだけど、

ちょっと戸惑ったのが机の上に洗面台が鎮座していたこと。PCで作業するのもこの洗面台の乗っている机ですかい。

ただ、そういえばこれと似たようなものを見たなと。

さんふらわあくれない/むらさき のドライバールーム(スタンダードシングル)ですね。

机の半分以上を洗面台が占めるという考えようによってはだいぶ不便な構造。

そこまでして洗面台いるのかなぁとかちょっと考えてしまう。

身支度に使うものだし、別途洗面台を用意するよりは部屋ごとに用意した方がということなんだろうか?

コンパクトにならないものかとおもったけど、そうすると使いにくいか?


ともあれ明日で旅行は最終日。

帰っても夏休みはまだ少し残ってるけど、それはそれなりに。

野生のサルと海獣のショー

九州滞在は今日まで。というわけで鉄輪温泉をバスで出て向かうは別府港。

鉄輪から別大経由のバス(血の池地獄経由ほどではないが別府駅へは若干遠回り)で春木橋下車、

すぐ先には今日の宿となる さんふらわあむらさき が停泊していた。

ターミナルのロッカーに荷物を預けるために来たんですね。

なんとロッカーは無料(コイン返却式)である。弾丸フェリーの人にはありがたい?

フェリー乗換が想定される便はターミナル内に入るが、この便は特にそうではないので。


ここに寄ったことにはもう1つ理由があった。

それは次の目的地、高崎山へ向かう大分行きのバスと乗換ができるから。

大分~別府間には大分交通のバスが1時間2本程度走っている。

別府市内では亀の井バスが多いが、大分交通も走っている。

この大分~別府のバスは別府港周辺も通るのだが、なんで通るんでしょうね?

待ち時間で調べてみたが、どうも大分~国東のバスかその区間便が来るみたいですね。

で、実は 大分~別府駅~鉄輪温泉 というバスも他に比べると少ないがあって、

時刻表をよく見れば鉄輪から高崎山に直行できなくもなかったと。

ただし、大分交通の鉄輪温泉バス停は亀の井バスの鉄輪バス停とは別なのだけど。

まぁ身軽になったしこれはこれでいいでしょう。


そんなわけでJRの線路とほぼ平行に走り、大分市に入ってすぐ高崎山に到着。

大分市ではあるのだが別府市街からの方が近い。あと線路からは近いが駅と駅の間ぐらい。

立派な歩道橋が目に入るが、これを渡って「高崎山自然動物園」へ。

名前は動物園となっているが、動物園じゃないんじゃないかなぁ。

というのもこれは野生のニホンザルを餌付けして観察できるようにしている施設だから。


この施設ができた背景にはサルによる農作物の被害が大きかったことがあるという。

サルを駆除することは難しく、それならばサルをコントロールしようと。

そうしてサル寄せ場にエサを撒いて、サルを集めて観光客に見学してもらうことを考えた。

その後、高崎山は国立公園、当地のサルは天然記念物に指定されている。

高崎山のサル同士の関係性はニュースでも報じられることがしばしばあり、ボス猿の交代が判明すれば就任式が行われるほど。

高崎山で判明したサル社会の実情は様々あるという。


というわけで入園料を払って入るが、追加料金を払ってモノレールで上がる人が多いようで、

歩いてサル寄せ場に向かうのは自分ぐらいだった。これぐらい歩けばいいのに。

サル寄せ場に近づくと路上にサルがいた。ロープで区切られたところとは無関係にいる。

後で気付いたけどロープってのは人間よけなんですよね。

ただ、坂がきついのでゆっくり歩きながら観察していたら飛びかかってきて、

後で掃除していた人にいわれたのだが、目が合うと襲ってくることがあると。要注意だね。


高崎山はB群とC群の2つの群れを時間差で誘導して観察できるようにしている。

午前中はC群の時間のようで、B群がそろそろ来るかもと言っていたが滞在中には来なかった。

サルの群れについて観察しながら誘導している人がいるみたいですね。

あとは30分に1回、小麦の粒を撒いて、すると一時的にサルは密集する。

が、エサを集めたら散っていく。サルが集まるといざこざが絶えないので自主的に分散していくらしい。

ともあれ、こんな風にしていればサル寄せ場周辺でサルを観察できるわけだ。

このエサを撒くスタッフが常にサルの暮らしを解説しているので勉強になると。

今は出産シーズンのため、お腹に貼り付いている赤ちゃんが見られる。

もう少し経つと「おさるの保育園」と書かれているジャングルジムなどで赤ちゃんを遊ばせるようになるという。(これを「保育園に預けに来る」と言っていた)


