ahamoの意図はなんだろう

昨日、NTTドコモが新料金プラン「ahamo」を発表した。

こういう指摘はありますけど、シンプルで割安なプランになっている。

ドコモ新料金「ahamo」がサブブランドにしか見えない5つの理由 (1/2) (ITmedia)

詳細は定かではないところはあるが、サービス開始後当面はNTTドコモ内々の契約変更であっても、

MNP予約番号の発行が必要になるというところに怪しさがあるなんて。それはそう思う。

(というか、会社合併後のSoftBankとY!mobile間でもMNP予約番号は必須ではないのに)


ahamoが新料金プランなのか、NTTドコモの新通信サービスなのか、どちらが実態に即しているのはよくわからない。

そのあたりは先ほどリンクを貼った記事を見てもらえればいいと思うんですが。

とはいえ、このahamoの説明を見ていてもっとも気になるのがこの部分である。

4. 受付拠点

ahamoはオンラインで受付いたします。新規のご契約や契約後のお手続き・ご相談など、全てahamo WEBサイトや専用のアプリで受付いたします。

※ドコモショップ・ドコモインフォメーションセンターなどでの取扱い・受付は行いません。

オンラインでの直販に限定することがこの料金プランの特色であることは間違いないが、これはどういう意図なのかということ。


よく比較される話ですが、ソフトバンクという会社はSoftBankとY!mobileの2つの通信サービスを運営している。

Y!mobileはEMOBILEとWILLCOMを統合して生まれたもので、その経緯より現在も沖縄県での営業機能はウィルコム沖縄が行っている。

この当時、WILLCOMは日本唯一のPHS会社だったが、PHSが将来畳まれることは見えつつある時代だった。

そんな中でEMOBILEに比べれば店舗網が充実していたWILLCOMの店舗網を使って、

EMOBILEのスマートフォン進出を加速させようという意図が、Y!mobile設立の背景として大きかったと思う。

その後、ソフトバンクという会社に全て統合されたのは、旧EMOBILEとSoftBankのネットワークの統合が進んでいたことによる。

4社合併のうち3社はわかるけど

現在もY!mobileの店舗網は旧WILLCOMの店舗網が主体で、SoftBankの店舗網とは一応は別立てになっている。

ただし、ソフトバンクショップにはY!mobileを取り扱う店舗もある。取扱店の判断による。


もう1つ比較されるのがKDDIにおけるauとUQ mobileのこと。

UQ mobileはもともとUQコミュニケーションズがKDDIから回線を借用するMVNOとしてサービスを開始した。

UQ自身はUQ WiMAXというデータ通信サービスをMNOとして手がけているが、それとは別である。

今もそうだと思ってたのだが、今年10月にUQ mobile事業はKDDIに移管されたそう。(それ以外のUQの業務内容は変わらず)

これによりKDDIは ツーカーのサービス停止以来、auとUQ mobileの2つのサービスを展開することとなった。

もっとも ツーカーとauはネットワークが異なり、ツーカー契約者をauに契約移行させるための合併だったとされている。

それに対してauとUQ mobileは同一ネットワークを使うサービスであり、今後も併営していく予定だという。


どうしてUQ mobile事業はKDDIに移管されたのだろうかというと、まさに店舗網が理由だそうで。

ライフデザインサービスの複合的な提案で新たな体験価値を実現する店舗コンセプト「au Style」を11月20日から順次展開 (au)

au Styleの店舗は au と UQ mobile の両サービスを取り扱うという。

auのみを取り扱う店舗、UQ WiMAX・UQ mobileのみを取り扱う店舗が今後も残るのかはよくわからないが、

KDDIとしては両サービスは同一店舗で提供するというのが、将来像のようである。


以上のことからすると大手3社の店舗網についての考え方は、下記の通りと見られる。

  • ソフトバンク: SoftBankとY!mobileの店舗網は別立てだが、取扱店の判断により両ブランドを併売できる
  • KDDI: auとUQ mobileの店舗網は今後同じにしていく
  • NTTドコモ: 実店舗ではdocomo従来プランのみ取扱、ahamoはインターネットのみの取扱

