午前の熱中症リスクは高い

JRAが暑熱対策として従来の1日12レースから7レースに削減して、

その削減したレース数に相当する分、開催日を増やすことを考えているとのこと。

JRA、夏は1日7レースに削減 競馬暑熱対策、来年から (47NEWS)

なお、現在は法令の上限まで開催日を設定して、全て上限の12レースまで実施しているため、

暑熱対策で削減したレース数に相当する開催日を増やすのは法令改正が前提である。


今年は7/25~8/29の中京競馬場・新潟競馬場で12時頃~15時頃の長い昼休みが設定される。

この間も札幌競馬場でのレースは行われている。

メインレースは昼休み明け2レース目の7レースに設定されている。

その後は12レースまで行い、全て終わるのは18時台である。

終わる時間が遅いと、その後の馬や厩舎関係者の移動が大変なので、

両トレーニングセンターからの交通の便が良い、中京・新潟での開催で行うことにしている。

1日5レース削減というのはこの昼休み前のレースをやらないことを指している。


それで思い出したんですよね。それは高校野球のことである。

甲子園2部制、午前1試合と午後3試合に 3回戦までオンライン抽選 (朝日新聞デジタル)

夏の高校野球でも熱中症対策で長い昼休みが導入された。

昨年までは午前2試合・午後2試合で13時ごろ~16時の試合を避ける形で行われていた。

ただ、野球というのは試合時間が読めないので第2試合が想定より延びることもあった。

そういう影響もあり、第2試合での熱中症疑いが多かったそうである。

このため今年からは午前1試合・午後3試合という形になるそう。

昼休みは11時ごろ~13時半という形になる。13時半開始とかそれはそれでどうなんだと思うが。


共通して言えるのは午前の熱中症リスクは思っているより高いということである。

強い日差しがあり、気温が急上昇していくのがよくないのだろう。

思い返して見れば2021年の東京オリンピック、

トライアスロンなど相当な早朝スタートになったが、それでも距離短縮など競技に影響があるのではないかと言われた。

もともとオリンピックは世界的なテレビ中継の都合で時間が決まることが多く、

しかもこのときは無観客だったので別に早朝でもよかったが、

早朝では観戦に困るというのが通常の考えである。


そう考えると午前はやらないというJRAの判断も妥当性はありそうだ。

ただ、その分を全て午後にやるとはしなかった。

これは地方競馬との関係である。近年は地方競馬はナイターに活路を見いだしている。

結果として夏の暑さ対策にもなっている側面もあるんだよな。

120レース分の付け替えも現在2場開催になっている日程を3場開催にするとか、祝日の開催を増やすとか、

現在の地方競馬との関係を大きく変えない形で行われるのではないか。


結局は夕方から夜が熱中症リスクが比較的低いということなんかな。

しかし、高校野球もこれ以上遅くするのは難しそうなんですよね。

第4試合がプロ野球のナイターより遅いということもあった。

甲子園球場はナイターの設備があるから、試合をするだけなら問題はないが、

応援に駆けつけている関係者にとっては大変なことである。

高校野球は高校の夏休みに日程を収める必要があり、1日の試合数を変えるのは難しい。

休養日を削ればという話もあるかもしれないが。

そのため13時半からの試合を設定せざるを得なかったんだろうなと。


高校野球も競馬も1日の気温推移を見て決めたんでしょうけど、

実際にやってみると熱中症リスクの軽減には不十分だったと。

WBGTという観点で見るとどうなんだろう? と調べたが、

神戸の昨年8月のデータでWBGTが特に高い時間帯(平均WBGT>29.5)は11~15時のようである。

この時間帯に危険とされるWBGTが31以上も集中している。

各種の準備を考えると午前中に使える時間はかなり限られていると言える。


法令改正により暑熱対策で削減した分のレースを他に振り替えれば、

理屈の上では出走機会は変わらないということになる。

条件別のレース数も基本的には維持する考えのようである。

ただ、夏の下級条件(特に3歳未勝利)が削減されるのは避けられず、

特に未勝利馬にとっては従来より早く勝ち上がることが求められることになる。


実はすでに暑熱対策で大きな影響を受けたところに九州産馬限定戦がある。

JRAの九州産馬限定戦は2歳新馬2レース、未勝利1レースとOPクラスの ひまわり賞がある。

ひまわり賞は「九州産馬のダービー」とも言われる名誉あるレースである。

この九州産馬限定戦は小倉競馬場で開催されるのが慣例である。

九州だからというのと、ひまわり賞は佐賀からの参戦も想定しているからだろう。

ただ、暑熱対策のため、もっとも暑い時期は中京・新潟で開催することにした。

小倉競馬場ではトレーニングセンターとの往来に時間がかかるため不適であると。

このため夏の小倉競馬の開催時期が前倒しになり、九州産馬限定戦も全て前倒しになった。

レース数が維持されてもその意義が変化してしまう一例である。


というわけでなかなか困った話ではあるんですよね。

高校野球も、午前1試合・午後3試合で折り合えればいいけど、

これではやはり熱中症リスクの軽減に不十分という話もあるかもしれない。

13時半からの試合は相当過酷でしょうよ。

そうなると1日3試合にしろという話になるかもしれないが、

これでは高校の夏休みに収まらないとなれば、出場校を減らすとか考えるのかもしれない。

まずは枠組みを大きく変えないところからスタートするけど、なかなか難しいのが実情か。