先月、香港チャンピオンズデーということで、シャティン競馬場で3つの国際招待競走が行われた。
日本からはクイーンエリザベス2世カップに3頭、チェアマンズスプリントプライズに1頭参戦している。
12月の香港国際競走に比べれば地元勢メインという感じはあるが、
今年はいずれのレースも外国勢を交えてのレースになったようで。
その3レースの1つ、チャンピオンズマイルで地元のGolden Sixtyが優勝した。
これにより同馬は通算獲得賞金1億4793万HK$(約26億円)で、世界記録を塗り替えることとなった。
ゴールデンシックスティが史上初の香港チャンピオンズマイル3連覇、通算獲得賞金も世界一に (JRA-VAN ver.World)
香港の三冠馬で、三冠達成後はマイルを中心に走っているが、
今年の香港ゴールドカップ(G1・2000m)では、香港カップ優勝馬のRomantic Warriorを破って優勝している。
通算成績は29戦25勝、全てシャティン競馬場での結果である。
日本の安田記念への遠征案もあったが、昨年・今年と立ち消えている。
Golden Sixty以前に通算獲得賞金の記録を持っていたのはオーストラリアのWinxですね。
2015~2019年に33連勝、生涯でG1 25勝というトンデモ記録を打ち立て、
それなりに高額賞金のオーストラリアということも相まって、
通算獲得賞金は2645万オーストラリアドルにも達した。
これは2019年引退時のレートで約20億円に相当する。
なおWinxは牝馬だが、この頃は牝馬の活躍馬が多かった時期でもある。
日本ではアーモンドアイがG1 9勝(芝G1あるいは国際G1では日本競馬最多)、
ヨーロッパではEnableが凱旋門賞連覇などの顕著な結果を出していた。
Winxが強い馬なのは疑う余地はないのだが、33連勝という数字は疑ってもよくて、
なぜかというと連勝を重ねるうちにWinxが出るレースを避ける動きがあって、
同厩舎の馬を送り込んでなんとかレースを成立させていたところもあった。
このあたりはG1レースの数が多いオーストラリアだからこそのことかも。
一方のGolden Sixtyの29戦25勝というのはそれなりに相手が揃っていて、
2022年の香港マイルではCalifornia Spangleに敗れて2着になるなど、
決して楽勝というわけではないことも読み取れるところである。
日本競馬の馬券売上は世界一という話がありますが、開催規模を考えれば香港はそれ以上かもしれない。
その充実した馬券売上は賞金の充実にもつながっているのだが、
特に年2回の国際招待競走デーの充実には力を入れていて、
香港国際競走の4レース中、香港スプリント(芝1200m)・香港マイル(芝1600m)・香港カップ(芝2000m)は芝で同距離のG1レースでは世界最高賞金という。
世界でもっとも距離別のチャンピオン決定戦を重視している主催者と言えると思う。
日本をはじめとする外国からの参戦もあるが、全体的に見れば地元馬が賞金の多くをかっさらっていくことになる。
Golden Sixtyはその恩恵を受けた1頭と言える。
日本競馬の賞金が高いのは間違いないんですがね。
ジャパンカップ・有馬記念は世界最高賞金の芝G1だし。
ただ、それ以外のチャンピオン決定戦の賞金は見劣りするよねと。
ここ数年でだいぶ上がりましたけどね。
天皇賞(秋)は今年から2.2億円だが、2020年は1.5億円だったわけだし。
でも、香港カップの1938万HK$(3.4億円)やドバイターフの290万US$(4.0億円)と比べるとどうしてもね。
マイル以下やダートはもっと差が大きい。
もちろん世界的に見れば日本競馬の賞金はものすごく恵まれているし、
地元馬に次いで香港競馬の高額賞金の恩恵を受けているのも日本勢である。
ただ、Golden Sixtyの記録を見てしまうと、少し考えてしまうよね。
日本競馬のマイル王、グランアレグリアの通算獲得賞金は10.7億円ですから。
まぁ世界見渡しても10億円以上も稼ぐ馬はそうそういないんだけどね。