ところでこの高崎山のサル寄せ場には「本堂建設用地」という柱がある。

実はこの高崎山自然動物園は寺の敷地で、それで寺っぽい建物があると。

本来は万寿寺(大分市街にある)別院の用地で、寺の住職の協力も得てサルの餌付けをしていたと。

その後、本堂建設のためサル寄せ場を閉鎖する話もあったらしいが、そうはならず現在まで続いているという。

実際、ここって寺として使えてるんですかね?


道路を挟んだ反対には自然動物園の展示・ショップの入居する「おさる館」と、

そして「うみたまご」という水族館がある。せっかくなのでそちらにも。

水族館というのは地域性のある博物館だと思っていて、やはり大分となれば豊後水道ですよね。

一番大きな回遊水槽は豊後水道を表していて、温暖な雰囲気を感じる。

「おいしそう」とかいう感想を言っている人もいたが、そういう面はありますよね。


でもやっぱり注力分野は海獣なんですかね。

ちょうどショーということで、平日のショーは「お稽古タイム」ということになっている。

休日よりは挑戦的なことをやっているようだ。

しかし、こういうのは大切で、ショーというのは動物の運動の場であるとともにエンリッチメントの場でもあるわけだよね。

ショーとしてみれば無様でもこういう挑戦を重ねることが動物園での暮らしを豊かにしてくれるということでしょうよ。

平日は平日で学校の遠足とかが多いんですけどね。今日は幼稚園の遠足らしかったが。


というわけで時刻表を見て別府方面のバスに乗り、港近くで下車。

ここで買い物など用事を済ませてさんふらわあターミナルへ向かう。

別府交通センターという土産物など買える店があって、すぐ横には宇和島運輸のフェリー乗り場があり、

もともとここの隣が大阪行きのフェリー乗り場だが、隣と言っても船のサイズからするとけっこうあった。

しかし、新造船は乗降口の都合かさらに隣に新ターミナルを作ることになり、

そうすると交通センターからは本当に遠い。しかもターミナルには何も店はないからね。

一方で新ターミナルは徒歩で出入りすることがわりと想定されていて、周辺の歩道、敷地内の歩行者通路はよく整備されている。

多くのフェリーターミナルで歩行者は軽視されがちだが、市街地にあり客船時代からの歴史のあるここは違うね。


時間になるとエレベータで乗船口に上がって乗り込む。

乗って思ったのはデカイということ。そりゃ さんふらわああいぼり より大きくなったんだから当然だが。

というわけでこれで大阪までビュンと。


そういえば書き忘れたなと気づいたから今書くけど、

今回の旅行で関東から九州まで新幹線・飛行機とともにもう1つ船という案はあった。

それは東京九州フェリー(横須賀~北九州)ですね。21時間は船にしては速い。

値段も安かったので検討はしたのだが結局は使わなかった。

九州向きに使うと夜着なので北九州で1泊となりそこでロスしてしまう。

帰りならよいが、関西を先にすると他の都合が悪く、九州を船で去るなら関西行きでもよかったから。

結局は新幹線が速いことにとても価値があったということだね。

地獄のさまざまな使い方

今回の別府滞在では鉄輪に宿泊している。

安かったというのもあるし、鉄輪温泉ってのはいいなと思ったのもある。

熱いぞ別府

2016年に別府に来たとき、地獄めぐりをしたので、地獄の大半が集まる鉄輪には当然来ていると。


そんな宿の風呂が白く濁って遠目には青っぽく見えるのを、

最初は何の気なしに入っていたけど、よく考えるとこれ海地獄と同じですね。

もちろん地獄のような熱湯ではないが……と思ったけど源泉は98℃で、これをなんとか冷やして人が入れる温度にしているらしい。ほぼ地獄でしたね。

というわけで地獄めぐりではないが、地獄を意識して過ごした。


しかし、今日はあいにくの雨である。どうしたもんかねぇと鉄輪を歩く。

歩いていると「足むし」と書いたものがある。

足を入れて温泉の蒸気で温めることができるという。

10~15分が目安ですよというけど、足だけでもじっとり汗をかく。


足を蒸したら今度は食材を蒸すということで「地獄蒸し工房」へ。

地獄蒸しの体験というが、食材を買って蒸し器にセットして15分待って取りに来て食べると。

このセットと取り出しの部分を体験するというが、体験というほどか。

食材の料金+地獄釜の料金(基本的に400円)がかかるという仕組み。

一応、食材持込も可能らしい。そういう使い方が多いのかはわからんけど。

海鮮セットとどうしても食べたかったから卵も付けて蒸してもらった。

卵は取り出したら水で冷やして氷を付けてくれた。そのままでは殻剥けないということか。

