もうホームを新設するしか

こんなニュースが流れてきた。

京浜東北線しか止まらない… 川口駅に中距離列車停車? JR前向き回答 市、調査費2750万円 (産経新聞)

川口駅に湘南新宿ライン・宇都宮線の電車を停車させる検討のための予算が積まれて、

JRとしても前向きな回答が来ているという話。


東北本線は東京駅から大宮・宇都宮を経て、盛岡まで向かう路線となっているが、東京付近ではだいたい6本の線路が敷かれている。

2本が宇都宮線と呼ばれている快速電車用の線路、以前は東京側は上野駅から始まっていたが、

現在は上野東京ラインとして東海道線と連結されたので、宇都宮・大宮方面から上野・品川を経て東海道線小田原方面につながっている。

2本が京浜東北線と呼ばれている各停用の線路で、こちらは大宮~上野~東京~品川~横浜とつながっている。

大宮~東京では基本的に宇都宮線と京浜東北線は平行していて、宇都宮線は快速停車駅だけにホームがある。

具体的には上野・尾久・赤羽・浦和・さいたま新都心だが、このうち尾久駅付近は京浜東北線と違うルートを走るので宇都宮線専用の駅である。

もう2本が田端~大宮にある東北貨物線だが、実態としては、田端~池袋~新宿~大崎の山手貨物線と連結して、湘南新宿ラインの電車が走る線路になっている。

ちゃんと貨物列車も走ってるんですけどね。ただ、本数としては圧倒的に湘南新宿ラインが多いので。

もともと貨物線ということもあって、長らく赤羽駅だけにホームがあったそうだが、2013年に浦和駅にもホームが新設されたそうだ。


川口駅は東北本線の埼玉県内に入って最初の駅で、1日の乗車人員が8万人以上とのことだ。

宇都宮線との役割分担もあって、京浜東北線のみが停車する駅となっているのはその通りなのだが、

あまりの利用者の多さにホーム上の混雑がひどく、積み残しも発生していて、ダイヤが乱れると改札止めも発生している。

そこで緩和策として、京浜東北線以外の電車を停車させることが提案されたと。

僕が以前に見たのは、湘南新宿ラインの電車を停車させるというアイデアで、

上野方面は従来通りに京浜東北線で、池袋・新宿方面は湘南新宿ラインという役割分担が成り立つのではという話だった。

なお、現在は川口駅と池袋・新宿方面の行き来には隣の赤羽駅で京浜東北線と埼京線を乗り換えるのが通常かと思う。


そもそもホームの新設が可能かどうかが問題だが、設置可能なスペースはあるので、その点では実現性はあるようだ。

ただ、問題は京浜東北線だけが混んでいるというわけではないことで、宇都宮線も湘南新宿ラインも混んでいると。

果たしてそういう状況で川口駅に停車させて問題は解決するのかというのが懐疑的だと。

多くの乗降が見込まれるので、停車時間も長く取ることになるだろうから、川口駅を利用しない人にとっては所要時間増の影響もある。

あと、宇都宮線上野方面と湘南新宿ラインのいずれかだけが停車するようになると停車駅が複雑だねという話があって、

この区間で、さいたま新都心駅(2000年新設)は宇都宮線だけ、浦和駅は2013年以降は宇都宮線と湘南新宿ラインの両方が停車となっている。

ここで川口駅は宇都宮線が通過で、湘南新宿ラインが停車となると、これは一体何なんだと。

もっとも、さいたま新都心駅は近くに埼京線の北与野駅があって、これで池袋・新宿方面に行けるという背景もあるのだが。


線路ごとに役割分担があるので、むやみに停車駅を増やしたくはないが、安全面を考えるとやむを得ないか。

というのがJRから得られたという前向きな回答の背景のような気はする。

かつては京浜東北線の混雑のピーク区間は上野→御徒町だったが、上野東京ラインの完成後は分散したので、

今は京浜東北線の混雑ピークが川口→赤羽で、朝ピーク1時間平均の乗車率は173%と、赤羽で埼京線に分散できる直前が一番ひどい。

それなら川口駅の時点で先手を打ってもいいのは確かかも知れない。

ただ、分散先と目される湘南新宿ラインは本数が少なくて過度な期待ができないので、そちらの対策ができればというのはある。


東京都市圏のJRは路線によって種別ごとの分担がずいぶん違うと思っていて、

中央線の快速電車は平日ならば新宿を出ると、2駅先の中野から各停ということで、とても快速とは思えないような停車駅。

これに利用者が集中するので、ひどく混雑することが知られていて、昼間でもけっこうな混雑だ。

逆に中央・総武線各停の黄色い電車は快速電車との停車駅の差が小さいからか空いているので、

積極的に活用しているが、基本的には三鷹駅で終わりだし、中野折り返しすら多いという状況で使える範囲が限られているのも確か。

その逆に黄色い電車の千葉~秋葉原は、総武線快速に比べて利用者が多いことが知られている。

実は同じ運行系統の黄色い電車でも、区間によって立ち位置が違うほどだ。


なかなかままならないものだが、走る線路が違うので、なかなか機動的に停車駅を変えられないんだよね。

川口駅にしてもそうで、京浜東北線が限界に達したら、もうホーム新設以外に救いはないんだけど、

ホーム新設すると、その線路を走る電車に大きな影響が出てしまう。

というのも、ラッシュ時は停車駅が同じ電車を詰めて走らせて輸送力を稼いでいるからね。

この区間では宇都宮線上野方面と湘南新宿ラインで別々の線路なので、それぞれ分けて考えられるのは救いかも知れないが。


この手の話は、ホーム新設はスペースの問題で困難ということで、門前払いを食らうことが多いのだが、

川口駅については可能ということで、果たしてどういう答えが出るのか注目したい。