快速エアポートを増発するため

新千歳空港のアクセス列車として知られる快速エアポート、

以前こんなことを書いている。

札幌~南千歳では快速エアポートが特急以外では全体の2/3を占めてて、快速停車駅と通過駅で本数が大きく異なる。

沿線というのは北広島・千歳といった札幌の衛星都市ですから、当然のことながら通勤・通学利用も多く、

遅延・積み残しが頻発していたので、2014年以降導入の新車は1両の指定席車を除いては、完全な通勤電車スタイルになったとか。

(空港アクセスの犠牲になる沿線住民)

来年から北広島~千歳のほとんどが快速エアポートになるよう。


快速「エアポート」増発および停車拡大について(pdf) (JR北海道)

現在、1時間5本程度の運行となっているエアポートだが、

来年春から1時間6本程度の運行とする。これは新千歳空港の利用者が伸びているため。

新千歳空港というのは札幌からの距離は思っているより遠い。

しかし、列車は速くて40分程度で札幌まで移動できるため人気がある。

かつては1時間4本程度の運行だったが、2020年3月から5本に増発した。

さらなる増発が求められたが純増は難しいとなったようである。


現在は快速エアポートと1時間2本程度の普通、それと特急が走っている。

この普通は千歳行きと苫小牧行きが半々程度となっている。

エアポートが1時間6本になると 特別快速1本・快速3本・区間快速2本となり、

区間快速は北広島~南千歳で各停となり、同区間の普通列車を代替する。

そして普通列車は札幌~北広島、千歳~苫小牧で各2本・1本程度とする。


札幌~苫小牧を普通列車で移動する場合、実態としては南千歳でエアポートに乗り換えるケースが多かったという。

(2018年に苫小牧港から札幌に移動したときは、乗り換えずに乗り通した覚えもあるが、エアポートが1時間4本の時代のことである)

このため札幌までの直通がなくなることはそこまで問題ではなさそう。

北広島~千歳の途中駅は区間快速でカバーできる。

札幌~北広島は普通列車の本数は従来通り確保される。

普通列車が利用者の特に多い区間のみの運行となることで、増結対応もしやすくなり、

野球観戦や今後想定される北海道医療大学の移転とかにも対応しやすくなる。

札幌~北広島の利用者増も見越した内容と言える。


というわけで完全に快速エアポートは通勤列車と統合された形になる。

とはいえ、元々エアポートは通勤・通学目的での利用が多い列車である。

指定席「uシート」を備えるほかはすでに通勤電車スタイルであり、特に利用者には違和感はないと思われる。

とはいえ、大きな荷物を抱えた空港利用者との共存は、

今さらとはいえ沿線住民には少し窮屈かなという感じはある。


南千歳~新千歳空港は単線のため、空港乗り入れ列車のこれ以上の増発は困難とみられる。

これ以上の混雑対策が必要ならば増結の方が効果的とみられるが、

現状6両編成しか入れず、空港内の地下駅ということですぐに拡張はできない。

なお、南千歳は 帯広・釧路方面、室蘭・函館方面の特急が停車し、

快速エアポートはこれらの特急と空港を結ぶ列車という役目もある。

(このため、南千歳駅は北海道には珍しく改札内の待合室がある)

空港乗り入れ列車をエアポートに集約しているのはそういうことなんだよね。


なかなかここまでの空港は日本の他にはないですよね。

鉄道利用者の割合が多いというと羽田空港もそうだけど、モノレールと京急の2社があるので、ある程度分散できているとみられる。

JRが羽田空港アクセス線を計画しており、さらに分散が期待できる。

状況的に新千歳空港に近いのは福岡空港かもしれないが、

こちらは地下鉄の始発駅、大量輸送という点では申し分ない。

関西・成田は高速道路の利便性がよいのと、多方面へのニーズがあるので、バスの人気が高い印象はある。

もちろん鉄道利用者も多いが、ここまで無茶はしていないかなと。

もっともJR北海道がここまでするのも必然と言える部分はあり、

それは新千歳空港駅がJR北海道では札幌駅に次ぐ社内2位の利用者数がある駅ということ。

沿線住民が多少苦しくても、なんとかやらざるを得ないところはある。