前から噂には出ていたが、大鳴門橋に自転車道を併設する事業がスタートしたらしい。
大鳴門橋自転車道起工式 後藤田知事と兵庫県の齋藤知事ら出席 (NHK)
しまなみ海道の架橋部(新尾道大橋を除く)は歩行者・自転車でも利用でき、
それを利用して瀬戸内海を周遊する観光客がそれなりにいる。
また、淡路島を自転車で周遊する人もいるが、そうなると気になるのが淡路島~四国を渡る手段がないことである。
本州(明石)~淡路島(岩屋)はジェノバラインの船に自転車乗せられるのだけど。
淡路島~四国にかかる大鳴門橋は新幹線の走行空間が確保されているが、
この区間の四国新幹線は開通する見込みはなく(cf. 四国新幹線は何のため)、
鳴門側の一部が遊歩道「渦の道」として使われている。
これを淡路島側まで延長して、歩行者・自転車が利用できるようにする計画である。
ただ、しまなみ海道は有料道路の一部として歩行者・自転車・原付用の道路を整備しているが、
大鳴門橋自転車道は徳島県・兵庫県の事業として行われる。
大鳴門橋の道路空間を占有して整備される遊歩道という位置づけになるとみられる。
利用できる時間は限られ、利用料も「徒歩・レンタサイクル500円、自転車1,000円を想定」とある。
有料道路と考えると高額だが、現状の渦の道が510円だから、遊歩道としては妥当な金額か。
自転車とレンタサイクルが違うのは謎だが、入場後に自転車を借りる場合を想定しているのかもしれない。
徒歩利用料+レンタサイクル代で、大鳴門橋を自転車で周遊できると。
自分の自転車で周遊する人は追加料金を払ってねぐらいのイメージか。
通行上の制限として現状判明しているのは、既存の展望室など自転車は押し歩きになる区間があるということである。
既存の遊歩道とは別に自転車道を作る区間が全体としては多いのだが、
一部は橋脚や展望室の都合で、自転車の走行空間が十分確保できないので、
そこは押し歩きで対応してねということになる。
なお、渦の道の展望室~淡路島の区間については、幅4.0mを自転車2.5m・歩行者1.5mと分ける形になるそう。
緊急車両の走行も想定して縁石や柵を設けず、区画線で区切る形になるよう。
このため、走行可能な車両の範囲については判然としないところがある。
少なくとも普通自転車は通行できるでしょうけどね。
道路交通法では自転車道や歩行者・自転車専用道路を通行できる車両としては、
二輪または三輪の自転車、普通自転車サイズの四輪以上の自転車、特定原付と定義されている。
二輪・三輪なら幅が広くても自転車道の通行を認めているが、通行の妨げにならないか懸念はある。
そこで幅が普通自転車サイズの自転車というのが一案にはあるようだ。
普通自転車サイズだけど普通自転車ではない自転車にはタンデム車がある。
しまなみ海道には「自転車・タンデム車を除く」という通行止め標識があり、それと一致する。(「自転車」は普通自転車と特定原付を指す)
そして、あとは特定原付ですね。これはどうでしょうね?
これは無理だろうなというのが一般原付・原付二種ですね。
淡路島~四国を渡れないのは自転車だけでなく、排気量125cc以下のバイクもそう。
本州~淡路島も125cc以下のバイクが渡れなかった時期もあったのだが、
ジェノバラインがバイク専用の小型フェリーを導入したので現在は渡れるようになった。
125cc以下のバイクにとっても大鳴門橋はミッシングリンクなのだが、
遊歩道という位置づけ、道幅などを考えるとバイクは押し歩きでの通行を含めて認められないのではないか。
特定原付については、普通自転車サイズで速度も自転車と同程度であり、
歩行者・自転車専用道路での扱いは自転車同様であることなど考えれば通行を認めてもよさそうだが、
バイクの一種で遊歩道の利用を認めることには抵抗もありそうだ。
道路交通法が適用されるなら特定原付はOKでしょうけど、道路じゃないからね。
レンタサイクルと並んで電動キックボードを用意するからOKというシナリオもありそうだが。
というわけで気になる点はいろいろあるものの、
遊歩道の機能だけ考えても鳴門海峡の海上観光として魅力的だし、
自転車道としても淡路島周遊、四国周遊の選択肢が広がるということで、
広域に波及効果が見込めるのは確かではないかと思う。
2027年開業予定なので意外とすぐである。