たびたび書いているけど、新型コロナウイルス対策で心配なのが、
ワクチン接種が進むことで感染者が増加することである。
なんで? って思う人もいるかもしれないが、おそらくこれは正しい懸念とみられる。
それだけ現状の対策がかなり厳しいことに対して、ワクチンの感染抑止効果は低いということである。
具体的にはイギリスがそうなんですよ。
英イングランド、ロックダウン緩和を4週間延期へ 感染拡大で (BBC NEWS)
イギリスと言えば新型コロナウイルスのワクチン接種の先進国の1つ、
2回接種完了が6割、1回接種にとどまる人を加えれば8割の成人がワクチンを打っているそうである。
一時期、1回以上接種を受けた人を増やすために、接種間隔を空けていた影響でギャップがあるのだが、
とはいえ、ここまで普及しているのは明らかにすごいことである。
ところがそれに伴ってロックダウンの緩和を進めると、感染者数が激増してしまったのである。
とはいえ、これはワクチンの効果がないという話ではなく、かなり効果は出ている。
というのも、入院者数や死者数は大きくは増えていないためである。
これはワクチンにより重症化を抑制できたためだと考えられている。
とはいえ、感染者数が増えたのに入院者数が増えないということはなく、
ワクチンの接種が進むことで得られる効果よりも、感染拡大の方が上回っているのは確からしい。
このことから制限緩和には慎重ということのようだ。
もっとも原因はワクチン接種で制限緩和を進めたことだけが理由でもなく、
ウイルスの変異が進む中で感染性が非常に高まっているということがあるらしい。
シドニーで1年ぶり都市封鎖 変異株「すれ違い感染」も (朝日新聞デジタル)
オーストラリアや台湾など「ゼロコロナ」を指向してきた地域で感染拡大が問題になっている。
こういう地域では追跡調査が可能なので、聞き取りやDNA解析などで経路を調査しているのだけど、
どうもすれ違い程度で感染したのでは? という疑惑がいくつかあるようだ。
ウイルスの変異が進む中で、拡散されるウイルス量が格段に増え、マスク着用・短時間でも感染するケースが出てきているのでは? と。
もちろんマスクをすることは大きな効果があるんですよ。でも、それだけでは太刀打ちできないらしいと。
一方でウイルスの変異がワクチンの効果に致命的な影響を及ぼすようなことは起きていない。
ただ、そもそものウイルスの量が増えては、ワクチンでついた免疫での対抗にも限度がある。
現在のイギリスで言われていることは、ワクチン接種は2回やらないと十分な効果が得られないということである。
イギリスでワクチン接種が始まった当初は1回接種でもそこそこ効果があると言っていたことに反するところで、
これはウイルスの感染性が高まったことにより、より強い抗体を付けないと重症化を防ぐことも難しいと。
2021年2月1日から6月14日の間にデルタ株に感染し、入院した806人の内訳は以下の通り。
- 65%に当たる527人がワクチンを接種していなかった
- 17%に当たる135人は、1回目のワクチンを打ってから21日以上経過していた
- 10%に当たる84人は、2回目のワクチンを打ってから14日以上たっていた
また6月14日時点で、イングランドでデルタ株への感染が判明し28日以内に亡くなった73人の内訳は以下の通り。
- 47%に当たる34人がワクチンを接種していなかった
- 14%に当たる10人は、1回目のワクチンを打ってから21日以上経過していた
- 36%に当たる26人は、2回目のワクチンを打ってから14日以上たっていた
母集団のワクチン未接種・1回接種・2回接種の割合がわからないから、この数字をどう読むかは難しいけど。
もちろん、ワクチン接種がされても従来の対策を維持すれば、それより悪くなるということはない。
ただ、問題は従来の対策を続けられるかどうかというところであり、どうもこれが心配なんですよね。
今日、朝のニュースでいかにして若い人(この場合は大学生)にワクチン接種を理解してもらうかという話で、
「若くても重症化するリスクはけっこうある」とかそれぐらいではどうも響かないので、
「ワクチンを打てば大切な人に会いに行けるかも知れない」とかそういうようなことも言っているとのことで、
これは全く間違いではないのだが、今すぐ無対策でよくなると考えると危ないわけである。
というのも、まずワクチン接種は未だ途上ということである。
打った本人が十分な免疫を得るには2回接種から1~2週間ぐらい経てばよいが、
社会全体でワクチンが普及するのはいつだと考えると、大臣は11月ぐらいとか言っていたけど、これはかなり楽観的な数字だと思っている。
確かにうまくいけば、この段階で集団接種は一段落しそうだが、この段階での普及率はどんなもんだろう?
