バイクも人も山登り

昨晩、時刻表を見て、明日は宿を早く出ないといかんなと思った。

山陰本線の豊岡~鳥取間は本数が少ない。列車の間隔がかなり開くのでよく考えて動かないといけない。

というわけで早い方を選んだわけで、7時台の城崎温泉行きに乗る。

ちょうど通学の高校生が大挙して下車したところに畳んだバイク担いで乗車。

玄武洞公園の対岸にある玄武洞駅を経て、その次が城崎温泉駅である。

言わずとしれた温泉リゾートの最寄り駅、でも朝早くては無人だった。なんだそれ。


次の宿への移動中でもあるので、リュックサック1つの荷物もある。

城崎ならコインロッカーに預けてしまえば……と思ったのだが小銭が足りなかった。

両替は観光案内所と言われても観光案内所も開いてないし。考えたが背負っていくことに。

円山川沿いに走って、くねくね曲がってたどり着いたのは城崎マリンワールド……

といっても水族館に行くには早すぎで、お目当ては日和山海岸である。

この日和山海岸には城崎マリンワールドやホテル金波楼が存在しているのだが、

海岸線を独占してはいなくて、日和山海岸を見るだけなら自由である。朝早くても大丈夫。

ただ、水族館の敷地ではあるらしく、解説の看板にはペンギンが描かれていた。

ジオパークのビジターセンター(これは営業時間前)も水族館の会社が開設しているよう。

日和山というのは航海にあたり天候を見るために使われた小高い山らしく、

確かに遠くも見通せそうだ。気象衛星がない時代には高いところから見るには有用な手段である。

複雑に侵食された海岸線が美しいのだが、目の前の島になにかある。

これは後ヶ島といい、日和山海岸の目印だったのだろうが、浦島伝説で浦島太郎が玉手箱を開けたとされる島である。

どうも浦島伝説は丹後で伝承されてきた話で、浦島太郎が竜宮城から帰る途中に寄ったところがここだったと。

それにちなんで後の人が竜宮城を作ったのである。別にここに竜宮城があったわけではないが。

このことの是非はともかく、日和山海岸の歴史を著すエピソードの1つである。


事前に地図で見ていたら、この先の道路に展望台があることがわかっていたので、

進むのだが急坂で12km/hぐらいまで速度を落としながらも進んでいく。

まぁバイクにしては非力だよな。自転車と考えれば上等ではあるが。

荷物を背負ってこの急坂では電池の消費が激しそうだなとは思いつつ、

展望台に来ると日和山海岸一帯をよく観察できる。本当に複雑な海岸線である。

さっきのところもそうだが、けっこうゆっくり観察していて、なぜかというと次の浜坂行きの汽車までだいぶ時間があるから。

そろそろいくかと時間を見計らって、ブレーキかけながらゆっくり下りる。


戻ってきたら城崎温泉駅には駅員もいたし、大阪行きの特急が出る直前だったのでそんな客もちらほら。

そんな中で乗り込んだのは浜坂行きの汽車、しかし乗るのはたった1駅である。

というわけで竹野駅で下車、ここも豊岡市なんですね。

竹野駅で下車する人はかなり多かった。観光客もけっこう降りてたように見える。

バイクを組み立てて走って行くと同じ汽車を降りて海岸まで歩いている人を追い越していった。

海水浴シーズンとあっては駐車場もかなりの値段を掲げている状況。

これではうかつに駐車できないなと思ったが、賀嶋公園の入口にちょこんと停めるのはなんとかなりそうだった。


ということでここから登山である。そんなつもりはなかったが思ったより登山だった。

まず、ここは猫崎半島の散策路の入口である。

海水浴場に近いからかサンダルで登るな、スニーカーなどちゃんと登山の備えをしろと書いてある。

ここから猫崎灯台までのルートがあるのだが、途中に賀嶋山(標高141m)があるので、

登って下って、帰るときはその逆、けっこうハードなんですね。

とはいえ、この猫崎半島を間近で見るにはこれが一番である。

汗だくになりながら進んでいく。途中、右も左も海という地点がけっこうある。

とはいえ、木々が生い茂っているところが多く、眺めがよいところは限られる。

やはりハイライトは賀嶋山を過ぎて、谷に架けられた橋を渡るところか。

ここは西岸が大きく侵食されており、猫崎半島が削り残しであることがよくわかる。

猫崎灯台が見えるところまで来たが、笹が生い茂っており灯台に近づくのは断念。

ちなみにこの灯台の先が兵庫県最北端である。


