NHKの番組でNHK放送技術研究所の公開の話が出ており、
久しぶりに行くかと。前に行ったけど11年前ですね。
NHK技研で来たるべき8Kを知る
そりゃ当時とは全然事情が違うわけか。
うちから鉄道で行くとなかなか面倒なのだが、途中までバイクで行くと行きやすい。
ナビに従って走って行き、なんやかんやとして世田谷区砧のNHK技研に到着した。
デカイ建物だなと思った。まぁ放送分野では日本最大の研究所だし。
全体的な感想としては、本業が放送局なので、説明がわかりやすいですね。
資料もさることながら、話し方とか、拡声器とかいろいろ準備もあるんだろう。
そんな中でも気になった話がいくつか。
「可搬型リアルタイムアバター合成システム」といっていたが、
8Kカメラ1台で撮影した映像にアバターを合成して、そこからあたかもカメラワークで切り抜いているような映像を作るものである。
「VTuberのような」と説明があったが、NHKですのでリアル世界と合成した映像を作りたいと。
ところがカメラワークがあると合成がとても難しくなってしまう。
じゃあカメラ動かさなきゃいいじゃないと。8Kカメラなら2K程度なら好きに切り出せるよねと。
これは11年でだいぶ変わったなと思うところだが、8Kカメラがすごく小さくなっていたことである。
大きめのACアダプタみたいな筐体から目玉が出たような形である。
11年前はまだ8Kカメラは大きいので、機動性の面では4Kカメラを活用していきたい話もあった。
でも今はそんなことないんですね。8Kカメラが汎用的に使えると。
この合成に使っていたアバターには「砧ラボ」という名前が付いていて、
バーチャル技研職員という名目で会場のいろいろなところに描かれていた。
こういう例題として使えるキャラクタを作るのもNHKって感じ。
地上波・衛星それぞれに新しい放送方式の検討という話があった。
地上波でも4K放送をするという話がある。必要性は疑問視されてるが。
思い返してみれば地上デジタル放送導入時には、瀬戸内などアナログ放送を一旦引っ越しして、
デジタル放送を導入する周波数帯を確保して、しばらく共存させることも行われていた。
しかし、この電波再編は大変なので移行期には新旧方式を同じ周波数帯に乗せるアイデアが紹介されていた。
どうも従来方式の1/100の電力で新方式を送ると、まず従来方式への影響はない。
一方でこのままでは新方式の受信ができないので、従来方式の電波を一旦復調して、
それで従来方式の電波を推定して引き算する。従来方式にとっての雑音を推定するわけですね。
そしたらそこには新方式の電波が入っているというわけである。
ビットレートは落とす必要はあるが、同程度の受信エリアで対応できるはずと。
しかし複雑な方式である。果たしてそこまでするのかというのは議論になりそう。
もう1つ、21GHz帯の衛星放送というのがある。
今のBS放送用の衛星で発射することができて、実験しているらしい。
現在の衛星放送より広帯域で使えるので、本格的な8K放送に使いたい? という話なのかな。
ただ今より降雨に弱いというので、降雨時でもそれなりに受信できる仕組みを考えていて、
これも大電力のデータに小電力のデータを重畳するという方法が考えられていると。
あわせて受信できれば完全なデータが揃うし、大電力の方だけでもそれなりの放送は見られるはずと。
現在のNHK BSで採用されている降雨時用のデータを別に送る方法よりは、
サービスレベルを維持しやすいのではないかとのことだった。
あと目立ったのが360度カメラですね。
ACアダプタに目玉が付いたような8Kカメラに驚いたと書いたが、
実はこのカメラに魚眼レンズを付けて、背中合わせで組み合わせると、
それで360度カメラになるというもので、技研では多く使われているのだろう。
その360度カメラの情報を伝送するための方法や、それを表示する方法、
さらには将来的な表示方法としてホログラムの研究など行われている。
これも果たしてNHKの放送に乗せられるかというところは課題はあるが、
360度カメラでの撮影自体は活用されているのではないか。
この技研公開の中では NHK TECH EXPO というのがある。
どうもこれは各放送局の技術部門など、技研以外の取り組みを紹介している。
その中で野球中継でスコアボードを画像認識してBSOや球速を自動で放送に反映するものがあった。
これを開発したのは松山放送局とある。
なんで松山? と思ったのだが、NHKではどこの放送局でも高校野球中継というのがある。
プロ野球と違ってデータ連携するような仕組みは期待できない。
従来は手入力だったが、これを画像認識に置き換え、しかも球場ごとのセッティングもすぐできると。
これなら高校野球の都道府県レベルの大会にも容易に適用できると。
技研の表札には「NHK財団」という字も書かれていた。
NHK財団はいろいろな業務があるが、NHKの研究活動で生み出された成果をNHK以外で活用するための受け皿という側面があるよう。
技研の研究活動の中で特許をとることもある。
それをNHK自身が使うこともあるが、必ずしもNHKだけが使うわけではない。
その際にNHK財団を介して特許の活用ができるようになっていると。
他にも放送研修センター・ことばコミュニケーションセンターという、
アナウンスなどの教育活動を行う機能もあって、実は技研のビルに入居しているらしい。
どちらかというとそららの表札だったのかも。
8Kというのも十分に手が届くものの、8K放送自体はそんなに意味はない感じで、
実際のところ4Kすら解像度という点では微妙なところはある。
放送や映像という点で研究したいテーマはいろいろあるけど、
NHKがやる意味も考えながら、いろいろ選んでいるのかなとは思う。
しかし、今のデジタル放送の方式が古いので置き換えた方がいいのはわかるが、
BSの4K放送もNHK以外は続かないという話もある中で、置き換えどころじゃない気がするんだよな。
さらに放送にこだわる必要もないじゃないかという話になるとなおさら。