3000m級の3勝クラスがあってよかった

昨日、ステイヤーズステークス(GII)が行われた。

日本競馬の平地レースでは最長の3600mである。

このレースの出馬表を見たときからちょっと気になってけど、

結果と照らし合わせて、1~5着のうち4頭に当てはまることがあることに気づいた。


それは2021年から登場した3000m級の3勝クラスを走っていたということである。

(他にも5頭中4頭が当てはまることはあるけど、それは後で)

3000m以上のレースを中心に抽出するとこんな感じ。

  1. シルヴァーソニック
    2021年 松籟S(3200m) 3着→ジューンS(2400m)優勝→ステイヤーズS 3着→2022年万葉S 3着→阪神大賞典 3着→天皇賞(春)競走中止(落馬)
  2. プリュムドール
    2022年 松籟S(3200m) 3着古都S(3000m) 優勝
  3. ディバインフォース
    2021年 天皇賞(春)15着→古都S(3000m) 4着→ステイヤーズS 優勝→2022年 天皇賞(春)12着
  4. アイアンバローズ
    2021年ステイヤーズS 2着→2022年 阪神大賞典2着→天皇賞(春) 5着
  5. メロディーレーン
    2019年菊花賞5着→2020年阪神大賞典5着→天皇賞(春)11着→2021年松籟S(3200m)7着→天皇賞(春)11着→古都S(3000m)優勝→ダイヤモンドS 13着→天皇賞(春)9着

プリュムドールとメロディーレーンはいずれも古都ステークス優勝でOPクラスに昇級している。

(メロディーレーンはそれ以前も阪神大賞典・天皇賞(春)に出ているがいずれも格上挑戦)

ディバインフォースは去年は格上挑戦で勝ってるんですね。


そもそも平地3000m以上のレースは2004~2020年は下記6レースしかなかった。

  • 万葉ステークス(OP・ハンデ) 3000m 1月
  • ダイヤモンドステークス(GIII・ハンデ) 3400m 2月
  • 阪神大賞典(GII) 3000m 3月
  • 天皇賞(春) (GI) 3200m 4~5月
  • 菊花賞(GI・3歳限定) 3000m 10月
  • ステイヤーズステークス(GII) 3600m 11~12月

いずれもOPクラスで、格上挑戦は可能だけど、OPクラスの馬が優先である。

ほとんどは重賞で唯一異なるのが万葉ステークスの年1レースと。


その状況が変わったのが2021年、京都競馬場の工事で天皇賞(春)が例年と異なる阪神競馬場での開催となったことである。

阪神芝3200mのコースは外回りと内回りを切り替えるという特殊なもので、

現在のコースでは1回もやったことがないため予行演習が必要と、条件戦が設定されることとなった。

それが松籟ステークス(3勝クラス)である。これまでは2400mで行われていた。

このレースの結果を見て阪神大賞典や天皇賞(春)に行くものもいた。

(勝ってOPクラスになったディアスティマ以外は格上挑戦なんだけど)


一定の手応えがあったのが、菊花賞の翌週にも古都ステークス(3勝クラス)が3000mで行われた。

菊花賞は3勝クラス以上なら出られるから、3歳でここに回るのはいない。

そして来年、京都競馬場での競馬開催が再開し、予行演習の必要はなくなる。

このため、来年から松籟ステークスは無難な3000mに改められるが、引き続き3000m級の3勝クラスとして存続するようである。

万葉ステークスと合わせてもたった年3レースだが、それでも3歳戦の菊花賞を除く4つの超長距離重賞のステップとして役立つようだ。


なお、ステイヤーズステークスの上位馬は天皇賞(春)ではアテにならないというのが定説である。

GIで上位になるような馬が秋シーズンに走るレースではないと。

通常は有馬記念(2500m)やジャパンカップ(2400m)が目標となる。

従来、3000m級のレースが重賞に極めて偏っていたのは、重賞で勝負できる馬なら2400m前後でも勝ち上がれるという考えがあったんだと思う。

菊花賞(3000m)のトライアルレースがセントライト記念(2200m)と神戸新聞杯(例年は2400m)なのがその一例である。


ただ、最近はそうも言ってられないところがある。

JRAでは大阪杯(2000m)・天皇賞(春)(3200m)・宝塚記念(2200m)の3つのGIを春古馬三冠として全て制覇した馬にボーナスを与えている。

ただ、春三冠達成どころか、そもそもこの3レース走る有力馬がほぼいない。

天皇賞(春)が3200mと異様に長いため、大阪杯からの転戦がほぼないと。

ドバイと香港の国際招待競走もあるので、中長距離の上位馬の目標となるGIは

ドバイシーマクラシック(2400m)、大阪杯、クイーンエリザベス2世カップ(香港・2000m)、天皇賞(春)の4つに分かれる。

香港の前哨戦には金鯱賞(2000m)が人気があり、天皇賞(春)の前哨戦はもっぱら阪神大賞典(3000m)か日経賞(2500m)である。

そしてこれら4レースから宝塚記念に転戦するか、夏休みに入るか。

最近の春シーズンの有力馬はそんな具合である。

この中であえて天皇賞(春)を選ぶメンバーというのは菊花賞上位馬などに限られ手薄である。

だからこそ3000m以上の才能を見いだすためのレースが必要になったと。

3000m級の3勝クラスをなんとか勝ったような馬がGIで勝負になるか?

確かに疑わしいが、見当違いの馬が走るよりは充実したレースになるだろう。


同じく2021年、新ジャンルの3勝クラスとしてダートの牝馬限定が登場した。

JRAのダートの牝馬限定戦は従来は2勝クラスまでしかなかった。

OPクラスについては地方開催のダート重賞があるが、狭き門である。

牡馬と混ざって3勝クラスを勝てばよいのだが、ダートでは牡馬と牝馬の差は大きいとされている。

それで3勝クラス勝つような馬は強いけど、そんなのは一握りですがな。


というわけで誕生したダート牝馬限定3勝クラス、年2~3レースだが、早速大快挙につながった。

今年3歳にしてJBCレディスクラシックを優勝したヴァレーデラルナである。

2歳12月の未勝利突破後、1勝クラスで2着4回、3歳6月の1勝クラスを勝ち、

8月の八女特別(2勝クラス)を勝ち、10月にトルマリンステークス(3勝クラス)を勝ちOPクラスに、そしてJBCレディスクラシックへ。

このトルマリンステークスがダート1800mの牝馬限定戦だったと。

これだけ強い馬なので、牡馬と混ざっても3勝クラス突破できたと思うが、

関東オークスを逃しながら、3歳秋にJBCレディスクラシック勝つのは、ダート牝馬限定3勝クラスの効果である。


そんなわけでOPクラスの一歩手前、3勝クラスの充実が大きな効果を生むという話だった。

ところで冒頭に「他にも5頭中4頭が当てはまることはある」と書いたが、

それは5頭中4頭の父の父がステイゴールドということである。

シルヴァーソニック、アイアンバローズ、メロディーレーンの父がオルフェーヴル、

プリュムドールの父がゴールドシップである。6着のエドノフェリーチェもそう。

長距離戦となるととかく存在感を放つ一族だが、ここまで揃うのは異質。