東大阪市の近畿車輛、近鉄グループで、JR西日本の徳庵駅に隣接していることもあって、
近鉄とJR西日本の在来線の車両の多くがここで作られている。
最近は阪神、南海、東武からの注文も多いようである。
阪神の新車3000系が納入されてお披露目されたそうである。
同じ工場で同時期に作られた近鉄の8A/6A/1A系と似た雰囲気だなと思った。
近鉄はドア付近にベビーカーや大荷物を持った人のための「やさしば」という座席を設けているが、
阪神ではドア付近のスペースを広げて立席に利用しやすくした「いこいこーな」があるとか。
そんな中でちょっと驚いた人が多かったらしいことが運転席である。
【新型車両3000系 車両設備①|ワンハンドル】3000系の運転、運転士の操作方法がワンハンドルに変わるんです (略) (X.com)
これまで阪神ではツインレバーだったものが、ワンハンドルになると。
近年は在来線の新車はほとんどがワンハンドルになっているのだが、
そんな中でJR西日本・四国と関西の私鉄ではツインレバー式が主流である。
昔はモーターとブレーキの制御が別系統に分かれていたので2本のレバーを操作するしかなかったが、
ブレーキも電気指令式になり、1本のハンドルで操作しやすくなったので、
操作が簡便なワンハンドルが主流になっていったらしい。
各社いろいろ考えがあるようだが、近鉄と南海は勾配区間を走るからというのが理由ではないかと言われている。
下り坂での加速を防ぐためにモーターで発電させながらよき速度に保つ抑速ブレーキが必要で、
これは加速を制御する左手側のバーをニュートラルより押し込むと作動するようになっている。
ブレーキといいつつ、モーターの操作なのでこういう形になっているようだ。
あと、坂道発進ですね。ブレーキをかけた状態から加速するという操作ができる。
ただ、実のところワンハンドルでもこれらの問題は打開できている。
というか、そうでなければここまでワンハンドルが主流になるわけがない。
抑速ブレーキについては、ニュートラル状態でボタンを押すと作動する方式や、
ニュートラルとブレーキの間に抑速ブレーキを設ける仕組みがある。
JR東日本はニュートラルで「定速/抑速」というボタンを押すと作動する方式を導入しているそう。
坂道発進についても「勾配起動」というボタンが設けられていて、
これを押しながら加速すると、モーターがある程度動き始めてからブレーキが解除される仕組みになっている。
さて、阪神電車は自社路線では急勾配もないので、特にこういう工夫も不要そうなのだが、
現在は近鉄との直通運転があるため、近鉄奈良線の勾配対応も必要である。
今回購入した3000系は主に山陽との直通特急などで使用されている車両の置き換えなので、
近鉄直通は考えないというのも1つの選択肢だが、ちゃんと対応しているそう。
さっきの写真、ハンドルの左にボタンが見えるが、別の角度で撮影した写真ではボタンが4つあり、
抑速3、抑速2、抑速1、抑速切 とあり、ボタン操作での抑速ブレーキができる。
右側に見える黄色いボタン、これが勾配起動である。
というわけで近鉄奈良線でもこれらの機能を使えば安全に運行できる。
ただ、ことごとくボタン操作というのが気になるところだが。
とはいえ、近鉄にも先例はあり、それがけいはんな線である。
万博に向けて、OsakaMetro中央線では可動式ホーム柵の導入が行われ、
それに向けて定位置停車装置の導入などで運転席周りに手が入ることとなった。
このときOsakaMetro・近鉄ともどもワンハンドルへの統一が行われたという。
けいはんな線も山越えのトンネルは急勾配で抑速ブレーキは必要だが、
「抑速入」「抑速切」というボタンを設けることで対応している。
阪神だけの都合を言えばワンハンドルの方が簡便でよいのはそうだろうし、
阪急は昔からワンハンドルだったので、同じ社内ということで後押しがあったのかもしれない。
導入に当たっては、近鉄にも確認した上でやっているのだろう。
となれば将来は近鉄も? と思ったけど、どうなんでしょうね?
ワンハンドルにも2つ方式があって、ハンドルを中央に置いて両手で持てるようにしているものと、片手で持つものがある。
私鉄・公営交通では両手式が主流だが、JRでは片手式のみ採用されている。
わざわざ両手で持つほどのことかいとは思うのだが、片手で操作出来ると反対の手がぶらぶらしてしまうので、
片手持ちの場合は、反対の手で握るためのバーを設けるのが通常である。
そう考えると両手持ちの方が理にかなっているように思うが。
方式はいろいろあるものの、乗務員はそれぞれ訓練を受けるので大きな問題はないのだろう。
ただ統一されていれば無用な混乱がないのはその通り。
JR西日本・四国が同じ方式なのは、瀬戸大橋線の直通運転が多いのも理由なのだろう。
その点では阪神は気になるところですが、どうなんでしょうね?