朝日新聞デジタルを読んでいたら、学術論文を紹介する記事がけっこうあるんだけど、
そこに https://doi.org/… というURLがだいたいに書かれている。
iPS細胞使い筋ジスを治療 京大など、筋肉再生に成功 (朝日新聞デジタル)
こんな風に。
doi.org の DOIというのは、Digital Object Identifierの略である。
インターネット上にあるドキュメントを表す識別子で、主には学術論文で使われている。
DOIは “10.1016/j.stemcr.2020.06.004” のように、スラッシュで区切られた文字列で表される。
スラッシュより前の 10.xxxx というのは各機関のプレフィックス、スラッシュより後ろは各機関で任意に決めた文字列である。
このDOIの前に https://doi.org/ と付けたURLにアクセスすると、論文のページに飛べる。
朝日新聞では、学術論文を紹介するときは、このDOIを使ったURLで紹介しているわけですね。
書いてあるURLにアクセスすると、実態のあるページに飛ぶというのは、bit.lyのような短縮URLと似たような話である。
DOIもURLを短縮するという効果はあると思うが、主目的はそこではないらしい。
DOIの主目的というのは、URL変更によるリンク切れが起きないようにするため。
いろいろな事情でドキュメントの実体を表すURLは変更されることがあるが、
それに応じてDOIに紐付けられたURLを変えれば、DOIからドキュメントへのアクセスを維持し続けることができる。
ちなみにDOIの前に付けるURLは、現在は https://doi.org/ だが、かつては http://dx.doi.org/ だった。
というわけで、DOIを呼び出すURL自体は必ずしも永続的ではないということである。
今のところは過去の表記でもアクセス出来るので、URL表記でも問題ないとみられる。
ただ、参考文献にDOIのある文献を書くときは、”DOI:10.xxxx/xxxxx” のように記載するのが正しいようだ。
新聞では論文を読みたければ、ここからアクセスしてねってことでURL表記なんでしょうね。
DOIは誰でも登録できるわけではなくて、登録機関ごとに分野が決まっている。
日本ではJaLCという登録機関があって、学術論文・書籍・特許情報・研究データ等を対象としている。
日本国内の団体でも外国の登録機関で登録していることはあるだろうけどね。
それぞれの登録機関で、著作権者であるとか、あるいは著作権的に問題ないことが審査された上で登録されるので、
おおかたDOIの用途というのは学術分野に偏っているのが実情なのかなと思う。
別にインターネットで公開されている漫画にDOIを付けてもいいんですけどね。
そうしてDOIを付けたところで使い道がないというだけで。
ちょっと調べた範囲では新聞の紙面ではDOIを含め、学術論文の詳細はほとんど記載されていないが、
朝日新聞デジタルの電子版の記事ではできるだけ紹介していると言うことで差がある。
改めて紙面を見てみると、紙面で「科学」というのは週1日1ページ掲載されるだけで、
ここで話題に出来るテーマというのは2~3個程度に留まる。ベタ記事のごとく簡潔に書くだけの記事も多い。
このような記事の内容について、朝日新聞デジタルで調べてみると、電子版では、紙面でのスケジュールとは無関係に出ていて、
その内容は紙面にくらべれば、はるかに丁寧に記載されている。
政治・社会に関わるニュースは、電子版で速報を出して、朝刊・夕刊の紙面でより掘り下げた記事が出る(それは電子版にも掲載される)という流れが多い印象である。
でも、科学とか健康とかそういう分野では違うんですね。紙面は電子版の抜粋以外のなにものでもないんですね。
というわけで、紙面にURL書いてる記事なんてほとんどないけど、最近になって書くようになったのかと思ったら違うんですね。
今も昔も紙面では書いてなくて、電子版の特徴を踏まえて、電子版だけ書くようになったというのが正解である。
紙面にはURLなんて書く余裕はないが、電子版ならURLがかさばるということはないし、クリックすればすぐにURLを開ける。
そのURLとしては、可能ならばDOIを使うというのが朝日新聞のポリシーのようだ。
だから、ちょっと新聞っぽくない書き方だなという印象を受けた人もいるかもしれない。その通りである。