蒸気で調理しただけでそんなにおもしろい話はないんですが……


帰るときには地獄蒸しを待つ人がたくさんいた。

雨はあらかた上がり、人がワラワラ出てきたのかも。外国人もちらほら。

が、当初の想定ではもっと外国人だらけだと思っていたのだが、案外そうでもない。

2016年に来たときの印象などからすると、九州の観光地は韓国人だらけという印象だった。

なので昨今の状況からするとよっぽど韓国人だらけでは? と思ったが案外そうでもなかった。

外国人もヨーロッパ系が多そうな感じで、比率にすれば日本人が多い。そんなもんかい。


どうしたもんかなと思ったが、鉄輪よりもう少し高いところに明礬温泉というのがあるらしい。

見るだけでも面白いみたいなので、ずんずんと道路を上がっていく。

上空を通る高速道路をくぐったあたりが明礬温泉である。

別府の温泉街としては小規模で落ち着いた雰囲気である。

で、なんで明礬温泉なのかというと、ミョウバンの製造をしていたんですね。

そして現在も「湯の花」の製造としてその技術は伝承されていて、そこら辺に小屋がいくつかある。


明礬温泉は硫黄泉、ようは硫酸である。温泉のpHは2.2とか書いてあったが。

火山活動が活発なのでその辺に地獄が発生して硫化水素を含む噴気が出ていると。

そこで地獄から噴気を導入してそれを青粘土と反応させる。

すると青粘土に含まれるアルミニウム・鉄と、噴気が冷えてできる硫酸が反応しミョウバンが生成されるわけである。

これを湯の花として入浴剤や化粧品などに使っているわけである。

一般的に湯の花と言えば、温泉の沈殿物を指すことが多いのだが、

明礬温泉の湯の花は噴気と青粘土と作る点で特徴があり、この技術は重要無形民俗文化財として、湯の花小屋 は重要文化的景観の構成要素となっている。

というわけで見るだけでも価値があったと。

風呂に入るかと思ったけどさすがにこの強酸性はパス。

景色の良い露天風呂があるらしい。確かにこのあたりからは海が見えてよい景色。


さて、鉄輪に戻ってきて、今度は人間を地獄蒸しに……

というわけでやってきたのが「むし湯」である。

さっき 足むし をしていたところにあって、覚えていたのでやってきた。

この 足むし は一遍上人がつくったとされている。

遊行の中で訪れた鉄輪で人々を苦しめていた地獄をむし湯として利用できるようにしたという話である。

この一遍上人が開発した むし湯 を伝承するというのが大きな役割である。

利用料は700円なのだが、浴衣を借りたので+220円。

宿に戻ったときにタオルを取ってきたが、実はタオルを借りても計1000円で済む。あんまり意味は無い。


この むし湯 は相当めんどくさい施設である。

まず、脱衣所で裸になって、お尻あたりをかけ湯する。そういうルール。

で、それで浴衣を着る。短パン・Tシャツを持参しても良いが、汗でドロドロになるので結局は借りた方が賢明な気がする。

そして むし湯 に入るが、これが最大4人まで8~10分入るのでここの調整で待たされる。

むし湯は中に石菖という草が敷き詰められている。その上に寝っ転がって蒸気を浴びる。草の香りがする。

石菖の芳香成分は鎮痛効果があるそうで、それを利用する意味もあるらしい。

結局たっぷり10分浴びたが、8分でも相当熱くて大変かも。

出たら浴衣は脱いで、かけ湯して風呂に入って満足したら出ると。

サウナなら水風呂なんてありがちだが、それはないので健康に良い。


この施設は別府市の市営温泉である。

入浴料だけで700円、さらに浴衣・タオルとけっこうかかるが、それでも人手がかかるし石菖も使うし、なかなか見合わない施設だと思う。

ただ、むし湯の伝統を継承するという役目が大きいんだろうなという気がする。

実態としては観光客の利用が多いのだと思うが、全て持ってくれば700円で利用できるのは地元住民への配慮でもあるのだろう。回数券もあるらしい。


というわけで地獄の様々な使われ方を見た1日だった。

こういう温泉リゾートもあるということである。

北九州で地図を見る

夏休みの旅行ということで、去年は東(北海道)だったので、今年は西へ、

ということで考えた結果、まずは北九州へ向かうことに。

昨日スタートだと大雨で大変だったのだが、雨も止み、ルート上には大きな問題もなく。

東京から新幹線で小倉まで、4時間半の列車旅である。


さて、そもそも今回の旅行なのだが、主な目的地は別府である。

いろいろ理由はあるのだが、全国旅行支援のキャンペーンが大分県では7月まで残っていたから。

