最近知ったのだが、大麻取締法が「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改題されるそう。
これは大麻取締法の栽培に関わる規定以外を削除するためである。
そして、大麻が麻薬として扱われることになるためである。
元々、大麻ってのは麻薬とは違う扱いだったんですね。
背景にはこんな事情があったよう。
大麻取締法では、大麻を輸入や栽培をしたり、所持や譲渡をしたりした場合は懲役刑が定められていますが、使用については罰則がありません。
これは、大麻草の栽培農家が刈り取り作業を行う際、大気中に大麻の成分が飛散し、それを吸い込み「麻酔い」という症状が出て、処罰されかねないことが考慮されたためと言われています。
しかし、改正の議論を受け、厚生労働省が栽培農家に対し、作業後の尿検査を行ったところ、麻薬成分は検出されず、「麻酔い」は確認されなかったということです。
日本では栃木県で主にしめ縄用に大麻の栽培が行われている。
麻薬成分をほとんど含まない品種で、安全な栽培が可能となっている。
その結果として大麻の使用を取り締まっても差し支えないという判断となり、
大麻を麻薬として扱えることになったわけである。
ただ、当たり前ですが大麻の繊維部分は麻薬としては扱わない。
従来の大麻取締法では「大麻草の成熟した茎」と「大麻草の種子」とそれらの加工品は法規制から除かれていた。
一方で新しい制度では麻薬の定義が「別表第一に掲げる物及び大麻」となり、
この大麻というのは「大麻草(その種子及び成熟した茎を除く。)及びその製品(大麻草としての形状を有しないものを除く。)」と定義された。
従来は大麻から成分を抽出した製剤も「大麻」となっていたが、新しい定義では大麻には含まれないこととなる。
ただし、麻薬の定義にあった別表第一に Δ9-THC と Δ8-THC が加えられる。
これが大麻の麻薬成分としていわれていた物質である。
これにより、これらの成分を含むものは一律に麻薬としての規制が可能になる。
これは取締の実務にも合っていると言われている。
一方でこれらの成分を含まない大麻の加工品については自由に流通でき、
例えば、CBDという成分が医薬品に利用されている例があり、
この成分は幻覚作用を持たないため、厳しい規制なく利用できるようになるのではないかとのこと。
この法改正の動機として大きかったのはこの部分らしい。エピディオレックスという薬だそう。
もう1つ、麻薬になることで変わることが医薬品として利用できることである。
麻薬というと薬物濫用のイメージが強いが、一部の麻薬は制限の中で医療用途で活用されている。
というか薬局でも普通に買えて……というのが「家庭麻薬」の制度ですね。
家庭麻薬は制度上の麻薬からは除外されており、麻薬施用者の免許がなくても取り扱えるが、
同じ成分でも濃度が高い場合は麻薬としての法規制を受ける。
一般的な麻薬は厳しい制限があるが、それでも薬局で処方されることもある。
大麻のTHC成分を含む医薬品がそのように使われるかは定かではないが、その可能性は作ったという形である。
今までの大麻の規制はいろいろ奇妙なところがあったのだが、
麻薬としての規制に含まれるようになったことでシンプルになった。
その中でも特別扱いしなければならないのが栽培という側面で、
繊維目的での栽培を認める一方で、濫用目的での栽培を取り締まるという必要があり、
これは今後も変わらないので今後も継続することになる。
他にも植物由来の麻薬はあるけど、医薬品目的にしても濫用目的にしても、麻薬を作るという点では共通する。
一方で大麻については、繊維を取り出すと大麻の法規制から外れるので、
繊維目的の栽培が特別であるというのはこのような事情もある。