NPBファームリーグ拡大とJ3リーグ創設は似てる

静岡に2軍だけのプロ野球チームができる? という話があったが、

他にもいくつか興味を持っているところはあるらしい。

NPBが2軍戦のみに参加新規球団を公募 球宴は投手負担軽減で両リーグ31人に 実行委員会 (Yahoo!ニュース)

1軍がないのに2軍というのは言葉の使い方としておかしいので、

正式には「NPBファーム・リーグ拡大」という言い方をしている。


ファームリーグというのは、イースタンとウエスタンの2リーグがある。

イースタンリーグは神奈川県より東の7チーム、ウエスタンリーグは愛知県より西の5チームで構成される。

なお、日本ハムファイターズの1軍本拠地は北海道北広島市だが、2軍は千葉県鎌ケ谷市にある。

このあたりも2軍戦の移動の便宜を考えてのことだと思う。

他は1軍本拠地とはそう遠くは離れていない。

この地域別の構成の欠点はイースタンが7チーム、ウエスタンが5チームと双方奇数であること。

これは近鉄がオリックスと合併し、楽天イーグルスが新設された影響である。

これらは1軍ではパ・リーグ内々の問題だったが、2軍では東西をまたぐ問題だった。


というわけで、イースタンとウエスタンそれぞれに奇数チーム増やすとよいと。

現在、興味を持っていると報じられているのが、

  • 火の国サラマンダーズ (九州アジアリーグ所属) (熊本市)
  • 新潟アルビレックスBC (BCリーグ所属) (新潟市)
  • ハヤテグループ (静岡市)

上2つはすでに独立リーグのチームで、最後はチームは未結成。

独立リーグからのNPBファームリーグ入りは他にもあるかもね。


ところで1軍・2軍というのはプロ野球では聞くけど、プロサッカーでは聞かない。

(アマチュアサッカーではBチームという言い方はある)

かつてはそういうチームも存在したが、現在の日本には存在しない。

これはJFAの規則(FIFAの規則に整合)により、野球のような2軍の運用が難しいためだという。

ただ、後で書く通り、それに代わる制度もある。


プロ野球の2軍の目的は選手の育成と調整ということである。

1軍の試合でベンチ入りできる選手は29人まで。

一方で1軍の試合に出られる支配下登録の選手は最大70人まで契約できる。

このため1軍にすぐ活躍の場がない選手の育成・調整に2軍が必要であると。

その調子を見て、あるいは1軍の選手がケガのときに2軍から1軍に行けるようにしておくと。

この目的では1軍と2軍の人の行き来は機動的にできる必要がある。


あと、支配下登録の枠外で育成選手として契約を結んでいる選手もいる。

ドラフト会議に引き続き育成ドラフトが行われて、そこで指名後に契約すると育成選手になると。

育成選手は1軍の試合には出られないが、2軍には最大5人まで出場できる。

その後1軍で活躍できるとみれば、支配下登録に移行することもできる。


プロサッカーで野球の2軍のようなシステムを導入しにくいのは、

年に2回のウインドー期間にしかチーム間の移籍ができない規定による。

同一クラブのAチーム・Bチームで異なるリーグに参加しようと考えると、

両チーム間の移動は移籍扱いになり、ウインドー期間の制約を受ける。

これではAチームの選手にケガがあったとき、Bチームから補充ができない。


しかし、この規定には例外がある。

それが23歳以下の選手に適用される「育成型期限付き移籍」である。

23歳以下の選手が所属チームより下位のリーグ(J1のチームならJ2やJ3)にレンタル移籍する場合、

その選手はウインドー期間の規定によらずに元のチームに戻れる。

これが所属チームで活躍の場がない選手の育成の場として活用されている。

なるほど。J3リーグの創設にはそういう背景があったのか。


NPBファームリーグ拡大というのも既存の2軍、新チームあわせて育成機能の拡大という目的が大きいのだと思う。

既存の2軍にとってはチーム数が偶数になると安定的な試合機会が確保できる。

新チームの選手育成の先にはNPB他球団への移籍という道がある。

現在、独立リーグがこの役目を担っている部分もあるが、

他球団の2軍と同列に並ぶことでドラフト会議を経ずに移籍することができるのではないか。

その代わり選手獲得にはドラフト会議(育成ドラフト?)を経るのだと思うが。


ところで育成選手について「1軍の試合には出られないが、2軍には最大5人まで出場できる」と書いたが、

育成選手をあまりに多く抱えても2軍の出場機会がないのでは? と気になる。

一部のチームでは「3軍」というものを設けている。

これはまさに2軍の出場機会のない育成選手のためのシステムである。

3軍は独立リーグや社会人チームとの試合を通じて実戦を積むことになる。

あまりに多くの育成選手を抱えるソフトバンクホークスに至っては「4軍」まであるという。

このあたりの在り方もファームリーグ拡大により変わるかもしれない。


ただ、大きな課題はファームリーグのみの参加での採算性である。

既存のチームは1軍戦での収益ありきで2軍戦をやっている。

既存のNPB球団がない地域とはいえ、ファームの試合だけで採算が取れるのか。

独立リーグよりは見応えのある試合を提供していく覚悟だろうが。

あるいは選手育成というところに付加価値を見いだすか。