京都市バスの均一運賃が市民は200円、それ以外は360円になるという話が出ている。
以前より観光客で混雑してバスに乗れなくては困るという話があり、
その中で市民優先の運賃制度を検討していたというが、なかなかの格差である。
京都市民以外でも通勤・通学のため市バスを利用する人はいる。
ただ、月16回以上利用する人は260円まで値引くような考えもあるよう。
それでも現状の230円よりは値上がりするが、260円ならば応分の負担ということなのだろう。
京都市バスにはいくつかの側面がある。
市外からすると観光客の混雑に手を焼く市バスの姿が思い浮かぶが、
それと同じか、場合によってはそれ以上に大変なのが通勤・通学客の混雑である。
このため市バスでは車両・乗務員を多く確保する必要がある。
一方で都心部の混雑路線では概ね黒字をたたき出している。
大もうけとはいかないものの、バス事業を支えているのはこれらの路線である。
そして生活路線としての側面で、その中には相当な不採算路線を抱えている。
そうはいっても鉄道の不便な地域が多い京都市、利用者は多い傾向にある。
そのため減便して赤字額を減らすという策には出にくい。
そこでふと気になったのである。京都市バスで赤字の絶対額が多い路線はなんだろうと。
京都市バスでは系統別の旅客数と営業係数が公表されている。
よく考えれば市バスは均一運賃がほとんど。利用者数×230円=運賃収入と近似できる。
(実際には小児運賃や障害者の割引運賃などあるので230円を使うのは不適切だが)
営業係数は運賃収入100円あたりの利用、(営業係数-100)が運賃収入100円あたりの赤字額である。
すなわち 利用者数×(営業係数-100) が赤字の絶対額を表す指標になりうる。
この 利用者数×(営業係数-100) という数字を計算して大きい系統が市バスの足を引っ張っていると言える。
で、その上位にあるのはこんな系統である。
- 18 (二条駅西口~九条通~久我石原町・久世橋西詰)
- 13 (四条烏丸~西大路通~久世工業団地前・久我石原町)
- 西2 (桂駅西口~西竹の里町~洛西BT)
- 西3 (桂駅西口~南福西町~洛西BT)
- 84 (九条車庫~葛野大路通~太秦天神川駅)
- 71 (九条車庫前・京都駅八条口~四条大宮~松尾橋)
- 16 (京都駅八条口~十条通~京都駅前)
- 南1 (竹田駅西口~久我~桂川駅前~桂駅東口)
- 西5 (桂駅西口~新林センター~桂坂中央)
- 西8 (桂駅西口~南福西町~洛西BT)
などなど……18系統と13系統がこの指標では若干突出している。
あと、京都駅~洛西ニュータウン方面の路線は細々分かれているが、
実は西8系統は西3系統・西1系統のルートを統合したもので、
西3・西8・西1の3系統を合計すると、これが一番大きくなる。
というわけでなるほどなぁという結果である。
最上位にいる18系統は大宮通・千本通を南下していくバスだが、路線図を見ても一見よくわからないバスである。
京都水族館へのアクセス系統に名前が挙がったこともあるが、
大宮通では207系統などのおこぼれをもらっている部分もあろう。
そしたら羅城門より南のユニークな区間はもっと散々では?
13系統はそれに比べれば四条通~西大路通の南側を結ぶ唯一のバスで意義はわかりやすいが、郊外の利用状況は悪いのだろう。
利用者数の多さがゆえに毎時4本程度と多いことも足を赤字額が多そうな要因である。
そして洛西ニュータウン方面、利用が多いのはそうだが、ニュータウン内をぐるぐる回る都合か、効率が悪いようだ。
列挙した中では84系統は小型バスで毎時1本というコミュニティバス的な路線で、
利用者の掘り起こしをしてこの数字なので、それはそれでいいのかなと。
コミュニティバス的なということで言えば16系統も大概だと思うのだが、
これは毎時2本程度、それに見合っているのかはよくわからない。
ということで、南区方面と洛西方面の赤字額が大きい傾向にある。
18系統・13系統は他の公共交通機関があまりない区間を走っていたり、
洛西方面は京阪京都交通・ヤサカバスなどある中で、分の悪い路線が市バスに集まっている側面もあるのかもしれない。
市バスの使命とはいえ、これが本当に持続可能なのか? と考えることも必要な時期が来るのかも知れない。
なお、洛西地区は市バスが京阪京都交通などの運賃に合わせている区間で均一運賃ではない。
こういう区間には市民優先の運賃設定は適用されないのでは?
複数社で分業しないと運びきれませんからね。どうなるか知らないけど。
京都市バスの均一運賃230円は使い方次第という側面はある。
ただ、地下鉄との乗継割引が一定の利用がある人だけが対象となり、
昔に比べると地下鉄とバスを組み合わせて移動するモチベーションが減っている。
都心でのバス折り返しが難しいとか、市電時代からの経緯もあって、
循環系統を筆頭に、都心部を貫通する長距離のバスが京都市バスの大きな部分を占めている。
乗客の入れ替わりも相当ある一方、長い距離を利用する人もいる。
どうせ均一運賃を払うなら、バス1本で長く移動できた方がよいという考えはあるのだろう。
ただ、それが市バスの混雑の原因ではないか。均一運賃が他都市に比べて高い原因ではないかというのはある。
地下鉄・バスを組み合わせた賢い利用を促すという点では バス・地下鉄1日券 というのがあるが、
一時は900円まで下がっていたが、全体的な見直しで1100円になった。
おそらく市民以外のバス運賃が値上がりすれば、これも上がるのだろう。
これはバスという点では洛北・嵐山の京都バス、山科・醍醐の京阪バス、栂尾までのJRバスをカバーする点では強いが、
鉄道という点では市営地下鉄2路線のみ、阪急や京阪の都心区間は使えない。
当然じゃないかといえばそうかもしれないけど、四条通・河原町通・東山通というバスの混雑区間の代替ルートである。
都度払いならば機動的に選びやすいが、1日券があるとその範囲でとなりがちである。
その点では バス・地下鉄1日券 にも欠点はあるのではないかと思う。
均一運賃360円払うなら、それでたくさん移動できた方がお得という考えも出てきそうで、
確かにこの値段でも鉄道より割安という区間は京都市内にはたくさんある。
そういう考えで利用されてしまうと、市バスのリソースは食い潰されるばかり。
京都市バスが均一運賃を基本としていることは仕方ないことではあるけど、
短距離利用であれば割安、鉄道との乗り継ぎであれば割安、というのを実現しないと持たないのでは?