Ryzen APUは性能に妥協している?

佐渡から帰ってきたら注文していたPCがマウスコンピューターから届いた。

AMD RYZEN, AMD RADEONのシールが貼られている。

まずはそのまま起動していろいろ初期設定。当然問題なく起動する。

前のPCからDVDドライブ, HDD, SSDを移植すると、SSDがうまく認識しない。

どうもこいつがPCが使えなくなった原因なのかもしれない。

データ救出をあきらめたわけではないが、重要なデータはHDDにあるからSSDからデータが救出できなくても損害は軽微である。

アプリのインストールはまだいろいろあるけど、とりあえずPCの再構築は完了。


注文後に少し後悔したことがあった。

今回のPCはRyzen7 8700Gという比較的上級のモデルのAPUを搭載している。

APUというのはCPUとGPUを一体としたチップのAMDにおける呼び名である。

AMDはATI合併後からAPUに力を入れている。

このタイプはCPU, GPUともに比較的性能の高いモデルではあるのだが、

実はグラフィックボード搭載モデルで使用されているRyzen5 7500Fに比べて若干性能が低いらしい。

GPU性能もやはり下級クラスのグラフィックボードにも及ばないわけである。

確かにグラフィックボード搭載モデルに比べて若干安く済んだのだが、

コストパフォーマンスという面ではあまりよくない選択だったかもしれない。


現在のRyzenシリーズは原則として全てGPU搭載、すなわちAPUである。

さっき書いた7500FというのはAPUのGPUを無効化したPCメーカー向けの特別版である。

ただ、その中にもCPUタイプとAPUタイプというのがあるんですね。

それぞれリソース配分に差があり、同世代・同価格帯で比べても、

  • Ryzen 7700X :
    • CPUコア:8, CPUベースクロック:4.5GHz, L2キャッシュ8MB, L3キャッシュ32MB
    • グラフィックコア:2, グラフィッククロック:2.2GHz
  • Ryzen 8700G :
    • CPUコア:8, CPUベースクロック:4.2GHz, L2キャッシュ8MB, L3キャッシュ16MB,
    • グラフィックコア:12, グラフィッククロック:2.9GHz

CPUのL3キャッシュが多いか、グラフィックコアが多いかということである。


開発の流れとして、まずはデスクトップ向けのCPUタイプのAPUが発売される。

最初に手を出す人というのはゲーミングデバイスを作るような人だから、

この人たちにとってみれば内蔵グラフィックには興味はないのだが、

それでも現在は全てGPU搭載モデルが出荷されることになっている。

次いでモバイル向けのAPUが作られる。

これは低消費電力かつ内蔵グラフィックへの期待が大きいので、

グラフィック性能を高く、消費電力を低くする一方で、演算性能は犠牲にしている。

そしてモバイル向けAPUを元にして、デスクトップ向けのAPUタイプのAPUが作られているという。

元がモバイル向けなので低消費電力ではあるんですよね。

モバイル用よりは消費電力は高いが、デスクトップ向けの中では消費電力は最低クラスである。


GPUにリソースを割く分、CPUの演算性能が犠牲になっている。

一方のGPUもそれはそれで難しい事情がある。

それはGPUのメモリがメインメモリと共用であるということだ。

今回、標準16GBであるところ、32GBまでメモリを増設してもらった。

これがGPU用のメモリ割当を増やすためで、UEFIの下記のところで設定してドーンと8GBを割り当てた。

Advanced/AMD CBS/NBIO Common Options/GFX Configuration

iGPU Configuration: UMA_SPECIFIED

UMA Frame buffer Size: 8GB

それはそれでいいけど、問題はメモリのアクセス速度なのだという。


今回のPCに搭載されているメモリはDDR5-5200が搭載されている。

オーバークロック無しで言えば一番速い部類である。

実はGPUの性能をフル活用しようと思うとより速いメモリが必要らしい。

でも、それっていうのはオーバークロックなんですよね。

APUとしてはとても頑張っているのだが、メモリが足を引っ張っている側面はあるそう。

なお、グラフィックボードにはグラフィック専用設計のSDRAMが搭載されており、

同世代のDDR SDRAMに比べて帯域幅が広いのだという。

ここもグラフィックボードの性能を決める大きな要素ということになる。

メモリの量は増設してなんとでもなるけど、帯域幅は難しい部分がある。


というわけでAPUはCPU性能もGPU性能も犠牲にする部分があるのだが、

じゃあ、なんでAMDは全てのRyzenを原則GPU搭載にしたのだろうか。

高性能なCPUならばグラフィックボードを搭載する人が多いんじゃないか。

それならリソースをCPUに全振りした方がよいのでは?

調べたところビジネス用のPCの需要を考えてのことらしい。

グラフィック性能はいらないけど、高い計算性能は欲しいというニーズもあり、

そこを取りこぼさないようにするために全てGPU搭載にしたらしい。

Intel Coreシリーズも原則GPU搭載なのでそれに合わせた形である。

とはいえCPUタイプのAPUはグラフィック性能は最小限にしている。


新しいPCでいいなと思ったのがBluetoothが内蔵されていること。

無線LAN内蔵なのは書いてあったけど、Bluetoothも入ってたんですね。

デスクトップPCではあるけど、APUがモバイル向けベースで、

無線LAN, Bluetooth用にIntel AX210を積んでいるとノートPCみたいだな。

デスクトップPCの拡張性だけ持たせたってやつなんですかね。