昨日、関空のラウンジの話を書きましたが、同日の関西エアポート社の発表にこんなのもあった。
大阪国際(伊丹)空港の英語表記を「Osaka Itami Airport」に ~インバウンド旅客の利便性向上に向けて~ (pdf) (関西エアポート)
伊丹空港と呼ばれることが多いが、正式名称はずっと大阪国際空港である。
そもそも伊丹空港という呼び名も後で書く事情で違和感はあるのだが、
混乱をきたさない呼び方としてはこれが一番よいのが実情である。
で、大阪国際空港という名称の最大の問題はもはや国際線はないということである。
そう、国際線がなくなって30年経つのに「国際空港」なのである。
日本の人は事情を知っているからあまり問題はないけど、
国際線という観点では大阪の空港というのは関西しかないわけで、
Osaka(Kansai)と書いてあればよい方、単にOsakaと書いてあることも多い。
で、今までは英語表記で “Osaka International (Itami) Airport” とか書いてあったと。
一応はItamiと付記されることが多いが、Internationalとは付くこともあり混乱のもとだったという。
結局は一番見分けやすいのが空港コードだったのかもしれない。
関空行きのバス乗り場にはKIXと書き、伊丹行きのバス乗り場にはITMと書くようなことは行われている。
でも、なんで今に至るまで大阪国際空港って名前のままなんだろうと。
1つは周辺地域への配慮というのはあると思う。
周辺地域への騒音対策のために関空が作られ、国際線は移転したわけだけど、
結局は国内線の基幹空港として存続することになり、そこには地元の要望というのもあったわけである。
格下げされたわけではないというアピールは必要だったのかもしれない。
もっとも、国際空港とは言えないのに国が全額負担して管理するのはどうなのだという話があり、
2008年から2012年の新関西国際空港(株)への移管までの短期間、一部地元負担になっていたことはある。
伊丹空港と呼ばれることは多いけど、この呼び名も変な呼び名ではある。
というのも伊丹市にかかっていることは事実だが、基本的には空港の裏側だからである。
このあたりは市境・府県境が錯綜する複雑な地域ではあるのだが、
公式な所在地は「大阪府豊中市蛍池西町」となっている。そう、豊中市である。
なのになぜ伊丹空港と呼ばれているのかというと、その昔アメリカ軍が伊丹エアベースと呼んでいたからだという。
確かに滑走路の大部分が伊丹市にあること自体は事実であり、全く的外れな言い方でもないのだけど。
でも、普通は玄関のある大阪府・豊中市の空港であると見るべきであり、
「伊丹空港」と呼ばれることへの抵抗はあっても不思議ではない。
かといって大阪空港ではのっぺらぼうにすぎるし、なんとも難しい。
結果として外国語表記は”Osaka Itami Airport”、
あるいはそれに相当する表記ということで中国語だと「大阪伊丹机場」のようになるのだろう。
地元の抵抗もあるんじゃないかと書いたが今さらなのだろう。
関空と同じ会社が経営しており、国内線の基幹空港としての位置づけは明確で、
それが混乱の原因にならないようにという表記変更なので。
日本語表記では従来通り正式名称は「大阪国際空港」で通称「伊丹空港」というのは変わらない。
そういえば羽田空港もほぼ国内線のみの時代も含めてずっと「東京国際空港」でしたねと。
1978~2002年は台湾の航空会社のみが利用し、2002~2010年はチャーター便としてソウル(金浦)便などが運航され、
2010年以降、新国際線ターミナル(現:第3ターミナル)の開業により再国際化と言われるように。
でも、一応いろいろな事情があり国際線自体は途切れたことはない。
対になる成田国際空港(当初は新東京国際空港)がかなり離れているので、混乱は少なかったのかもしれない。
ちなみにさっき空港の地元負担の話を書いたけど、羽田空港は現在も全額が国費負担である。
他の全額国負担だった空港が会社化されてしまい、国直轄の空港では唯一になってしまった。
もっとも直近の羽田空港の拡張事業は地元からの融資や民間企業のPFI事業なども活用されているので、
会社経営の関西・中部・成田との実態としての差はあまり多くないのかもしれないけど。