ただ、宿は取れるが、交通手段付きのツアーにはならなかった。

行きか帰りを関西に寄るというのは考えていたが、どちらかは九州直行でよい。

で、そうすると飛行機か新幹線となるのだが、飛行機はだいぶ高かった。

新幹線はもちろん、飛行機も北九州経由も検討したが、やはり新幹線の方が安かった。

あと、そもそもこの区間は空港へのアクセスを考えればあまり時間差も付かない。


そんなわけで小倉駅に到着した。ここには何度も来ているので見慣れた景色だ。

小倉の市街地をおもむろに散歩していると、旦過市場にたどり着いた。

ここは昨年に二度も火災に見舞われた商店街ですね。

営業している店もあるし、焼け跡をきれいにしてプレハブを並べたところもあるが、

全体的には廃墟のような部分も多くなっているのが実情である。

全体的に手を入れないと難しそうな気はするのだが、全部燃えたわけではないからなと。


さて、ここから向きを変えて西へ向かうと紫川が見えてくる。

河川敷も整備され、一帯が公園のような感じである。

進んでいくと地下に「水環境館」というのがあるので入ってみた。

塩水ゆらぎが見られるとあったが、昨日の雨で水は濁りそれどころではなさそう。魚はちらほら見えるが。

この水環境館では紫川の水質改善の歴史が紹介されていた。

かつての紫川は工場からの排水による水質悪化が深刻だったという。

油分を含んだ水が多く流されたとかなんとか。生活排水もあっただろうけど。

大気汚染もそうで、漠然と排ガスというわけでなく、工場ごとに色が違う煙が出ていたという状況。

この状況を改善して、現在はそこそこの水質になっている。

このあたり一帯は川沿いに不法建造物が並んでいた時期もあったのだが、

治水のためにこれらを除けて、川幅を広げて、橋も架け替えてと。

そして現在の紫川一帯があるということらしい。


その紫川の西側には小倉城や市役所があるが、不思議な形の建物が並ぶ一角がある。

これはリバーウォーク北九州といい、複数のビルが合わさってできた施設である。

一番手前に見えた茶色い建物はNHK北九州放送局だった。

後でここには戻ってくるのだが、その前に小倉城を散歩することに。

小倉城の現在の天守は1959年に再建されたものである。

正直なところ、石垣と堀を除けば城だったときの遺構は大して残っていない。

むしろ、ここが陸軍の拠点になっていた時代の洋風の遺構の方が残っているぐらい。

小倉の城下町が現在の北九州市の都心に発展したことは言うまでも無いのだが、城自体はそんなものである。


さて戻ってきてリバーウォーク北九州である。

ここにゼンリンミュージアムが入居しているのだが……複数の建物が複合していて迷路のようだ……

朝日新聞社のビルの14階に入居しているのでたどり着きにくかったらしい。

ゼンリンは北九州市に本社を置く地図制作会社である。

住宅地図の制作で発展し、デジタル化された地図で存在感がある。

この博物館は本業の地図というよりはそれより前の地図の歴史に着目している。

が、今は企画展として「クルマの地図」ということでゼンリンにも関わりの深い話が取り上げられていた。

というのもゼンリンはカーナビの地図を提供していた会社だから。

それ以前の紙の地図は昭文社(マップル)のものが多く展示されていたが、

人見る地図ではなくコンピュータが読む地図としてはゼンリンは強かった。


さて、本編の展示については地図の中で日本がどう表現されてきたかというところに着目している。

昔の地図というのはいい加減なものだけど、なぜそう描いたかには理由がある。

奈良時代に作られた日本地図「行基図」だが、サイズ感はともかく、国どうしの位置関係はわりと正しい気がする。

山城国からの街道筋での接続関係から描かれた地図なので、案外正しく見えるのかも知れない。

架空の島がけっこうあるというのはいろいろな錯誤があったのかもしれない。

一方のヨーロッパの地図で描かれた日本はけっこう変な形である。

ヨーロッパからすると日本は遠いところでよくわからないのもあるし、

日本にやってきた船が知っているのは九州・四国や瀬戸内周辺に限られるので、他の部分の解像度はあまり上がらなかったようである。

ただ、それでも世界地図の中に日本がどの辺であるか知ることには足りたのかもしれない。


江戸時代になり長久保赤水や伊能忠敬が科学的な手法で日本地図を描き、

やっと地球上の位置関係、サイズ感というものが明らかになってきたが、

そこまではなかなか明確にならなかったというのが実情のようである。

(外国の地図でも赤水図が流出して日本の描き方の正確性が上がっていたよう)

