丘珠空港に足りないもの

おととい新千歳空港へのアクセス列車、快速エアポートの話を書いた。

快速エアポートを増発するため

このときも書いたのだけど新千歳空港というのは札幌からはけっこう遠い。

  • 新千歳空港~(JR千歳線)~札幌駅: 47km
  • 成田空港~(京成スカイアクセス線)~日暮里駅: 62km
  • 羽田空港~(京急)~品川駅: 15km
  • 中部空港~(名鉄)~名古屋駅: 39km
  • 大阪空港(伊丹)~(阪神高速経由)~大阪駅前: 17km
  • 関西空港~(南海)~難波: 43km

成田空港は短絡ルートでもこれかよという感じだけど。

でも、新千歳空港~札幌もそれに近しいレベルなんですよね。


一方、札幌市内には札幌飛行場がある。

陸上自衛隊丘珠駐屯地を共用しており、通常は丘珠空港と呼ばれる。

単純に距離だけ近くてもアクセスが悪い施設というのはある。

しかし、この丘珠空港について言えば、新千歳空港が遠すぎることと、

地下鉄東豊線の栄町駅から2kmほどと歩ける距離であり、

さらに飛行機の時間に合わせてバスも設定されているので悪くはない。


丘珠空港はかつては北海道エアシステムとANAが乗り入れていたが、

ANAは機材の問題もあり、2010年に新千歳空港への集約を行った。

以後は北海道エアシステムの道内路線が乗り入れるのみとなった。

その状況が変わり始めたのは2013年のことである。

北海道エアシステムが三沢線を開設、青森県とはいえ道外路線ができた。

そして、フジドリームエアラインズのチャーター便が運航された。

その後、2016年から定期便で乗り入れ、丘珠空港では初めてのジェット機による定期旅客便となった。

また、北海道エアシステムも機材のATR42への置き換えを進める中で、

従来より1機多く購入し、既存路線の増便、そして中標津・秋田へ新路線を開設した。

というので、最近再び注目を集めるようになった空港である。


ただ、この丘珠空港には大きな課題がある。

フジドリームエアラインズはジェット機による定期便を就航させたが冬期運休である。

これは丘珠空港の滑走路1500mでは冬季には安全に発着できないという判断がある。

1500mの滑走路でジェット機が乗り入れていた空港としては、

かつての石垣空港が知られているが、これでは貨物輸送にも困るわけで、

2013年に新石垣空港(滑走路2000m)に移転、すでに解消している。

札幌にとっては新千歳空港という代替手段はあるのだけど……


ただ、それで困るのは旅客便だけではないのである。

北海道では「メディカルウイング」と呼ばれる固定翼機による患者搬送が行われている。

道内各地の病院から主には札幌の医療機関への搬送であるが、

場合によっては大阪府など道外の医療機関への搬送が行われている。

冬以外は丘珠空港を札幌の発着地としているが、冬は新千歳空港を使わざるを得ない状況である。

ただ、さっきも書いたように新千歳空港~札幌はけっこう遠い。

患者への負担を考えれば丘珠空港を通年で使えた方がよいのだが……


というわけで丘珠空港には滑走路延長構想があるという。

1800mへの延長であれば現在の敷地で概ね対応可能である。

1800mとなればフジドリームエアラインズのE-Jetやメディカルウイングは通年で発着可能となる。

また、2010年にANAが撤退したという話を書いたけど、

同社が運用するDHC8-Q400が乗り入れられなかったのが要因とみられるが、

1800mにするとQ400は通年で発着可能となる。

もっとも新千歳空港発着は道外路線との乗り継ぎの面でメリットもあり、

Q400が入れるからといってANAの道内路線が丘珠に戻ってくるとは言えませんが。


滑走路延長しても、新千歳空港に比べると冬に不安は残るが、

それでもある程度はカバーできれば問題ないと言えるし、

どうしょうもなければ新千歳空港で対応できるとも言える。

それならそもそも新千歳空港でよくね? という話もあるけど、

そうも言えないぐらいには新千歳空港は遠いので……