戻ってきて次の地点へ向かうためにバイクを走らせる。

調べごとをするために竹野観光協会のWebサイトを見たら電動キックボードの貸出をしているらしい。

竹野の人たちは特定原付を見慣れてるのだろうか? いやそんなことないだろうなと思いながら緑ランプ付けて走る。

途中にジャジャ山公園というのがあり、ここから竹野浜を一望できると。

また山登りかよと思いつつもやはり見たくて階段をずんずん上がる。

ここはこの周辺の津波避難場所になっているのだが、津波予報に応じて避難の高さの目安にするためか標高を書いた杭が何本かあった。

ここからみると竹野浜、そして猫崎半島、竹野川などよく見える。

猫崎半島は猫が寝そべっているように見えるからその名前が付いたというが、確かにそんな気がする。

現代人に言わせれば「キューピー人形が仰向けになっているようにも見えます」とも。そうか?


竹野にはあといくつか見ておく景勝地があるらしい。

というので隣の切浜地区へ向かう。けっこうなアップダウンがあり、15km/hぐらいまで速度が落ちる区間も。

県道のトンネル手前に看板とベンチが置かれているが、はさかり岩の観察スポットである。

2つの岩に挟まれた岩があるという不思議な構図である。

どうも削り残った2つの岩の間に落石があったのではないかと書かれている。

確かに落石の危険があるようで、道路沿いの崖はコンクリートで固められていた。

削れ方の違う岩が複雑な形を作るという点ではもう1つ、淀の洞門もそうで、

こちらは切浜海水浴場に沿った道を走っていると、確かに貫通している穴がある。

どうもこのあたりで違う種類の岩が重なっているようで、それで穴状に削られたようだ。

「大鬼が金棒で穴を開けた」なんていう伝説もあるが、そうも思えてしまう景色である。


そんなこんなで時刻表を見るとそろそろ汽車の時間だということで駅へ向かう。

思っていたより1本早いが、それならそれで先に見て回るところもある。

というわけで今日の宿の最寄り駅まで2駅、汽車には高校生が多く乗っていたがテスト期間だろうか。

バイクを組み立てて宿まで走るが、宿の手前の急坂で電池切れ。まぁここまで持てば頑張った方か。

荷物に坂に27kmぐらいしか走れなかったが、致し方なしだろう。というわけで押し歩き。

宿にチェックインして部屋で充電しながら、周辺を少し散策してみる。


このあたりは今子浦といい、山陰海岸国立公園の中でキャンプ場・ホテルなどを整備したゾーンらしい。

このあたりの海岸線も複雑でそれを観察できるのが大引の鼻展望台である。

日本海を見るということで言えば今までのどこのポイントよりよいことは確かである。

ここもまた複雑に削り残ったところで、周りにはそんな島がいくつかある。

展望台から戻ってくると「かえる島」と書かれていて、なんだ? と見ると本当にカエルの形をした島があった。

「奇勝」と書かれていて、特に文化財的な価値は認められていないがなかなか完成度が高い。


1時間ぐらい充電したところで再出発。というのも明日の天気を考えると少し前倒ししておきたかったのだ。

というわけでたどり着いたのは香住漁港近くの岡見公園、これも急坂である。

途中で押し歩きに切り替えたけど、けっこう電池消費したかもな。

ここもまた削り残った島だったらしい。それが後で砂がたまって陸続きになったと。

香住漁港のある一帯がそのつながってしまったところなのかも。

黄色い花があるが、これはユウスゲといい、この時期の夕方に開く花らしい。

あまり意図していたわけではないが、この時間帯に来たのはよかったかもしれない。


その後いろいろ用事を済ませて宿に戻ろうとしたら途中で電池切れ。

10kmぐらい走って電池切れで1時間充電だとその程度なのかと。

あと2~3kmぐらい持ってほしかったのだが。と押し歩き。

行動範囲と電池という点では今回の旅行ではいろいろ考えさせられた。

今日が一番ハードだったかもね。元々は竹野と宿周辺少しのつもりだったが、

日和山海岸をねじ込み、竹野でも思い立って切浜まで足を伸ばし……

旅程的にはそれでもゆるゆるなんだけど、電池は全然足りてない。

人間にとってもハードな1日だった。たくさん山登りしたからね。


というわけで明日の天気は雨で、雨の中出かけるのは避けられないが、

ずっと雨というわけではないので、うまく避けながら散策したい。