ただ、それでも接続関係がわかればよいとか、おおまかな位置関係がわかればよいとか、

そういうので陸上・海上の移動はできたということなんだよね。

展示の最後に地図のデジタル化が進む中で、見るための地図が失われれば地図への興味が失われるかも知れませんね、というようなことが書いてあった。

位置関係・接続関係のデータベースというのはおおよそ地図の形をしていないかもしれない。それが今のゼンリンの商売である。

でも、それを人が見える形で表示することも大切だよねと。

最後に地図データからCGで作成した鳥瞰図があったのは、正確な地図データを元に人に見せることの重要性を示したということなんだろう。


さて、そんなこんなで次の目的地へ向かうために西小倉駅へ。

ここから普通で行橋まで乗る。立ち席確保のために座席が取り外された電車である。

行橋からは特急ソニック号に乗り換える。

こうしたのは西小倉駅が特急停車駅ではないというのもあるが、行橋~別府にすると特急料金が1ランク下がるという理由もあった。

この間で県境をまたぐのだが、あまりまたいだ気はしない。

というのも元々小倉あたりから中津あたりまでは豊前国として一体だった。

福岡県のうち旧豊前国はごく一部で、実は北九州市でも門司・小倉に限られる。

このような事情もあり、同じ福岡県でも福岡と北九州の関係はやや弱く、

大分県(豊前も豊後も古代は1つの豊国だった)と北九州の関係が強いと。


そんなわけでたどり着いた別府、案外人が少ないなと思ったけど、

そういえば今日は日曜日でしたね。日曜から泊まる人はそんなにいないか。

特にそこを狙ったわけではないのだが、いろいろ考えた結果、日曜からになった。

宿で入湯税が取られたが2泊で200円で思ったより安いな。

と思ったら、どうも宿泊料により入湯税が変わる仕組みらしく、

高いと250円なのだが、安いと50円になると。全国的には150円が標準なんだけどね。

自転車類似の原動機付自転車

今日から特定小型原動機付自転車の制度が創設される。

原動機付自転車だが免許不要で利用できるという乗りものだが、

概念的なところと実務的なところを確認してみる。


そもそも日本では免許不要の動力のある乗りものがそこそこ普及している。

1つが電動アシスト自転車、制度面では自転車に該当する。

漕ぐ力以上の2倍以上の動力を加えないこと、24km/h以上では動力を加えないことなどの条件がある。

もう1つがシニアカーなど歩行者扱いになる乗りもの。

これは6km/hを超えないことなどが条件で、最近では自動配送ロボットもこの枠組みで認められている。


もう1つ、原動機付自転車という制度について。

道路運送車両法と道路交通法で定義が異なるのが難しいが……

  • 2輪・3輪で排気量51~125cc相当(原付二種) → 道路交通法では自動二輪車
  • 4輪で排気量50cc以下相当(ミニカー) → 道路交通法では自動車
  • 2輪・3輪で排気量50cc以下 → 道路交通法上の原動機付自転車(30km/h規制・3車線以上で二段階右折など)

一般的に原付というと3つ目のタイプを表すのだと思う。

