おととい、そごう・西武 をセブン&アイが売却するという話を紹介したが、
イトーヨーカドーも売却しろという株主からの圧があるが、今のところその気はないらしい。
セブン井阪社長「イトーヨーカ堂は手放せない」 (東洋経済ONLINE)
やはり予想通りというか、セブンイレブンとの関係性ですよね。
セブンイレブンの食品を充実させるにはスーパーがあることはメリットであると。
とはいえ、イトーヨーカドーの食品部門はともかく、他はなかなか厳しい。
というか僕は毎週のようにイトーヨーカドーに買い物に行き、
食品メインだが時々衣料品・日用品も購入しているわけだけど、ここですよね。
特に衣料品は厳しいところがある。
行きつけの店では3年前ぐらいに売場構成がガラッと変わり、衣料品の売り場面積は減ったが、それでもまだまだ広い。
それに見合った客がいるか? と言われると厳しそうである。
どこのチェーンもそうだけど、かつては衣料品というのは稼げる商品だったが、
今は専門店の充実もあって、スーパーの衣料品売り場は儲からなくなった。
じゃあやめてしまえと思うわけだけど、そうすると売り場面積を持て余すことになる。
日用品の強化というところで100円ショップに頼るのもよく見る光景である。
まぁイオンがキャンドゥを買収したのは、まとまった売り場を100円ショップにするというよりは、もっと小さなところを埋める目的とは思うんだけど。
そこを打開できるものが強いということでは、イオンとPPIHでしょう。
イオンは言わずもがな。総合スーパー(GMS)のガリバーである。
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)はドン・キホーテの親会社で、ユニーを傘下に入れたことで知られている。
これ以前はドン・キホーテがスーパーの会社という印象は薄かったのだが、
実はMEGAドン・キホーテはGMSに近い形を指向していたわけである。
ユニーを傘下に入れる前から、長崎屋を傘下に入れていたのはそういうことである。
イオンは専門店化が打開策である。
イオンモールに行くと、イオン直営売場にもいろいろ名前が付いていて驚く。
自転車なら「イオンバイク」住関係なら「HOME COORDY」など。
こういう取り組みも実ったのか、かつて赤字に苦しんだGMSも利益が出るようになったらしい。
専門店化で一番手応えがあるのは「イオンリカー」っぽいですけどね。
なんやかんや食なのかと思いつつ、それだけではなんともなりませんから。
なお、イオン店舗はネットスーパーの拠点という役割も増えている。
そういうところもGMS全体での収益改善に貢献しているようだ。
PPIHは衣食住なら「住」というところに活路を見いだしている。
アピタがドン・キホーテ化された店舗について、市内のどの電器店よりもPC関係の品揃えが良いというコメントをしていた人がいて、
これは話半分としても、今までのスーパーではやらなかったところをやるのは確か。
電化製品もプライベートブランドでいろいろやってるんですよね。
アピタ・ピアゴは今後も続けていくようだが、ドン・キホーテの小型店舗を入れるなどの形で良いところは取り入れているとのこと。
なお、PPIH全体としては、都心型の店舗も多く、これは国内外の観光客が減ったりで苦戦しているのだが、ユニーが傘下に入ったことで地域密着型の店舗が増えた。
これでPPIHはだいぶ助かったらしい。都心型店舗ばかりだと地獄だったでしょうね。
ユニー・ファミリーマートホールディングスがユニーを手放すと聞いたときには、どうなることかと思ったけど、結果的には各方面によい影響が出ているようだ。
こういうのと比べると、イトーヨーカドーは……と思っちゃうけどね。
GMSという商売を考えれば、熱意ある会社に渡った方がと思うところはある。
でも、食品売場はいいんですよね。
そこにセブンイレブンとの関係性があるのかと言われれば、あるとは思う。
今のイトーヨーカドーは全国チェーンというには寂しいことも確かだが、
セブンイレブンとあわせて食品分野での強みを生かすには十分ではあるんだろう。
イトーヨーカドーはセブン&アイの祖業だけど、そのさらにルーツにさかのぼれば「羊華堂」という洋品店にある。
他のGMSもそうだけど、衣料品から始まってるんですよね。
そこからセルフサービス店舗に発展したものが現在のGMSのほとんどである。
衣料品売場の割合が高かったのはそういう歴史もあるんですね。
今では邪魔者扱いされがちだが、これがなければイトーヨーカドーの食品売場もセブンイレブンもないというのは確かなことである。