政令指定の麻薬

日本の薬物規制の中心になっているのが「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬だが、

麻薬の中には医療用医薬品として使われるものもある。

中には家庭麻薬として同じ成分でも濃度により麻薬の規制から外れるものもある。

それを家庭麻薬という


ニコニコ動画に医療用の麻薬について紹介する動画を上げている人がいた。

いわし@超ビビリ/医療用麻薬 徹底解説 (ニコニコ動画)

麻薬のうち医療用に使用されるのは11成分だそう。

麻薬として法律に列挙されているのは76成分、そのうち1/7ほど?

気になって法律を見てみると、フェンタニルが見つからないじゃないか。

なんで? と思って調べると、この一覧にはこういうものがある。

前各号に掲げる物と同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用がある物であつて、政令で定めるもの

この中にフェンタニルも入っているわけですね。

「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」を見ると確かにあった。

フェンタニルはモルヒネと類似する働きをする成分なので、モルヒネと同種と政令で定めるのは妥当そう。


政令指定の麻薬というと「危険ドラッグ」と言われる新しい薬の印象があったが、

医療用に使われる物でも比較的歴史の浅いものはそういう扱いの場合があるんですね。

医療用途で重要な薬なら機を見て法律にも書いた方がよさそうだが、

モルヒネなど法律に書かれた麻薬と扱いは全く同じなので問題はない。

なお、現在政令指定の麻薬は157成分あるので、合計233成分中、医療用途で使われるのは11成分となる。


医療用麻薬の用途は、痛み止め・咳止め・手術中の麻酔 でほぼ収まるようだ。

咳止めの用途では「家庭麻薬」に該当する範囲のコデイン類が使われることも多い。

手術中の麻酔は病院内で閉じる話なので、患者が意識することは少ない。

となれば、医療用麻薬=痛み止めというのが大方の理解である。

それもほとんどはがん患者への処方だという。


元々の意味としては麻薬=ケシ(アヘン)から派生した成分だったのだろう。

アヘンそのものの規制は あへん法 という別の法律によるが。

医療用麻薬のうち、ケタミン以外はアヘンの派生成分またはそれと類似する働きを持つものと言えそう。

医療用麻薬は全てアヘンの派生成分、またはそれと類似した働きを持つよう合成されたものと言える。

ここに2023年の法改正で大麻の種子・成熟した茎以外と麻薬成分のTHCが正式に加わった。

大麻が麻薬になる


もっともこれらの似つかない成分も政令指定の麻薬には多くあるが。

医療用麻薬のうちケタミン(政令指定の麻薬)は位置づけが違うように思う。

国際的な規制の枠組みでも麻酔薬としての重要性から規制対象外で、

日本でも2007年までは麻薬扱いではなかったが、乱用が問題となり追加されたと。

医療用としては手術中の麻酔が全てで、レミフェンタニルなどの麻薬とも並ぶもの。

ただし、これは人間向けの話で、動物用としてはケタミンが圧倒的だったそう。

このため獣医師など、新たに麻薬施用者・麻薬研究者になることを迫られたものは多かったよう。

広く普及しているが目的外に流出したときの危険が大きいからこそ、麻薬にしたと言えますが。


以前、こんな話を紹介した。

日本では覚醒剤の医療目的での処方は制度上可能だが極めて厳しい。

(コンサータは歴史を繰り返している?)

麻薬の中にも別格とされる成分があり、それがヘロインである。

わざわざ麻薬及び向精神薬取締法にも「ジアセチルモルヒネ」として他の麻薬と区別して書かれている部分がしばしばある。

世界的には医療用に使われることもあるらしいが、かなり危険な薬である。

当然のことながら日本では医療用に使われることはない。

おそらくヘロインが日本では一番厳しい制限を受ける薬物なんだろうな。

次いで覚醒剤、医療用の処方は名目上可能だがほぼ使い物にならない。

他の麻薬は妥当な用途があればという話だが、妥当性が見いだせない成分が大半なのは冒頭に書いたとおり。