明確に区別するために原付一種と呼ばれることもある。

このタイプはバイクとして考えれば制約が多いが、最大のメリットが運転免許である。

ペーパーテスト+講習で運転免許が取得できて、四輪の運転免許にも付帯するためである。(というか四輪でも原付講習は受けないといけない)

原付二種が運転できる免許(現在の制度では小型限定の普通自動二輪免許)を講習で取得できるようにして代替するという案も出てたが。


ここに特定小型原動機付自転車が加わるわけである。

サイズが普通自転車以下で、電動で最高速度が20km/hというもの。

制度面の略称は「特定原付」でよさそう。

さっき電動アシスト自転車は24km/h以上ではアシストしないと書いたが、

こちらは電動のみで20km/h以下ということでだいたい類似している。

後で詳細を書くが、走行面ではバイクというより自転車の制度が適用される部分が多い。

でも、電動アシスト自転車と異なり、まるっきり自転車ではない。


また、制度上は「特例特定小型原動機付自転車」――「特」が2回出てくるのは命名としてどうかと思うが――というのがある。

一般には 歩道モード と呼ばれ、最高速度6km/hに抑える代わり歩道走行が可能である。

これもシニアカーなどに合わせたものである。

シニアカーなどと比べるとスイッチ切替で歩行者相当になれる点が異なる。

バイク・自転車は押し歩きで歩行者になることは認められていたが、

スイッチ切替で動力を使っても歩行者相当になれる点は他と異なる。

ただ、シニアカーなどと異なりまるっきり歩行者ではない点に注意が必要。


というわけで、概念的に言えば、道路運送車両法の原動機付自転車は、

  • 自動二輪車扱い (原付二種)
  • (四輪)自動車扱い (ミニカー)
  • 自動二輪車類似だが速度制限あり (原付一種)
  • 自転車類似 (特定原付)
  • 歩行者類似 (特例特定原付) [特定原付からスイッチで切替可能]

と5つの制度が存在することになる。

下2つについてはモード切替が可能という事情も踏まえ、識別灯が必要になる。

緑色のランプが点灯していれば特定原付、自転車類似の制度が適用される。

点滅していれば特例特定原付、歩道走行モードで歩行者類似の制度となる。

特定原付を乗らない人も最低限、この点は知っておくとよい。

ただし、過渡的には緑色のランプを備えない特定原付も存在するという。


というわけで概念的な話はこれでよいが、実際はもう少し複雑である。

特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等)に関する交通ルール等について (警察庁)

特定原付は自転車類似のルールが適用されると言うが、下記は原付そのもの。

  • 課税標識(ナンバープレート)の取り付け (他の原付より小型のもの)
  • 軽自動車税の課税
  • 自賠責保険(あるいは共済)への加入
  • 運転者の年齢は16歳以上 (免許は不要だが、免許の年齢要件と同じ)
  • 交通反則通告制度(通称:青切符)の対象

