みちびき に静止衛星がある意味

衛星測位と言えば、昔はGPSだったけど今はいろいろなシステムがある。

全世界でサービスを提供しているものだけで、GPS(アメリカ)・Galileo(EU)・GLONASS(ロシア)・北斗(中国)と4システムもある。

そこに地域限定で日本の みちびき、インドのIRNSS がある。

地域限定といっても必ずしも国境にとらわれるものではない。


日本が みちびき の計画に着手した段階ではGPS以外は整備途上で、

EUからGalileoに相乗りしないか? というオファーもあったとか。

みちびき の特色は準天頂衛星であるということ。

静止軌道と同じ1日で地球一周する軌道ではあるのだが、赤道上ではなく傾けている。

これにより1日のうち8時間程度は日本の真上にいることになる。

ビルの谷間などでも真上にある衛星からの電波は受信しやすい。

GPSは地球から見ると絶えず動いており、日本の上空にも常にGPSはいるが、

GPSと同じ機能を持つ みちびき が1機でも加われば、GPSがより活用しやすくなるという考えだった。


ところが2017年に打ち上げられた みちびき3号機は静止軌道なのである。

東経127度の赤道上にあるということで、ある程度空が開けていれば見えるが、

準天頂衛星である1・2・4号機と比べるとどうにも見通しにくい位置である。

その後、6号機は東経90.5度の静止軌道、7号機は東経184.5度の準静止軌道に投入された。

(準静止軌道は赤道上でわずかに動くという軌道で、ほぼ静止軌道である)

なお、5号機は準天頂軌道に入り、準天頂衛星4機体制になる予定だったが、打ち上げに失敗して3機体制が続いている。


なんで静止軌道に打ち上げられる みちびき があるんでしょうね?

理由の1つには みちびき だけでも測位を可能とするためというのがあるそう。

GPSを補完する目的でスタートしたが、みちびき だけで4機あれば一応はそれだけで完結する。

もっとも、それなりに空が開けた場所でないと実現できないが。

みちびき だけで測位を行う必要性があるのかは甚だ疑問だが、アメリカの都合でGPSは使えなくなる懸念はある。

その場合もGalileoは使えるのでは? というわけでやはり疑問符は付くが。


位置が固定されていることで、常に日本から見える場所にあり通信の都合がよいというのがあり、

この目的で安否確認サービス「Q-ANPI」が3号機に搭載されている。

また、SBASという飛行機向けの衛星測位の補強情報を送っている。

これはもともと ひまわり から送ってたんですよね。その機能をみちびき3号機が引き継いだというわけ。


もう1つ、これはまだ実現していないが衛星同士の距離を測定することで測位精度を高めるため。

高精度測位システム(ASNAV) (JAXA)

これが実現するとスマートフォンのような一般的なGNSS受信機で精度がよくなるということである。

ただ、残念な事に5号機がないと、6号機・7号機を含めて活用できないのである。


ところで みちびき は日本での利用を主眼に置いて作られたもので、

国土地理院の電子基準点のデータに依存するcm級の補強信号は国内でしか使えないが、

GPS同様のGNSSとしての利用や、MADOCA-PPPという別の補強信号は日本に限らず使える。

韓国では日本と同様に利用できるのはいうまでもない。

準天頂衛星は南半球の上空にも行くのでオーストラリアでも利用できる。

東南アジアには準天頂衛星もそうだし、静止衛星が真上だから利用しやすい。

というわけでこれらの地域では知らず知らずのうちに みちびき を使っていることもあると思われる。


当初思ったほどの画期的な効果は得られていないのかなと思うところはあるが、

国際協調でよりよい測位システムを作った結果なので、これはこれで意義があるのだろう。

みちびき は GPSだけでなくGalileoとの組み合わせなども技術開発が進んでおり、

より精度良く測定する手段が増えたことは確かである。

まだ みちびき は完成までしばらくかかるシステムだなと思うけど、

(準)静止衛星の6号機・7号機もそこに寄与してくれるはずであると。

今のところは万が一他のGNSSが使えなくなったときの予備ぐらいの意味しか無いが。