非予想系の野球くじの意味

以前より話はあったのだが、スポーツ振興くじの対象に野球を加えることについて、

NPBのオーナー会議で進めようという話が出たそうである。

プロ野球オーナー会議、野球くじ検討 勝ち負け選べぬ非予想系で (毎日新聞)

ただし、非予想系に限るとのことである。


野球賭博というのは日本における大きなタブーである。

野球というのは投手の力により結果が左右される部分が多く、

意図を持って勝敗を操作することができる場合がある。

このあたりが過去に野球賭博のスキャンダルを生んでいる理由らしい。

このため、スポーツ振興くじの対象にするとしても、予想系はやめようと。

非予想系であれば、この試合はホームが勝ちを買おうとか、そういうことはできない。

ゆえに故意に試合結果を操作する理由もないということである。


ただ、非予想系というのは野球でなければならない理由もない。

現在のスポーツ振興くじの売り上げの9割が非予想系のBIGシリーズが占めている。

背景には様々事情はあろうと思うが、totoは難しいというのもあったと思う。

そこで1試合予想あるいは競技会予想のWINNERが導入された。

WINNERは本当にわかりやすいのか?

サッカーワールドカップでも日本戦を中心にWINNERで楽しんでいる人は見ますが。

ただ、控除率が50%と高いこともあって、スコアも含めて予想してなんとかで、これはこれで難易度が高い。

昨年の売り上げは28億円、スポーツ振興くじ全体の2%程度である。


そこで野球を非予想系のくじの対象にするメリットを考えて見ると、

やはり試合頻度で、概ね月曜以外は毎日試合があるわけだ。

BIGは基本的に週1回の発売である。

木曜か金曜に締め切って、週末の試合結果で結果が出る形である。

さらにサッカーに比べると得点のバリエーションが多い。

このため1試合から取れる数字も多いと言える。


ただ、非予想系ということは別にスポーツくじである必要もない。

数字選択式の宝くじはかなりの頻度で抽選会を行っている。

それでもさすがに毎日ではないだろうと思ったのだけど、

ナンバーズ4・3は月~金の週5回も抽選会が行われている。

ロト7, ミニロト, ビンゴ5は週1回、ロト6は週2回なので、

1000万円以上の高額当選が狙えるものでは、ロト6の週2回が最多ですが。

あと、もう1つあるのが公営競技の重勝式投票券である。

ランダム式では競輪・オートレースにいろいろ設定されている。

基本的には毎日レースがあり、何らか買うことはできるが、売り上げとしてはどうなんでしょう。

税制面の問題もあり、高額当選狙いよりはオートレースの「当たるんです」の144万円程度がよいだろうと書いたこともありますが。

おいしいところ狙いの車券?


さて、その上で何を予想対象にしようかということを考える。

いろいろ方策はあるだろうが、MEGA BIGの両チームの合計得点というのはよい指標に思う。

さらに野球の場合、イニングごとの数字というのも使えそうだ。

野球の特性上、得点が入ると大きな数字になることがある一方、無得点に終わるイニングも多い。

そこで昨年のNPBのイニングごとの得点分布を調べた。

プロ野球ヌルデータ置場/2026年度版

これを元に推定すると6イニング(両チームの3イニング)合計得点は、

0点:23%, 1点:22%、2点:18%, 3点:14%, 4点以上:23%

という形で若干3点というパターンが少ないが、だいたい均等に並びそう。

1試合を1~3, 4~6, 7~9回と区切ると、それぞれから5通りの数字を3つ作れる。


NPB 6球団全てが試合を行えば1日6試合だが、必ずしも揃わない。

でも、少ない場合でも3試合程度は行われているようだ。

3試合から5通りの数字を9個作ると、その組み合わせ数は195万通りとなる。

BIGと同じ1口300円、控除率50%、全て一致の1等に当せん金の80%を割り当てると、

1等当せん金は理論上は2.3億円となる。けっこういいのでは?

野球というのは雨天中止も多いが、3試合ならドーム球場の試合で多くは構成できそうである。

こうすると不成立となることも少なくなるのかなと。

BIGは一部試合が行われなくても、その試合はすべて的中扱いで結果が出ることがある。

ただ、キャリーオーバーも考えるとよい仕組みとも思えない。

そもそも中止にならなければそれに越したことはない。


というわけで野球くじもそれはそれで有望そうだとして、

どうしてこれまでNPBは消極的だったのか、そして積極姿勢に転じたのか。

スポーツ振興くじ では 試合開催機構 に開催経費の一部を補助できる規定がある。

試合開催機構とはJリーグとBリーグのことである。

このことを指してWINNERの説明には「売上は応援するクラブにも還元される」と書かれている。

ところがNPBは各チームとも球場や放送・映像配信などで大変儲かっているわけである。

なのでスポーツくじからの分配金というのはあまり期待していないと。

ましてやこれまで野球賭博はタブーとされてきた経緯もある。

WINNERで新たに投票対象になったBリーグはWINNERをファン獲得の呼び水にしたい思いもあったかもしれない。

でも、野球はやるとしても非予想系、これでは試合への興味も生まない。


ただ、そこから転じたことには野球の将来も考えてのことがあったようで、

この日の会議では野球振興活動について報告された際、少子化や中学校の部活動の地域移行などが進む中、野球振興のための新しい組織作りに向けての財源確保が喫緊の課題となっていることが示された。

そもそもスポーツ振興くじの収益金は地域スポーツのために多く使われている。野球も当然恩恵は受けている。

野球をスポーツ振興くじの対象にしたところで野球が受ける恩恵が直接増えるわけではないように思う。

でも、そうじゃないんですね。ここで言っている「野球振興活動」はNPBの事業である。

すなわちNPBはスポーツ振興くじの試合開催機構としての分配金を、

NPBが行う野球振興活動に投じて、地域の野球をできる環境を維持していこうと。


そもそも非予想系というのがどうなのかという疑問はかなりある。

これが売れたとしても結局はBIGや宝くじの売り上げを食うだけではと。

でも、週6日試合のある野球の特徴を生かして売り上げを伸ばせれば、

日本スポーツ振興センターが行う全スポーツに渡る助成と、

NPBが行う野球振興活動の両面で、地域スポーツとしての野球を支えられる。

こういう理屈は確かにあるのかなと思った。