先週末、ラグビーワールドカップと日本チームと戦ったアイルランドというのは、
アイルランド島の合同チームで、アイルランド共和国とイギリスの北アイルランド地域の両方を含んでいる。
そもそもイギリスがイングランド、ウェールズ、スコットランドと別れて出ているのも独特だが、
残る 北アイルランド もこういう形で出場してるんだから、驚くべきことである。
アイルランド島のチームなので、通常は国旗とか国歌が使われるところも、ラグビー協会の旗とチームの歌を使うことになる。
同じような問題は他のイギリスの地域にもあって、イギリス国歌を使うイングランドを除いては、そのための歌があるんだそう。
そんなアイルランド島だが、1960年代から1998年の合意まで、長らく紛争が続いていた。
もとはイギリスの植民地だったが、1922年にアイルランド自由国として独立の道を歩むことになった。
(1922年時点ではイギリス自治領だったが、完全に独立国になったのは1938年ごろ)
ところが、このときに北アイルランドがアイルランド自由国から離脱して、北アイルランドはイギリス本土を構成する地域になった。
そういう背景もあってか、1998年まではアイルランド共和国の憲法にはアイルランド島全域を領土と定義していた。
1998年のベルファスト合意によりこの規定は削除され、現在は北アイルランドの領有権を主張することはない。
ところが、ベルファスト合意にはこんな内容も含まれていたらしい。
北アイルランドで生まれた人にも、アイルランドの市民権が与えられることになった。
気になって調べてみたのだが、現在、アイルランド国籍を出生で取得する条件は、だいたいこうなっている。
- アイルランド島で生まれ、他の国籍を得る権利のないもの(自動的に国籍取得)
- アイルランド島で生まれ、少なくとも一方の親が、アイルランドまたはイギリス国籍
- アイルランド島で生まれ、少なくとも一方の親が、アイルランド島で無期限の在留資格を持っているか、最近4年中3年合法的に居住していること
- 少なくとも一方の親がアイルランド国籍
アイルランドは国籍について出生地主義の国として知られていて、2005年以上は親の条件はなかったという。
いずれにせよ、基本的にはアイルランド島内で生まれれば、アイルランド国籍を取得できるということで、
親の国籍がアイルランドでもイギリスでも、親の在留資格がアイルランドのものでも、北アイルランド地域のものでも問わないということである。
そんなわけで、イギリス在住のアイルランド国籍の有資格者による、アイルランドのパスポートの申請数が増えているよう。
アイルランドのパスポートへの申請数が倍に、EU離脱控え 英 (CNN)
北アイルランドで生まれた人はもちろんのこと、親はもちろん祖父母までさかのぼってもよい。
少なくとも一方の親がアイルランド国籍というのは、アイルランド国籍の有資格者であればよいそうなので。
今までは積極的にアイルランド国籍を主張する必要はなかったかもしれないが、
イギリスがEUから離脱すると、EUの市民としての権利も失う。
ところがアイルランド国籍を有していれば、EUの市民としての権利は保持できる。
容易に重国籍になってしまう実情もあって、イギリスもアイルランドも重国籍を認めているそうである。
少なくともアイルランド共和国としては、国籍の取得において、自国領土と北アイルランドの区別はあまりないのは確からしい。
アイルランド島は1つという思いは今も続いているのかも知れない。
実際、イギリスがEU離脱するとなって、もっとも大きく揺れているのが北アイルランドで、
アイルランド島内で分断されるか、グレートブリテン島と分断されるか、どちらか選ぶべきものもあるだろう。
同じ国なんだからグレートブリテン島と分断されるのはよくないが、それがゆえにアイルランド島内の分断が起こるのも望まない。
何らかの妥協は必要なんだろうけど、そもそも勘弁してくれというのが本心だろうか。
余談だけど、日本で生まれた両親とも外国人の子供がどうなるかというと、通常はこうらしい。
- 両親のいずれかが特別永住者 → 特別永住者 の在留資格を取得(これだけは市町村窓口で申請できる)
- 両親のいずれかが永住者 → 永住者の在留資格を取得
- 両親のいずれかが定住者 → 定住者の在留資格を取得
- 両親のいずれかが 人文知識・国際業務 など家族滞在が認められている在留資格 → 家族滞在の在留資格を取得
特別永住者・永住者・定住者は基本的には子に在留資格が連鎖するようだ。
後に親が永住者になると、扶養されている子も永住者になるので、日本で生まれた後、長く住み続けた場合は結果的には永住者になるケースが多そうだ。
一方で子だけが日本国籍を取得することは基本的にない。(両親がともに無国籍の場合など特殊なケースは除く)
基本的には日本国籍を取得するなら、親子揃って帰化するということなんですかね。
帰化が条件として厳しいかはともかく、自ら帰化する場合は、現在の国籍を明示的に放棄しなければならない。
やはり、そこは両親の両方を外国にルーツを持つ人にとっては、厳しい選択なのかなという気はする。