土管の街から名古屋市内を右往左往

半田市内にはJRと名鉄が通っているが、名鉄の駅の方がはるかに立派である。

利用者も多いが、本数を比べると断然こっちの方が多かった。

その名鉄の駅にやってきたのは常滑行きのバスに乗るためである。

一部の便はセントレアに乗り入れるので空港連絡バスの一面もあるが、あまり一般的ではないでしょう。

知多バスのWebサイトを見たらmanaca導入と書いてあったからてっきり使えると思ったのだが、対象外路線なので現金しか使えないようで。

常滑市内に入り「INAXライブミュージアム前」でジャラジャラ払って下車。


というわけで最初の目的地はINAXライブミュージアムである。

INAXというのはなくなったわけではないが、表に出てくることの減ったブランドである。

というのも、INAXはトステム他と合併してLIXILとなり、その中のブランドとして残っているというが、商品の刻印もLIXILとなっている。

もっともINAX製品は耐久性の高いものも多く、INAXどころかその前に使っていたinaマークの製品すら見ることもあるけど……

この施設の開業した2006年にはまだINAXの社名が残っていたというか、LIXILという名前が生まれる前の話である。


複数の建物からなる博物館で、迷っている人も多かったが、受付は「窯のある広場」にある。

ここは土管を焼いていた工場である。って土管!? そう、実はINAXのルーツは土管にあったんですね。

そもそも常滑というのは土管と大きな甕の生産が盛んだったそうである。

焼き物が盛んな土地は数あれど、常滑は巨大な焼き物を多く作っていたと。

その理由はあとで書くこととして、工業的に重要性が高かったのが土管である。

粘土を成形して土管の形にして、2階において乾燥させ、それを1階の窯に入れて焼き上げて冷却して取り出して運搬と。そんなことをやっていたという。

実際の土管も展示されていて、食塩釉なんてあったのかと驚きつつも「環境問題で作られなく」と記載されていた。

だいたい想像は付くかも知れないが、食塩はナトリウムと塩素からなり、このナトリウム分がケイ素と結合してガラス質の表面ができるということだが、

残された塩素というのがそのまま排出されれば大問題であったということ。


INAXにとって創業以来、力を入れてきたのが建築陶器ということで、古くはテラコッタ、現在ではタイルということである。

これらの展示が全体としてはメインであり、テラコッタについては解体された建築物からの移設展示、

タイルについては「世界のタイル博物館」で歴史的なタイルの展示、あるいはそれを再現した展示がある。

イスラム文化で生まれ、ヨーロッパで発展し、それが今の日本のタイルの基礎になっているが、

一方で陶を貼り付けるという文化はそれ以前にも各所から伝来し、

それゆえにいろいろな呼び名があったのを1922年に「タイル」に統一したということで「日本のタイル100年」という展示がされていた。


展示では控えめだったが、やはり今のINAX・LIXILの陶器といえばトイレですよね。

「世界のタイル博物館」の中で控えめに展示されていた「古便器コレクション」、

かつては柄の付いた便器が好まれたみたいですね。今にしては悪趣味だが。

常滑は元々便器の生産はあまり盛んではなかった。土管作りに力を入れていたから。

ただ、愛知県としてみれば便器作りは盛んに行われていたようである。


ここから常滑駅まで歩いて行くのに寄り道ということで「とこなめ陶の森資料館」へ。無料で見られる。

常滑焼の過去から現在へ見ていくわけだが、やはり甕なんですかね。

で、常滑がこういう大きな焼き物に適していたのは、海運が使えたということですね。

土と地形は他にも適したところはあったかもしれないが、海に面しているのはなかなかなかったのである。

土管も大量生産したものを海上輸送で効率よく運べるから常滑が一大産地になったと。

ただ、時代を経て甕も土管も使われない時代になってきた。

そんな時代でもデザイン性と耐久性を兼ね備える焼き物には魅力があるということで、その典型例がタイルですね。