今は予約が取れないとか、様子見だとかで消極的な人も、あらかた普及すると接種に動くことはありそうで、
このじわじわと伸びる期間は軽視できないんじゃないかと思う。
幸いにして、日本ではどうしてもワクチンを打ちたくないという人は1割強なのでそんなに多くないらしい。
ワクチン拒否は1割 全国ネット調査、若い女性目立つ (日本経済新聞)
なのである程度の期間をかけて普及するとは思うが、6割ぐらいまで普及したところから普及率が鈍るような展開は当然あるだろうと。
そこまでワクチン打った住民が素直に待ってくれればいいんですけどね……
“やがて40代や50代に広がるのでは…”感染再拡大へ懸念 東京 (NHK)
南関東以外では感染者数は順調に減っているらしいのだが、東京都を含む南関東では増加傾向。
特に東京都での増加傾向は明らかなものになっているが、これは緊急事態宣言解除がトリガじゃないと思うんだよね。
というのも6月に入った頃から酒類を提供する飲食店への休業要請に背く動きが出ているという話があって、
酒類の提供禁止で縛り付けようにも従わない以上は、制限付きで酒類の提供を許して秩序を取り戻すしかなかったというが、
これは飲食店に墓穴を掘らせただけで、まぁこれはやっぱりあかんかったねって休業要請を出すんでしょう。
国も解除前に再度の緊急事態宣言も辞さないと予告してたから、想定通りのシナリオなんでしょう。
飲食店での酒類提供禁止は明らかに効果のある対策だが、事業者・住民がその意義を理解できるかが課題である。
そもそも今は50代以下にはワクチンがほぼ普及していない状態だからこの程度で済んだかも知れんが、
俺もワクチン打った、俺もワクチン打ったで酒盛りしては、感染して、周りにまき散らして、
本人だってワクチンの効果が不十分で重症化する可能性はあるけど、周りの人がワクチン2回接種完了しているかというとそれは違うわけで、
そしたらワクチン打った人同士の酒盛りで、周りの人が重症化しては最悪死ぬではいかんわけである。
だからワクチン打って従来の暮らしを取り戻そうなんて宣伝してはいかんのですよ。
それが成り立たないという道理が理解できるような人は、緊急事態宣言下で酒盛りなんてしないだろうから。
かといって、ワクチンの効果を控えめに伝えてはワクチンの普及が進まないということになると思う。
ワクチンの普及度が高くなれば、同じ対策なら感染者数は減り、同じ感染者数なら重症患者・死者数は減るはずである。
基本的にワクチンの効果は本人に及ぶもので、周囲の人の感染リスクを減らすものではないと解するべきだと思う。
はしか のワクチンほどに感染自体を防ぐ効果はなく、インフルエンザより少しよい程度と考えるべきだろうから。
ただ、それが社会全体に普及することで医療機関の逼迫を防ぐことが出来る。
これは大きな意義なのでやはりワクチンは普及してこそ意味があるのである。
でも、その効果を最大限に得るためには、普及して重症者数を低く抑えられるまでは我慢が必要である。
一方でどこまで行ってもワクチンを接種しない人は一定いるはずで、体質などの事情もあろうと思う。
また、ワクチンを接種しても常に重症化を防げるわけではない。
ワクチン普及後にも残る重症化しうる患者をどうやって救えるかということも考えないといけない。
ワクチン接種が実質完成しても、こういう患者数が許容できなければ、特別な感染対策を一定維持しなければならないだろう。
これがどれぐらい問題になるのかはよくわからないんですよね。
感染後に効果的に重症化を防ぐ方法が明らかにならないと難しいかもしれないなと。
ワクチンの普及が進んでくると、ワクチンを接種せずに重症化した人がパッシングを受けるというのは、
これまでの流れからも容易に想像できるところで、これは大変なことだなと思う。
でも、少なくともこの夏はワクチン接種で何か変わることはないですよ。高齢で重症化する人は多少減るだろうが。
忘年会シーズンだって怪しいですよ。その時点でのワクチン普及率が8割とか行ってるとは思えないし、
それで重症患者数が爆発しないということを実証するにはある程度の期間をかけて様子見をしないといかんだろう。
しかし、このことが正しく伝わるかどうかは非常に課題であり、
ワクチン接種が急激に進むということは、ワクチンの効果の理解が不十分な人を増やすことと同義ではないだろうか。
というわけで懸念はしてるんですけど、一方でワクチン接種以外の策は難しい。
当初、1つの解と思われた「Withコロナ」は、ブラジルやインドなど変異株の蔓延で間違いと明らかになった。
集団免疫は得られないばかりか、人類は新たな脅威に晒されることになった。
オーストラリアのように「ゼロコロナ」で根絶を図る方法は、人道的な問題が大きいのも問題だったが、
きびしい制限にもかかわらず何らかの形ですり抜けると、急激な感染拡大にもなりかねないところである。
ワクチンは感染を防ぐ効果は不十分としても、重症化を防ぐ効果は高く評価できる。また変異にも一定程度の効果は期待できる。
このことからワクチン普及が進めば、ある程度の蔓延は許容できるということになろうと思う。
重症化を防ぐ治療の確立など、感染後の対策にも期待したいところだが、現時点ではその策には乏しい。
ゆえにワクチン接種は現在、確実に効果のある唯一の解なのでなんとしても普及させるべきとは導かれる。
ワクチン普及にせよ、厳しい感染対策にしても、住民の理解があってこそのことである。
過度な期待はさせてはいけないが、一方で長期的な作戦というのは正しく共有したいものである。
ただ、総理大臣は本当にこのことを理解してるのかな? とも思うわけである。
ワクチン接種を進めるべしという方向は正しいかも知れないが、それだけでは無理だと思うんですよね。
そういう現実を本当に直視しているのか。そのことは全く伝わってきませんから。多分わかってないと思うんですが。