16歳以上という年齢制限は必要なんですかね? もう2歳ぐらい緩いと使い道も増えそうだが。

一方でそれ以外は自転車の制度とかなり似ている。

ヘルメットの着用は必須ではないが努力義務として強く推奨されている。

二段階右折は自転車と同じく必須となる。これはわかりやすいが。

標識の「自転車」「軽車両」は特に除外されていなければ特定原付も含む。

一方通行の多くは自転車は除外されているので、左に寄って特定原付で走ることはほぼ可能である。


ただ、まるっきり自転車と同じではないのが歩行者との混在である。

特定原付は車道の左車線・自転車レーンを走行するのが原則である。

あるいは柵などで区切られた自転車道も走行可能である。

ただし、自転車道の走行義務のある自転車と異なり、特定原付は自転車道も走れるだけであって、車道の左を走ってもよい。

そして標識がある場合に認められる自転車の歩道走行だが、特定原付としては認められない。

歩道を線で区切って自転車・歩行者を分けている場合は自転車の歩道走行に該当する。

また、歩道がない道路の路側帯の特定原付の走行も認められない。

このような区間では特定原付は車道の左を走行しなければならない。

柵で区切られた自転車道と、線で区切られた自転車走行部分は特定原付にとっては大違いである。

これが混在する道路も多いので、実務的には自転車道を特定原付が走行するのは難しそうだなと思う。

車道の自転車レーンを走行するのは問題ないだろうけど。


この点について、特例特定原付、すなわち歩道モードは緩和されている。

ただ、これもまるっきり歩行者と一緒じゃないんだよね。

そもそも自転車走行可の標識のある歩道でなければならない。

その歩道を走る場合は車道側を走行すること。(逆走は可能)

路側帯は左の路側帯のみ走行可能で、二重線の歩行者専用路側帯は走行不可となっている。

歩行者と混在する場合は自転車と類似するルールが適用されるということ。

自動車が走行できない道路の場合、下記の扱いになる。

  • 歩行者専用道路(歩行者天国)は歩道モードでも走行不可
  • 自転車歩行者専用道路では 歩道モードならば 走行可能
  • 自転車専用道路では特定原付は走行可能

ただ、日本では歩行者が一切歩けない自転車専用道路はあまり存在しない。

6km/hの歩道モードでちんたら走るなら自転車歩行者専用道路も使えるが、

多摩湖自転車歩行者道(cf. 確かに自転車歩行者専用道ですね)の自転車レーンをちんたら走るのはさすがにキツイ気がする。


歩道モードは使い道が少ないのでは? と対応しない車種も多いようだ。

確かにこれを常用するのはきつそうだなと思う。

特定原付は自転車類似といいつつ、走行場所はなかなかそうもいかない。

なので歩道モードにして歩道を含めて自転車が走れるところはどこでも走れるようにするという選択肢を与えたというのが実情だと思う。

でも、やっぱり使い道ないのでは?


さて、ここまで特定原付の話を書いてきたが、警察庁の資料にも「電動キックボード」とあるようにキックボード型の車両が多い。

確かにこれらの特徴を備えた車両として作りやすいことはあるんだと思う。

ただ、職場にいる自転車で走り回っている人も言ってたんだけど、

立ち乗りで20km/hは乗ってる方も周りも怖いのでは? という印象である。

車輪の径が小さいので乗り心地や安定性が気になるという話もある。


というわけで、特定原付の制度自体に納得感や魅力を感じたとしても、

そのために用意された車両はイマイチという声はけっこうあるように見える。

ペダル状の足置きを備えた自転車形の車両を考えているメーカーもいる。

ペダルを漕がない「電動サイクル」 免許不要で改正道交法対応 (Impress Watch)

特定原付はサイズが普通自転車相当なので、動力源という目的がなくても足置きとしてペダルを使うというのは手っ取り早い方法かも。

スクーター形の車両も出てくるといいと思うんだけど、どうでしょうか?


あと、これは特定原付に限った問題ではないけど、無免許でルールが遵守されるかというところですよね。

特定原付は自転車類似なので免許不要と言っているけど、ルールをまるで知らないかのような自由な走り方をする自転車はけっこういる。

車道の左側を走行するという部分は自転車も特定原付も同じルールだが、

実態としてこれを逆走する自転車はあまりに多いから心配だ。

また、自転車と歩行者が混在できるところでの安全面の課題も多い。

特定原付では歩道モードを除けば歩行者との混在はほとんど生じないが、

この点は自転車との差異が多いところなので、ルールの周知が課題かもしれない。


というわけで概念的にはなるほどと思う部分は多いのだけど、

実務的にはこれいけるのかな? と思う部分が多いところである。