このあたりを歩いていると土管や他の焼き物を構造物に埋め込んだり、デザインとして置いているのをよく見る。

出荷できなかった製品をこういう形で活用していることがあるらしい。


常滑駅から電車に乗って名古屋へ。

準急という速いのか遅いのかよくわからない種別だったが名古屋市内までは先着してくれた。

さて、日本ガイシホールに行くわけだが、真っ直ぐ行くわけにもいかない事情がいくつかあった。

まず、ペンライトを忘れたということ。忘れたならそれはそれでという考えもあるが、多色式ペンライトが壊れていたので買ってもいいなと。

次にホールのスタンド席の荷物置き場に困るらしいので、宿に荷物を押しつけたかったこと。

まっすぐ行くなら大江駅で降りると近いけど、そうもいかないので金山まで乗って、昼食食べたらドニチエコキップを購入。ここからは市営交通縛りで。


しかし、ものすごく慌ただしかった。

まず宿の最寄り駅である名古屋駅に行く。荷物を預ける。

そして、ペンライトを買おうとしたが、まぁ大須に行くしかないなと。

上前津駅まで乗り、店で買い物、10分後の電車に乗り直して堀田駅まで。

なぜ堀田駅かというと、基幹1系統で南区役所まで乗るとホールに近いため。

基幹1系統は側方に専用レーンを備えた道を走り、本数が比較的多いので使いやすい。

都心側は栄で、大須からでも矢場町から乗れそうだったが、時間に余裕がないから地下鉄で行けるところまで行くと。

その南区役所バス停で降りて、跨線橋を越えると日本ガイシアリーナ、名前が紛らわしいがプールですね。

その先に見えるまん丸の建物が今回の会場である。

通常は笠寺駅から来ることを想定しているので、導線がことごとくあわないが、

なんとか無事に席に到着できた。10分前、ギリギリだけど間に合ってる。


さて、今回の旅行のお目当てはここで行われる「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LIKE4LIVE #cg_ootd」である。

1会場、名古屋だけで行われるものだが、デレステ7周年合わせという側面がある。

こう言われると、そういえば3周年合わせで前橋で行われた「SS3A Live Sound Booth」が思い起こされる。

さほど競輪場でもない

今回、名古屋市内で「でらます」という周遊キャンペーンが行われていたが、

そういえば前橋でもそんなことやってたよなぁと。とやはり似ている。

もっともイベントの位置づけは前回は6thライブ(シンデレラガールズ初の単独ドーム公演)の前哨戦という感じで、今回は10周年ツアー後の余興のような感じで、ここはだいぶ違うと思う。

やり残し? なんですかね。最近はテーマに縛られてやりにくかったところを攻めたのはあるのかな。


このホールへのアクセスは通常、JR笠寺駅が使われるが、

帰りはひどく混雑することが知られている。臨時停車で本数は稼げるはずなんだけど、駅の構造が悪いのか。

そこで他の交通機関に分散するとスムーズというのは言われていて、その1つにはバスがあると。

帰りも南区役所前から栄行きのバスに乗ってもよかったが、宿は名古屋駅周辺である。

桜通線一本で行ける新瑞橋駅にバスで行った方がいいんじゃないか。

ということで見てみると本数は1時間4本程度あり、跨線橋を渡る前のところにあるバス停から乗れるので楽である。

知ってる人は知ってるのかちょっと並んでいた。まぁ座れる程度だけど。

新瑞橋で夕食を食べて、桜通線に揺られて宿に向かった。

結局、笠寺駅の混雑もしばらく待てば引くわけで、名古屋駅だったらそっちの方が早いだろうと。

それならわざわざこんな面倒なことをする理由はあまりないんだが、ドニチエコキップも買っちゃったしね。

少なくとも栄方面に行くなら基幹1系統はよい選択だと思いますよ。


というわけで名古屋に来てからはいろいろ慌ただしかったが、

お目当てのことはすべてできたし、これはこれでよいということで。

明日は朝から東名ハイウェイバスで帰宅。結局はこれなんだよね。