けっこう違いますよね。


SoftBankとY!mobileのすみ分けというのは明確で、SoftBankは大容量データ通信のプレミアム路線、

Y!mobileはジャストフィットで比較的安価なところを主体としていると言える。

が、SoftBankはiPhone主体、Y!mobileはAndroid主体というのがもっとも本質的な違いだと思う。

iPhoneは高価なので、そのままでは手が届きにくいがSoftBankはプレミアム路線に注力して客単価を上げて、実質的な端末価格の値下げをしているわけである。

こういう事情があるので、比較的安価なAndroid端末など使う人にはSoftBankは不都合である。

だが実態としてSoftBankユーザーは圧倒的にiPhone利用者が多いので、この点はあまり省みられない。

一部のソフトバンクショップでSoftBank・Y!mobileの併売が行われているのは、これを不都合な人も逃さないためではないか。


一方のY!mobileだが、その目的から店舗での取り扱いは安価でシンプルなAndroid端末や旧型のiPhoneに絞り込んでいる。

正直Y!mobile自身の端末の品揃えはどうかとも思うが、一方でSIMカード単独の取扱も注力点であり、

電器店ではSIMフリー端末とY!mobile SIMカードの組み合わせでの販売にも積極的である。

この観点では、最新iPhone(SIMフリー)とY!mobileの組み合わせだって現実的なんですね。

もっとも高価な端末を一括払いで買うのは大変なので、結局は比較的安価な端末がターゲットになるんですけど。

現在、僕が使用しているAQUOS sense3(SIMフリー)はまさにこの用途のためのもの。(cf. 電池をとるか、指紋認証をとるか)


auとUQ mobileはここまで極端ではないが、似たようなもんだと思う。

実質的にはKDDIから購入できる端末ラインナップの差であり、その差が料金体系にも現れていると。

そういうターゲットの差があるので、同じ店舗で併売してもかまわないと考えているんじゃないか。

UQ mobileもまた電器店でのSIMフリー端末とSIMカードの組み合わせ販売は積極的である。


では、NTTドコモにとってのahamoはどうなのか? という話だが、

ahamoの契約は実店舗では取り扱わず、ahamo契約者のサポート(機種変更含む)も実店舗で扱わないという。

また、インターネットでの直販も docomo従来プランとは異なる品揃えになるとのことである。

この点ではSoftBank・Y!mobileと似たような感じかなとも思うけど。

以上のことからすると、下記のようなことにahamoは実質的に対応できないと考えられる。

  • 電器店でSIMフリー端末とSIMカードを同時に入手すること (新規契約はインターネットでしかできないので)
  • ahamo契約者がドコモショップ扱いの端末を購入して使用すること
    (購入だけなら不可能と言い切れないが、従来プラン契約者でなければドコモショップで購入する意味が乏しい)

このことからahamoがいかにお値打ちプランでも、結局はアプローチが難しいんじゃないかとも想像できる。


SoftBankとY!mobileはすみ分けは強力だが、実店舗での取扱はそんなに変わらない印象である。

店舗網は別だし、iPhone主体のSoftBankとAndroid主体のY!mobileでは売り方の力点の置くところは違うが、

新規・機種変更ともに店舗で端末・SIMカードの入手が可能である。

UQ mobileは実店舗強化のために、KDDIへ移管して、au・UQ mobileの併売店を基本とするという方針を示している。

楽天モバイルもMVNO時代から実店舗の強化を進めてきた。

これらの事情とNTTドコモのahamoの考え方は実に対照的である。


ここにはNTTドコモのいろいろな意図が隠れてるんじゃないかというのがある。

ahamoへのアプローチを困難にすることで、従来プランからの流出を阻止するというのが意図の1つかもしれない。

すでに端末を持っている人はよいけど、長期にわたって使い続けることを考えると不都合が多そうな気がする。

こういう損得勘定をした上でahamo利用の決断ができるかというのが実は難しいのではないか。

実店舗に落としている手数料を削減するための策というのが意図の1つかもしれない。

確かにインターネットで全て済めば携帯電話のビジネスはとてもスリムになる。

課題は客がこれを受け入れるかだが、受け入れられれば大きなブレイクスルーかもしれないが……


Twitterを見ていると、ahamoの良さを生かすにはeSIMを導入するのがいいんじゃないかという話がある。

eSIMならば、インターネット申込みからSIMカードの郵送なしにすぐに利用をスタートできる。

実店舗でも通販でも端末を購入したら、そこにインターネットでeSIMをダウンロードすれば使い始められる、

というのならば、実店舗で契約・サービスが受けられない、直販では買える端末が限られるという不都合を埋めやすい。

eSIMは楽天モバイルが積極的だが、こういうときにメリットがあるなと思った。

(もっとも楽天モバイルは最近までeSIM再発行が有料だったので、機種変更に必ず手数料がかかる不都合もあった)