昨日の菊花賞は、皐月賞・ダービーを勝ったロブチェンが三冠なるかと注目されたが、掲示板入りもできずボロ負けだった。
一方の優勝馬、ゴーイントゥスカイは父コントレイル、
すなわちコントレイル産駒は初年度産駒にしてクラシック競走制覇となったのだった。
ゴーイントゥスカイはダービートライアルの青葉賞を優勝し、これがコントレイル産駒初の重賞制覇である。
コントレイルは三冠馬、その父、ディープインパクトも三冠馬、
すなわちディープインパクト・コントレイル・ゴーイントゥスカイは親子三代で菊花賞を制覇したことになる。
これは史上初のことである。
って、ロブチェンが勝ってもそうだったんですけどね。
父ワールドプレミアは菊花賞馬で、父ディープインパクトなので。
そこでふと気になったのである。他にこういう親子三代制覇ってあるのか?
そしたら、同一のG1級レースを親子三代制覇したと言えそうなものは日本では1例しかないことがわかった。
それも「同一の」とか「G1級」というところに疑問符が付くところである。
というのも……
- メジロアサマ (1970年 天皇賞(秋)優勝)
- メジロティターン (1982年 天皇賞(秋)優勝)
- メジロマックイーン (1992年・1993年 天皇賞(春)優勝)
天皇賞には違いないのだが、秋と春が混ざっているのである。
といっても、この天皇賞はすべて3200mのレースである。
天皇賞(秋)が2000mになったのはグレード制が導入された1984年から。
それ以前は春秋ともに天皇賞は3200mで特別な格付けはなかった。
八大競走の1つに数えられ、現在のG1に相当する扱いであったことは言うまでもないが。
ただ、現在のG1とはいろいろ異なる点もある。
まず、メジロアサマが勝った時代、1980年以前は勝ち抜き制というのがあった。
春秋いずれかの天皇賞を勝つと、もう天皇賞には出走できなくなるのである。
これは引退勧告みたいなもので、天皇賞を勝ったら繁殖に回ってねということである。
実際にはメジロアサマは4歳(現在の年齢表記)で勝って、6歳まで走ってたみたいだけど。
次にメジロティターン とメジロマックイーンが勝った時代、
1971年~1999年は外国産馬の出走が一切できなかった。
(それ以前は外国産馬の輸入制限が厳しかったそう)
この当時は内国産馬と外国産馬の実力差が大きく、一方で出走制限も厳しかった。
クラシック競走に出られない外国産馬の目標にされたのがニュージーランドトロフィー、
そしてこの条件を引き継ぐかのように1996年に新設されたNHKマイルカップである。
格式高いクラシック競走と天皇賞は内国産馬に限るという考えが2000年代まで続いた。
現在はJRAの重賞はすべて国際競走で、International Cataloguing Standards BookのPart IのGI~GIIIとして掲載されている。
このためJRAの重賞は世界的にもG1~G3で通じる。
一方で東京大賞典以外の地方開催のダートグレード競走は、日本ローカルのJpnI~JpnIIIの格付けである。
これは国際的にはリステッドレースという位置づけになる。
どうしてローカル格付けなのかというと、要因はいろいろある国際競走でないことが理由の1つである。
クラシック競走と天皇賞は外国産馬の出走制限が国際的な格付けを得る上で障壁となっていて、
天皇賞は2007年、菊花賞を含むクラシック5競走は2010年から国際GIとなっている。
なので、ディープインパクトが勝った2005年の菊花賞は国際的にはG1ではなくリステッド扱いである。
実はそうなんですね。日本国内ではG1 7勝だと考えられているが、
国際的には4歳で勝った宝塚記念とジャパンカップのG1 2勝馬である。
この時代は同じ表記で国際GIとローカルGIが混在していて一見わからなかったんだけどね。
というわけで厳密にはディープインパクトの勝った菊花賞は現在のG1とは異なるが、
とはいえ、この時代にはもう外国産馬の出走制限も4頭以内と大幅に緩和され、
外国からの遠征馬は出走できないが、そもそも菊花賞に出たい外国馬なんてそうそういない。
なので実態としては現在の菊花賞とほぼ同じものと考えて良さそうだ。
というわけでこの親子三代制覇というのは事実上日本初の偉業である。
で、ゴーイントゥスカイの血統表を見て、あれ? と思うんだよね。
ディープインパクトの母、ウインドインハーヘアはアイルランド産、
コントレイルの母、ロードクロサイトはアメリカ産(日本調教)、
そしてゴーイントゥスカイの母、ゴーイントゥザウィンドウはアメリカ産、
祖父・父こそ日本生まれ、でも母・祖母・曾祖母はみな外国生まれなのである。
ディープインパクトの父、サンデーサイレンスは日本競馬に多くの活躍馬を輩出した。
それにより子はだんだん交配相手に困るようになってきた。
そこで繁殖牝馬をたくさん輸入したのである。日本競馬はお金があるからね。
かつて日本は輸入種牡馬が重宝されたので、種牡馬の墓場と言われていたが、
そこから反転したことにディープインパクトの存在は大きいのだそう。
この流れでコントレイルの交配相手も外国から来た繁殖牝馬が多かったようだ。
生産牧場も3頭とも違う牧場だから、日本の種牡馬のレベルアップの象徴と言えそうですね。
コントレイルは初年度産駒からG1制覇、重賞勝ち馬を3頭輩出している。
なかなかの滑り出しとは言えるが、想定と違ったのも実情だと思う。
何が想定と違ったかというと、2000m以上が主戦場だったことである。
現役時代のイメージだとマイルぐらいで強いんじゃないかと思われていたそうである。
なので2歳も早いうちから活躍する馬が続出するだろうとおもいきや、
2000mの新馬・未勝利戦が出る頃からぞろぞろ勝ち出す状況、
初の重賞制覇が2400mの青葉賞、G1制覇が3000mの菊花賞というのも納得である。
すごいんだけど、思っていたのと違うというのが生産者の思いだろう。
というわけでコントレイルの交配相手や産駒のマネージメントも見直しが必要ということだろう。
でも、これならいつかダービー馬は出しそうですよね。
ところでここまで見て気付いた人は多いと思うのだが、
ディープインパクトとコントレイルはともにクラシック三冠、さらにジャパンカップも親子制覇である。
(ディープインパクト産駒の牡馬でジャパンカップを勝ったのはコントレイルが唯一である)
ということは、コントレイル産駒が皐月賞・ダービー・ジャパンカップのどれを勝っても親子三代制覇である。
ズルいというか、コントレイルの戦績ってすごいんですよね。