まさかの審判の裁量が全て

フィギュアスケートの話題が続いたけど、その続きでこんな話を。

平野歩夢 “2本目低得点” で世界が猛批判 ライバル国まで「ジャッジは逮捕されるべき」報道  (Yahoo!ニュース)

スノーボード男子ハーフパイプで日本の平野歩夢選手が見事に金メダルを獲得した。

平野選手は東京オリンピックでスケートボードに出場していたが、短期間のオリンピックが連続したことの難しさはあったようだが、本業というべきスノーボードで見事な結果を出した。

この種目は3回演技して最高点を採用するというもので、結果に採用された3回目の演技を見たが見事なものだった。

が……その前の2回目演技の後には採点について物議を醸していたのであった。


スノーボードのハーフパイプ・ビックエアは採点競技だが、

その方式というのがなんと審判が総合的にみて100点満点で採点するという、

未だにそんな方式の採点競技があるということにびっくりしたのだがあるんですね。

まぁ採点競技では多かれ少なかれ審判の裁量により決まる部分というのがあり、

しかしあまりに審判の裁量幅が広すぎると公平な判定が難しくなる。

そこで採点ルールを明確化して審判の裁量幅を狭める傾向にあり、

体操競技では技の難易度と厳格な減点ルールからおのずと点数が決まることが知られている。

審判の裁量がなくなったわけではないが、その幅というのはかなり狭まっている。


スノーボードの採点について、審判によって重視するポイントが違うというのもあるが、

もう1つ言われているのが満点が決まっているがために、よりよい演技があるかもしれないと思うと、高い得点を付けられないということがある。

この問題は採点ルールがある程度明確なフィギュアスケートでもあるという。

フィギュアスケートの得点は技術点(TES)と演技構成点(PCS)で構成され、それぞれの重みが1:1程度になるように設定されている。

TESについては技の難易度による基礎点にGOEと言われる出来映えに基づく加点・減点がある。

PCSについては5つの観点について10点満点で採点を行う。

PCSは満点が決まっているので、演技順が早い選手に高い得点を付けにくいらしい。

さらに言えばPCSというのは実績の無い選手は高い数字が付きにくく、実績のある選手は高い点数が付きやすいという性質もあるらしい。

この選手の演技はせいぜい○点ぐらいだろうという相場観が国際大会の中で形成されていくということではないか。想定の範囲で加減されると。

この他、GOEの加点・減点幅についても審判の裁量幅が大きいという話がある。

加点・減点要素を点数に落とす方法が明確ではないということである。

これは演技順にはあまり関係ないと思うが。


最初の話に戻ると、2回目の平野選手の演技は大技を決めたことは高く評価できるが、全体的な完成度としてはまだ上げる余地があったわけである。

これは3回目演技の完成度がさらに高かったことからもわかる通りである。

ただ、果たしてこの時点で1位のジェームス選手(最終成績では2位)を下回るほどか?

というとなかなか信じがたいところはあったんだろう。

ちなみにここに各審査員の呈示した点数と採用された得点が記載されている。

平野歩夢、採点方法に苦言 2回目の評価「僕以上に怒っている人も」 (朝日新聞デジタル)

平野選手の2回目の演技は96点・95点と高い得点を付けた審査員がいる一方、89点・90点と渋い評価を付けた審査員もいた。

一方でジェームス選手の2回目の演技は91~94点と点数は揃っていた。


こんな採点方式でオリンピックに乗り込んでくるなんてとは思うのだが、

平野選手もこう語るようにスノーボードの評価尺度は流動的な方がよいという考えもあったのだろう。

スノーボードは幅広くいろんなスタイルがあるからこその魅力、自由さが、一つのカッコ良さとしてある

とはいえ採点システムについて見直すべき時期が来ているとも言っている。


まぁフィギュアスケートの採点システムもいろいろな課題を抱えているみたいで、

1つがTESとPCSの比率を1:1程度にするという考え方にPCSが見合っていないという話。

TESが上がればPCSの上限も上がっていく仕組みなのだが、

TESは高難度の技をよい出来映えで完成させればどんどん上がっていく。

しかしPCSは満点が明確に決まっていて、トップレベルの選手は満点近くでの争いになる。

ここで差を付けられるのは上限のないTESだという話になってしまう。

こういう構造が演技構成の硬直化を生む面もあるのかもしれないなと思う。


スノーボード関係者もフィギュアスケートみたいにはなりたくないな、とか思っているのかもしれませんけどね。

とはいえ、やはり各観点の得点配分を明確化せずにやることは無理でしょう。

ここをスノーボード界で合意が取れるかというと、すぐには難しいかも知れないが、

しかし、きちんと向きあってやっていかないとならんことなのは確かでしょう。