パリオリンピックの最初、金メダル数で目立ったのが日本・中国・韓国の東アジア勢だった。
日本のメダルが多いのは柔道(特に軽量級)が日程の最初に組まれているためで、
それに加えてスケートボード、体操が加勢したところが大きい。
この3ヶ国はオリンピックでは決まって後半のメイン種目である陸上競技ではメダル数をあまり稼げないので、
あくまでも前半に限った話だろうと思うが、不思議な並びである。
ただ、これには今大会に特有の理由があるのではないかと指摘があった。
それは今大会、ロシアとベラルーシの選手の出場が厳しく制限されていることである。
東京、冬の北京とロシア選手は国の名前ではなく、オリンピック委員会の名前で参加していた。
とはいえ、実態としてロシア選手団というのは存在して団体種目にも出場していた。
しかし、北京大会後にウクライナでの軍事作戦への制裁として、ロシアとベラルーシの選手が国際大会から追放された。
今回のオリンピックについてはロシア・ベラルーシの選手は競技団体の判断で参加は可能であるものの、
条件としては個人種目に中立選手(AIN)として参加することである。
ただし、オリンピックの出場枠を争う国際大会に参加できない競技も多く、
ロシア15人、ベラルーシ17人というかなりの小所帯になっている。
となると、従来ロシアが強かった種目では他のチームにチャンスが回ると。
ロシア選手の活躍が目立った種目を見てみると……
体操、これは日本と中国にメダルが回ったと言える。
射撃、これは中国と韓国にメダルが回ったと言える。
フェンシングも日本と韓国に回った分はあるだろう。
と、ロシア選手がいない分、有利に働いている部分があるようだ。
今後予定されている種目ではレスリング、
これは元々日本が強いですけど、ロシア選手がいなくなればなおさら?
テコンドー、韓国が苦しんだ種目だが、チャンスが回ってくるかもしれない。
アーティスティックスイミング、元々ロシアが圧倒的だが、
ロシアがいなければ中国や日本にチャンスが回ってくるか。
偶然か必然か、ロシア選手の穴を埋めるのは東アジアの3国が多いのかもしれない。
今は競泳が多く行われていて、これはオーストラリアとアメリカが強く、
日本と韓国は金メダル数としてはやや置いて行かれた感じである。
一方の中国は飛び込みで金メダル数では引き離しにかかっている。
陸上競技が進む頃にはこの様相もだいぶ変わるとは思いますけど。
もちろん種目によりメダル1個の意味は全く異なるので、メダル数を比較してもあまり意味は無いように思う。
階級別にメダルが出る柔道などの格闘技はどうしても数が多くなる。
サッカーのように大所帯のチームで長期間にわたるトーナメントを戦う種目はメダル1個の重みはとても大きい。
あとさっきのランキングは金メダル数のランキングであり、
金・銀・銅の合計で言えば最初からアメリカが引き離していた。
活躍できる種目の多さや選手層の厚さがよく現れているのではないか。
国際大会にロシア選手がいないことを特に意識したのがフィギュアスケートだよね。
特に女子はロシア選手が圧倒的な強さを誇っていたから。
その分、日本・韓国・アメリカなどの選手にチャンスが回ってくるわけだが、
これまで圧倒的な強さを誇ってきたロシア選手がいないのはどうにも物足りない。
とはいえ、ドーピング問題など問題が多かったのもロシアのフィギュアスケート界である。
ファンとしても非常に複雑な思いで国際大会を見ているのでは無いか。
そういえば、アーティスティックスイミングで思い出したのだが、
今回のオリンピックからアーティスティックスイミングのチームでは男子選手の出場が可能となる。
オリンピック種目で女子競技しかないのはアーティスティックスイミングと新体操だが、
そのうち1つが今大会から変わることになる。
ただし男子のアーティスティックスイミングがオリンピック種目になったわけではなく、
8人で行うチーム種目の中に最大2人の男子選手を含むことができるというものである。
女子枠6人・男女不問枠2人というかなり特殊な種目である。
全員女子選手でもよいという点では男女混合種目とも言えないし、
必ず女子選手を含む点では馬術のような男女不問の種目とも違う気がする。
かなり不思議な種目だが、男子選手の参加が進む中でルール変更があったことによる。
世界水泳では2015年からミックスデュエット、2023年から男子ソロが実施されるようになったが、
これらの男女混合・男子種目はオリンピックでは採用に至っていない。
一方、これと同時にチームに男子選手を最大2人まで含むことができるルールができ、
これは従来からのオリンピック種目のチームにも適用されたため、このような不思議な種目ができたという。
不思議だが、これも男子種目実施に向けた地ならしかもしれない。
なお、日本チームは男子選手を入れていないので女子選手8人での演技となる。
冬のノルディック複合は男子競技しかないけど、これは廃止説があるので、
男女両方の種目がないままオリンピックに残るのは新体操が最後になりそうだが、果たしてどうなるか。