新潟競馬場の長い長い昼休み

パリではオリンピックが開幕。

思い返せば2021年の東京オリンピックも暑い中でやっていたが、

その裏で導入されたのがJRAの新潟・札幌の2場開催である。

今年からさらに新潟開催については「競走時間帯の拡大」が実施されることになった。


2場開催という話が出てきた要因の1つはオリンピックの馬術競技への対応である。

東京オリンピックの馬術競技でJRAは施設・人員の無償提供を行っている。

2019年以前、この時期は 新潟・小倉・札幌の3場開催を行っていたが、

これでオリンピック対応まではできないという話があったようである。

一方でこの時期の小倉競馬場はすさまじい暑さに見舞われることも多く、

馬の健康にも懸念があったところで、その対策も兼ねて日程を見直した。

暑さ対策も兼ねていたため、2場開催はオリンピック後も続いている。

新潟は両トレーニングセンターとの輸送が良く、北海道以外では暑さがマシということだろう。


そうはいっても新潟も暑いのである。そこで導入されたのが「競走時間帯の拡大」である。

簡単に言えば新潟競馬に長い昼休みを挿入するというものである。

朝9:35発走で新潟1R、9:50発走で札幌1Rで両競馬場交互にレースを行う。

新馬戦(メイクデビュー)は昼休み明けに行われることが多いが、新潟の新馬戦は午前中にやる。

札幌4Rが11:20発走、新潟5Rが11:35発走で、両競馬場は昼休みに入る。

その後、札幌は5Rが12:10でここが昼休み明けになるのだが、

新潟6Rが行われるのは札幌10Rの後、15:10発走と長い昼休みとなる。

その後、札幌11R→新潟7Rとメインレースが行われるわけである。

メインレースの後、札幌は12Rが最終だが、新潟は8~12Rと続く。

新潟12Rの発走は18:25とJRAにしてはかなり遅い終わりとなる。

(地方競馬ではナイター競馬が普通の時代なので、そこまで違和感はないかもしれないけど)


この期間の午前のハイライトは新馬戦ということでよいかと。

昼休み明けはメイン前の6R、メイン7Rは当然特別戦だが、

その後は未勝利戦や1勝クラスといった下級クラスのレースがメインである。

ただ、この部分は試行錯誤もあるのか、日によって特別戦のやり方が少しずつ違う。

  • 7/27: 9Rに新潟ジャンプステークス、12Rに出雲崎特別(2勝クラス)
  • 7/28: 12Rに麒麟山特別(2勝クラス)
  • 8/3: 11Rに月岡温泉特別(2勝クラス)
  • 8/4: 11Rにダリア賞(2歳オープン)、12Rに苗場特別(2勝クラス)

どうやってメインレースより後ろまで注目してもらうかということで、

最終レースを特別戦にしているのかなと思ったが、8/3は違うんだな。


実はすごいのが今日の9Rに組まれている新潟ジャンプステークスである。

普段は平場は昼休み前後(4R, 5R)、特別レース(重賞含む)は8~10Rで行われる。

中山グランドジャンプだけはメインレースとして11Rに行われますが。

しかし障害レースは距離が長いこともあり、暑さ対策に特に気を遣うということで、

現在は夏シーズンについては全ての障害戦を午前中に行うことにしている。

1レースだけなら1R、2レースやるときは1R, 4Rであることが多い。

それは重賞でも例外では無く、夏シーズンの障害重賞は4Rにやっていた。

ただでさえ障害戦の馬券売上は少なめだが、午前ではなおさらである。

ところがレースの開催時間帯が後ろに伸びるなら、メインより後ろという選択肢もあるのだ。


なお、2場開催でレース数が限られる中で真っ先に削られるのが障害レースで、

この2週間で行われる障害レースは新潟ジャンプステークスが唯一である。

ただ、その障害重賞がメイン後に行われるのはけっこう大きいことだと思う。

メインレースの後にレースを行うことによる影響がどんなもんか見極めた上だが、

この期間の新潟以外への適用も検討されるかもしれない。


一方の課題としてはスタッフのやりくりがあるとみられる。

遅い時間のレースに出走してからトレーニングセンターに帰るとなれば、当然帰着は従来に比べて遅くなる。

騎手については土曜は新潟、日曜は札幌のように転戦する人もいるが、

新潟の最終まで騎乗すると、札幌への移動時間は当然タイトになる。

このような事情も鑑みてか、新潟10~12Rについては出走奨励金が20万円上乗せされることになっている。

出走奨励金は賞金扱いなので、調教師(厩舎)10%・厩務員5%・騎手5%で分配が行われる。

このような形で遅い時間帯の出走馬を確保しようとしている。


あと、現地で観戦するファンについても長い昼休みをどうするかという問題はある。

新潟の昼休み中も札幌ではレースが行われているので、馬券を買って楽しむことは出来る。

一方で中抜けをしたいということも考えられるが、この期間の新潟は「フリーパスの日」となっている。

すなわち入場料無料である。たった100円のことではあるんですけどね。

ウインズ・パークウインズの扱いだが、基本的には営業時間を延長して対応する。

ただ、札幌競馬場については、札幌12R終了後は店じまいモードで、

16:20以降はUMACA投票のみ対応で、送迎バスも17:20までとなっている。

いろいろ難しそうなところはありますけど、これでいけると確信が持てれば夏シーズンの選択肢も増えますので。