昨日、Blogに書こうとして書き損ねたのだが、
北陸新幹線の延伸工費が倍増 費用対効果が条件割れ、国交省公表せず (朝日新聞デジタル)
北陸新幹線の敦賀~新大阪は小浜・京都・学研都市経由で建設されることが決まっている。
ただ、この区間の費用対効果を計算すると0.5倍程度になりそうだとのこと。
原因は建設費の高騰である。
新幹線建設による効果は大きいとみられるが、とにかく建設費がかさむ。
小浜~京都は長大トンネルが必要になり、京都市内や大阪平野は地下を走り、
元々建設費はかかると思われていたが、2.1兆円程度と見積もっていたのが、
見積もりの精度が上がるにつれて3.9兆円と倍増しそうだという。
この結果、元々1.1倍程度だった費用対効果が0.5倍程度に下がると。
ところで総便益の計算ってどうやってやるかご存じですかね?
鉄道や道路事業の場合、時間短縮効果などをお金に換算する。
そして、開通後50年間とかの毎年の便益を並べる。
これを社会的割引率(一般的には年4%)を適用して現在価値に換算して合計する。
北陸新幹線のこの計画は15年後に開通して、そこから50年間の合計らしいが、
15年後の100億円と64年後の100億円をそれぞれ現在価値にすると54.9億円、7.7億円である。
15~64年後に毎年100億円というのを現在価値で合計すると1.21兆円になる。
100億円×50年=5兆円ではないんですね。
社会的割引率が4%というのは高すぎないか? とは言われている。
もしも国債の利回りなど参考に社会的割引率を2%に設定すると、
15~64年後に毎年100億円を現在価値で合計すると2.36兆円になる。
なんとそれだけで総便益が倍ぐらいに増えてしまうのである。
新幹線の開通により得られる効果には高速化というのもあるけど、
在来線に比べると格段に運休や遅延など起きにくいのもメリットである。
特に大阪・京都~敦賀では湖西線が強風で運休になることが多く、
その場合は米原経由になり30分程度の遅れが発生してしまう。
新幹線開通後はそのようなこともなくなるだろう。
ただ、このような効果は総便益の計算には含まれていないようである。
貨幣価値に換算できない便益として考えてきたようだ。
また交流人口の拡大という効果もありそうで、これは福井県は特に期待しているのでは?
若狭地域は交通の便が悪いが、小浜に新幹線が通ると状況は大きく変わる。
従来は若狭と行き来する需要自体がなかったものが新たに発生するだろうと。
すでに新幹線が取った越前地域にしても、大阪・京都からは敦賀乗換のため新幹線の効果が薄れているが、
大阪・京都と直結になることで、より密接になることは考えられる。
しかし、このような交流人口の拡大というのは新幹線の総便益の計算に入っていない。
なかなか妥当な計算方法がないのも理由かもしれない。
というわけで、このあたりの計算方法の見直しで費用対効果を1倍越えにしてから建設に着手したいと考えているようだ。
計算式を変えて費用対効果を1倍以上にするというのはどうかと思うかも知れないが、
元々、新幹線事業の総便益の計算は控えめだったように思う。
従来は貨幣換算できないとしていた便益に新幹線で期待されている効果がかなりあって、
そこをきちんと貨幣換算して評価すること自体は意味があるのでは?
ただ、それでも解決しないのが巨額の建設費である。
JRから受益の範囲で支払われる貸付料を裏付けにした借入金を充てる部分もあるが、
大半は国・都道府県が負担するため、予算確保が大きな課題となる。
この区間の工事に着手できていないのはルート決定に時間がかかったのも理由だが、
予算の都合で北海道新幹線の事業と同時に進められないのもある。
貸付料でまなかう割合を増やせれば加速できる可能性はあるが、JR各社の利益を圧迫する形になり難しいようだ。
以前、こんなことを書いたのですが。
敦賀~米原として米原で東海道新幹線に接続すれば、京都・大阪・名古屋いずれへも便利で、建設費も安いので有望視されたこともあった。
でも、米原で東海道新幹線へ乗り入れるのは実現性に課題があるということで問題となった。
結果的には、敦賀~小浜~京都~学研都市(松井山手)~大阪(新大阪) というルートで決着したのだが、
小浜経由という当初計画を生かせること、京都・大阪の双方へ直通できること、滋賀県は建設費負担がないこと、
京都~大阪が東海道新幹線と二重ルートになるが、学研都市経由とすることで差別化できる、
ということで沿線府県いずれにもメリットがある案で決着できたということである。
費用対効果という点では敦賀~米原だけ建設するというのは比較的よいが、
これだと京都・大阪へは乗換駅が敦賀から米原に変わるだけである。
もちろん名古屋・横浜方面に乗換1回で済むなどの特有のメリットはあるが、
そのような利用は全体にしては少なく、最終的に得られる効果はだいぶ劣る。
一方、小浜・京都・学研都市経由で新大阪へ至る案は利便性や交流人口拡大など、
最終的に得られる効果はかなり大きいが、建設費の高さゆえ費用対効果は厳しくなっている。
どちらを選ぶべきかは単純には言えないが、最終的に得られる効果の大きさは重視してもよいのではないか。
ところで、北陸新幹線の京都市内にできる駅として、
京都駅付近という計画の他に桂川駅付近という案もあるらしい。
北陸新幹線の「京都新駅」、候補3か所提示へ…年内にも詳細ルート決定の見通し (読売新聞)
京都駅南側というのはいかにもありそうな案だが、他路線との乗換が遠い。
また都心部の地下を通るとなるといろいろな困難が想定される。
このため都心を通らず、在来線との乗換距離が短くなる、
桂川駅周辺というのも一考に値するのではないかという話である。
桂川駅であればJR京都線の列車が多く利用できるし、
阪急の洛西口駅も近いため、阪急で四条方面なども考えられる。
元々の亀岡市内を通る案だと京都市内へのアクセスが問題で使いにくいとみていたが、
桂川だったらそういう問題はないんじゃないかな。これはありかもしれんね。