4月には大阪・夢洲での国際博覧会が開幕、
というわけでそれに向けて進めてきた関空の第1ターミナルリノベーションが一応の完成を迎えることとなる。
まだ残工事はあるんだけど、出発・到着の経路については一応の完成とのこと。
関西国際空港 T1リノベーション ~2025年春 グランドオープンに向けて~ (pdf) (関西エアポート)
で、けっこう衝撃的な話が書いてあるのだが、
なんと3月からは関空の国際線ラウンジは1箇所に集約されるという。
このラウンジというのは航空会社がビジネスクラス・ファーストクラス利用者や上級会員に提供するもので、
従来は航空会社別のラウンジが用意されていたところ、全て1つになる。
全て1つというと厳密ではなく「ビジネスラウンジ」と「プレミアムラウンジ」の2本立てではある。
とはいえ全社共用でターミナルビル3階中央にまとめて配置されるので、
1箇所といっても差し支えないのではないかと思う。
国内線は2022年の南ウイングへの移転時に全社共用のラウンジ「Lounge KANSAI」になっている。
元はJALのサクララウンジ、ANA LOUNGEがそれぞれ存在したのだが、
そもそも両社とも関空発着便が限られている中でなかなか見合わない状況だったのだろう。
そんな中で国際線エリア拡大のため国内線エリアを縮小・移転するということで、
ラウンジもコンパクトなもの1つに集約するというのは致し方ないことだと思っていた。
ただ、国際線までも1つに集約されるというのは驚きである。
現状、関空国際線の航空会社ラウンジは7つ存在する。
北ウイングにはKALラウンジ(大韓航空)、ラウンジパシフィック(キャセイパシフィック)、ANA LOUNGE、飛鳥ラウンジ、
南ウイングにはサクララウンジ、中央部にはKIXノースラウンジとKIXエアサイドラウンジがある。
このラウンジは各航空会社が搭乗客に割りあてることになり、
航空会社ごとの系列に従ってラウンジが割りあてられる……とは単純に言えない。
搭乗口の近くのラウンジが割りあてられるからである。
もちろんJAL便ならできるだけサクララウンジが近い南ウイングを使うわけだけど、
そううまく割りあてられないケースも多く、特にリノベーション工事が始まってからは、
ゲートの一時閉鎖や国内線エリアの移設など変則的な割当が多くなっているそう。
KIXエアサイドラウンジ・KIXノースラウンジはその穴を埋める上で重要な役目を担っているようだ。
国際線エリアの各所に航空会社ラウンジを散らせるというのは案内面では難しい事情もあるようだ。
以前から中央部の3階に航空会社ラウンジを集約する絵は存在した。
ただ、それはサクララウンジ、ANA LOUNGE、KALラウンジ……のように各社のラウンジが並ぶものだと思っていた。
でも、それならもはやデカイのをドカンと1つ作ってみんなで使えばいいじゃないと。
従来の出国審査場・免税店エリアの中央部が全部ラウンジになるんだから、そりゃ広いですわな。
混雑も平準化され、利用者にとっては広々して使いやすくはなるのかなと思う。
ただ、悩み所は各社がラウンジサービスで差別化できなくなるということ。
最近は変則的な割当も多くなっていたようだけど、
自社でラウンジを設けるような航空会社はそれだけ気合いも入っていたはず。
それが関空ではできなくなってしまうのだから重い話である。
ビジネスクラスなど利用者や上級会員への体裁としては共用ラウンジを提供すればよいが、
それは関空発着便を使うどの航空会社でも変わらないわけだし。
あとは搭乗口との距離は遠くなってしまうだろうなと。
この搭乗口との位置関係をこだわると割当が難しいという問題はあったが。
上級会員の利用が多い便はできるだけ中央部に寄せるとかするのかもしれない。
羽田-伊丹便の両空港での搭乗口の割当が好立地なのはラウンジ利用者の便を考えてなんて話を聞いたこともある。
関空国際線だと何なのかはよくわからないけど。
これほどの規模の空港ではなかなかないことだと思うが、
これはこれで画期的な取り組みなのかもしれない。
今回のリノベーションは建物をそのまま使いながら、国際線の処理能力を激増させること。
国内線エリアの縮小、3階一般エリアの縮小という明確な変化はあるが、
多くは細かい配置の合理化でスペースを捻出しているというのが実情である。
ラウンジも各社細々と設けるとオーバーヘッドが生じるが、
まとめればより多くの利用者が広々利用できて、総面積としても削減できる。
こういう考えは確かにあるのだと思った。
南ウイングのサクララウンジを撤去すると38番ゲートも国際線で利用できる様になる。
今回の資料では明確にこの位置に「際内共用」というゲートがありますね。
北ウイングについてはラウンジ撤去による具体的な効果は定かではないが、
現状ラウンジが置かれているあたりは従来1機用だったスポットを、
小型機2機が同時に利用できるようにした搭乗口(1A., 3A)があるので、
このあたりの待合環境の改善という効果はあるのかもしれない。