来年の東京オリンピックではいろいろなところが会場になるが、
お台場海浜公園も オープンウォータースイミング と トライアスロン の会場として使われる。
トライアスロンはスイムは公園内水面、バイク・ランは台場・青海地区の道路で行われる。
実績のある会場なので、その点ではあまり問題ないような気がするが、案の定というべきか水質と水温には懸念もあるようだ。
東京五輪会場「トイレのような臭さ」 テスト大会で不安 (朝日新聞デジタル)
お台場海浜公園は港区台場にある海上公園で、東京都港湾局が管理している。。
第三台場を保存した台場公園と隣接しているのだが、こちらは東京都建設局所管の都市公園だそう。
利用者にとってそこまで重要なこととは思わないけど、少し役割が違うんだよね。
お台場海浜公園の特徴は人工砂浜を備えていること。同じく東京都の神津島から運んできた砂を投入している。
都市の中にある貴重な砂浜ということで水遊びをする人もいるのだが、一方で遊泳は禁止されている。
東京都ではお台場海浜公園のレクリエーション水域の水質調査を継続して行っている。
遊泳禁止ではあるけど、水遊びをすることはできる水域ですからね。
そのデータを見る限り、ふん便性大腸菌の数と、COD(化学的酸素要求量)が、水浴場として不適な水準に達することがあるようだ。
ちなみに、環境省が集計している水浴場のリストを見ると、東京都は全て伊豆諸島・小笠原諸島の海水浴場だった。
一方で、常にこれらの数値が超過しているわけでもなく、水浴場として「可」の水準にあたる「水質B」の判定値を満たすこともある。
あまり水質がよいとは言えないのも確かだが、海水浴場として成立しなくもない水質のときもある。
どうしてこんなことが起きるのかというと、合流式下水道のためである。
東京をはじめとして下水道の整備が早期に進んだ地域では、汚水と雨水を同じ管に流す合流式下水道で整備されてきた。
排水による環境悪化を防ぐことと、都市を浸水害から救うことを早期に両立できる方法だったから。
ところが、合流式下水道には大きな欠点があって、大雨のときには大量の雨水に汚水の混ざった下水をそのまま排水しなければならないこと。
汚水と雨水が同じ管を流れるということは、雨のときは平時より下水量が大幅に増えてしまうことになる。
下水処理場に入りきらない分はそのまま流さざるを得ず、下水処理場に入ったとしても沈殿など簡易な処理だけで流すこともあるという。
実際、お台場海浜公園の水質が悪化するのは大雨の後であることが明らかになっているようだ。
現在、合流式下水道の地域の下水処理場は、最大汚水量の3倍の下水量を受け入れられるように設計しているようだ。
ただ、その3倍の下水に対して十分な処理をできるとも限らないのも実情。
東京の場合、下水処理水の排水先は最終的に東京湾になるわけだけど、東京湾は閉鎖性水域で富栄養化が進みやすい。
そのため、高度処理を導入するなどして、平時の処理水はずいぶんきれいにしてきたようだ。
ただ、大雨のときはどうやっても追いつかないんだよね。そこで後回しにされてきたのが実情だ。
近年になって改善が進められているが、東京都では雨水の浸透と、下水貯留施設の整備を主にしているようだ。
雨水をそもそも地中に浸透させれば浸水害のリスクは減らせるし、下水の増加も抑えられる。これは一挙両得である。
増加した下水を貯留することで、未処理あるいは不十分な処理で放流する水を減らせる。
貯留って言っても限度があるでしょという話だけど、増え始めの下水を貯留できるだけでも効果があるようだ。
合流式下水道の管路は多くの下水が流せるように作っているが、下水量が少ないと流れが悪くなりやすい。
なので、大雨の最初は管路に溜まった汚れが多く流れるそうで、これを貯留して後で処理すると、かなりの改善効果があるようだ。
もちろん、全て貯留できればそれに越したことはなく、貯留施設の整備で未処理での放流回数を1/3程度に減らせた例もあるようだ。
その他の対策としては、下水処理場の処理能力の拡大がある。
フルスペックでの処理量を増やすのは難しいが、大量の下水に簡易な処理ができれば改善につながる。
高速ろ過と呼ばれる仕組みだそうだが、浮遊物質は7割程度、有機物は半分程度取れるようだ。
これを消毒して流せば、大雨のときの水質悪化はかなり軽減できるという目論見である。
下水処理場に処理できる水量を増やして、貯留で下水処理場に入りきらない下水を減らせば、大きな効果が得られそうである。
お台場海浜公園では、レクリエーション水域にスクリーンを張るという対応をしている。
もしも大雨などで外の海域の水質が悪化したとしても、スクリーンで仕切っておけば影響を軽減できる。
もともと水質がよいとは言えないが、競技が出来ないほどに悪化するのを防ぐことは出来る。
ただ、難点もあるようで、それが水温が高くなってしまうこと。外に比べて1℃ぐらい高くなるらしい。
水温が31℃を超えると競技ができなくなったり、制限がかかるのでそれは避けたい。
10時スタート予定の競技を7時スタートに繰り上げたが、そのときの水温が約30℃ということでギリギリ。
オリンピックでは状況によっては朝5時までの繰り上げも考えているとのことである。
せっかく東京でやるんだからということで、お台場海浜公園が会場になったんだと思うけど、やっぱり大変だよね。
基準値は満たしていたとしても、快適とは言いがたい競技環境ですから。
とはいえ、東京都としてもお台場海浜公園をいつか市民が泳げる海にしたいという思いはあって、
それに向けていろいろ取り組んできたし、その成果は生きてるんだと思いますけどね。
合流式下水道の問題も2002年から時間をかけて取り組んできたもので、実際に効果が見えてきている。
平時の水質改善も、大雨のときの水質改善も、もちろん浸水害の軽減も、どれも大切な取り組みだけど、着実に進んでるんじゃないか。