少し前にこんなことが発表されていた。
地方競馬全国協会のアジア競馬連盟 アフィリエイトメンバーへの加盟について
アジア競馬連盟、こんな名前だがオセアニア・アフリカも対象としている。
すでに日本からは日本中央競馬会(JRA)がフルメンバーとして参加しているのだが、
地方競馬の統括団体である地方競馬全国協会(NAR)もアフィリエイトメンバーとして参加するという内容。
アジア競馬連盟にはフルメンバー、アソシエイトメンバー、アフィリエイトメンバーの区分がある。
フルメンバーにはレーシングオーストラリアのような国レベルの統括団体、
あるいは韓国馬事会のような国・地域レベルの競馬主催者が参加している。
JRAはおそらく後者の考えでアジア競馬連盟に参加していたのだと思う。
しかし、よくよく考えてみればJRAは地方競馬について統括する立場ではない。
もちろん日本代表として、地方競馬を含めた日本競馬の事情は踏まえて参加しているとは思うのだが。
本来ならば地方競馬・中央競馬をすべて統括する団体があればよいのだが、
NARは地方共同法人、JRAは国が設立する特殊法人と位置づけが大きく異なる。
どちらかが国レベルの統括団体になるというのは難しいので、
両者とも日本代表として参加できる仕組みを考えた結果がNARのアフィリエイトメンバーとしての参加だったのだろう。
そして、その必要があると考えた理由は、地方競馬の国際化なんだろう。
地方開催のダートグレード競走はそう遠くないうちに国際競走になることが決まっていますからね。
ちなみに国際競馬統括機関連盟(IFHA)についてはJRA・NAR双方がメンバーとして記載されている。
IFHAはワールドベストレースホースランキングの作成を行っていることで知られている。
JRAは中央競馬のレース、NARは地方競馬のレースでのレーティングを報告しており、
おそらくそのような事情から双方とも日本代表として認識されているようだ。
とはいえ、やっぱり中央・地方を一元的に統括する団体が必要なのでは? という気もする。
なかなか地方レベルと国レベルの団体を兼ねるというのはないのだが、
地方公共団体情報システム機構(J-LIS)はデジタル庁発足後に国・地方公共団体が共同して運営する団体となった。
このような考え方をNARに適用するというのは1つ考えられることである。
世界的に見てもかなり珍しい体制のようである。
国レベルで複数の統括団体がある国としてはフランスもそうらしいが、
こちらは平地・障害の統括団体(フランスギャロ)と速歩競走の統括団体(シュヴァルフランセ)が別というもので、
種目が違うなら別団体というのはあまり変な気はしない。
むしろNARがばんえい競馬の統括団体であることが不思議なぐらい。
歴史的に見ると中央競馬と地方競馬のルーツはけっこう違って、
中央競馬は外国人居留地で治外法権で行われていた競馬に由来し、イギリスやフランスの競馬を元になっている。
一方の地方競馬は各地の草競馬を合法化するような形で成立しており、アメリカ競馬の歴史に似ている。
現在においても中央競馬は芝中心、地方競馬はダート中心というすみ分けはあるが、
JRAの年間レース数の制約と、芝コース維持の困難さによるもので、根本的な差ではない。
今後どうなるかは定かではないが……
NARが統括する地方競馬だけでも、世界的に見て相当な事業規模である。
そういうところで重要な役目を担うことはあるのではないか。
とはいえ一般的な認識ではJRAが日本競馬の統括団体というのは変わらんのだろうな。