年代別接種率を読む

ふと、市のWebサイトを見たら、年齢別の新型コロナウイルスワクチン接種率が掲載されてた。

65歳以上は9割近くが2回接種完でそれはさすがだが、問題はその下の年齢層である。


調べたら東京都が都民の年齢別接種率を集計していた。

ワクチン接種実績 (東京都)

今日時点でのデータは下記の通り。

  • 12~19歳: 1回接種 35.6%、2回接種 15.8%
  • 20代  : 1回接種 43.7%、2回接種 26.0%
  • 30代  : 1回接種 48.3%、2回接種 29.4%
  • 40代  : 1回接種 57.2%、2回接種 37.4%
  • 50代  : 1回接種 67.4%、2回接種 49.6%
  • 60代  : 1回接種 80.8%、2回接種 75.7%
  • 70代  : 1回接種 88.4%、2回接種 86.3%
  • 80代以上: 1回接種 89.3%、2回接種 86.7%

うちの市も大差ないね。


60代は65歳以上は最優先で接種されたが、60~64歳はそれ以下の持病持ちの人と同じグループ、

ということで60代を65歳を境に分けると、接種率はだいぶ違うはず。

市のデータではここを分けて書いてあったけど、60~64歳は1回接種が75%、2回接種が60%ぐらい。

50代よりは接種進度は高いが、優先接種グループにしては……という感じはある。

まだ1回目接種も伸びそうですよね。


その一方で、20~30代の1回目接種が4割以上に達していることに驚く。

最近の東京都の接種数を見ると、20~50代の各年代の接種数はほぼ均等ぐらい。

なので、20~50代には年齢を問わずまんべんなく打っていることが読み取れる。

自分もそうですけど、職域接種となれば、職場にいる人は年齢を問わずに打つわけだから、こうすると全年代まんべんなく進むと。

市区町村の接種は、最近まで持病持ちでなければ40代以上の接種に注力していたので、

これが40・50代と20・30代の接種率の差につながっていると思うのだが、直近ではまんべんなく接種が進んでいるということである。


これ、もしも20代・30代の接種を先延ばしにして、その分、50代以上の接種を集中的にやっていたらどうだったのかなって。

確かに最近は比較的若くても重症化する人が多いとは言え、50代・60代が多いんですよね。

東京都の重症患者数を見ると(グラフを目視で確認してるから厳密な数字ではないが)、

70代以上:15%、60代:20%、50代:40%、40代:15%、30代以下:10% といったところ。

感染者が激増した時期、8月1日の接種率にさかのぼると、50代の接種率は1回63.7%、2回44.1%、20代の接種率が1回38.2%、2回21.1%、

20代の接種に振り向けていたリソースを50代に振り向けて、接種率が1回・2回とも15%ほど高くできていれば、

未接種の人の割合は36%→21%、2回接種未了の人の割合は56%→41%となっていた計算だが、

非常におおざっぱな計算だが重症化する人が2~3割減らせてた? という計算をした。

現在の重症者の4割が2~3割減になっていたということは、全体として1割減ぐらいの計算になるが。


これは職域接種の弊害だと思うのだが、職域接種は自分でスタッフを用意できる会社が従業員に接種するということで、

これが準備できる職場であれば、年齢問わず接種されることが多かった一方、

予防接種の本来の主体である市町村に回るワクチンを絞ることになり、50代・40代の接種が遅れたように見える。

なにより、職域接種にありつけるか否かというところで、ワクチン接種が利権化してしまったのがよくない。

東京都がこのことを是正するために大規模接種会場をいろいろ開設していたが、これも市町村に回るワクチンを奪ってるんだよな。

東京都の接種センターの対象者は複雑


職域接種を導入した背景としては、産業医などの社内リソースを使えることと、モデルナ製ワクチンの使い道という面があった。

当初、ファイザーとモデルナのワクチンが混在すると取扱が面倒だという話があったのだが、

気づいてみれば、市の集団接種もファイザー・モデルナ・アストラゼネカの3社のワクチンが並立して動いている。

(誤接種を防ぐため、それぞれ別々の会場にしている。開設日は重なるとは限らないけど。)

接種のためのリソースも、当初は接種に協力する医療機関も増え、接種会場の運営ノウハウも市町村に蓄積されてきていた。

そう考えると、本当に職域接種は接種加速に役立ったのか? むしろ、50代へのワクチン接種を遅らせたのではないか?

どうもこういう疑念が消えないわけである。


とはいえ、概ね年齢順に接種しようとしても、スケジュールが合わないので、先の日程を選びたいという人はいると思うんだよね。

特にこのワクチンは接種後に発熱で寝込む人が多くて、仕事の都合と合わせて接種したいという人もいるわけだよね。

そうすると、直近で接種枠があっても、そこで接種せずにその先で接種したいというのは考えられると。

今のところは、接種枠は順調に埋まっているけど、そのうち不人気の日程は埋まらなくなるんじゃないかと思う。

そういうミスマッチで接種スピードが落ちるということはありそうだなと。

この点では職域接種はありがたい仕組みであり、総合的に損か得か難しい。


最近のデルタ株(B.1.617系統)は従来より若くても重症化する人が多い。感染力も強い。

高齢者にワクチンが行き渡れば楽になると思いきや、そうはならなかったということで大きな誤算で、たいへん苦しんでいると。

この段階で広い年代にワクチンが普及していればよかったが、そういえばすでにワクチン普及率が高い地域はどうなんだろうと。

成人に広くワクチンが普及している国の筆頭はイギリスですよね。

最近1ヶ月での死者数は3178人(4.8人/10万人)……って案外多いですね。

日本の最近1ヶ月での死者数は1176人(0.93人/10万人)なんですよね。8月に入って伸びているが。

国によって集計基準に差があるため単純に比較できないが、イギリスよりは明らかに少ないと考えていいんじゃないか。

日本もデルタ株に苦しんでいるが、ワクチン接種が進んだイギリスも苦しんでいると考えるべきだろう。

そして、日本もワクチン接種の恩恵が顕著な地域と見るべきである。

もう少し50代の接種率が高ければとは思うが、それを抜きにしても恩恵は大きいだろう。

あとは治療方法の確立など、医療スタッフの努力によるところが大きい。


ただ、なかなか打開策が見えないのが辛い話ではある。

今後、ワクチンの普及度が上がることで、感染しても重症化する患者は減らせるだろう。

治療方法の面でも、新しい抗体医薬が出るという話もあり、何らかの効果は出ると思う。

しかし、画期的なほどに患者数が減るとか、重症患者が減るとか、そういうところは見通せない状況が続いている。

ワクチン接種が途上だからというのはあると思ったけど、イギリスですらこうでは……という絶望である。

とはいえ、とりあえずワクチン接種は前向きに進めて行くしかないなと思う。効果は見込めるので。


職域接種も終わっていき、市町村の接種でどれだけ取りこぼさずに接種するかいう段階に進みつつあると思う。

ここが非常に重要なところだと思うので、工夫して進めて行って欲しいと思う。