なぜ割引用Suica・PASMOが必要か

ニュースになっていたのですが。

障がい者割引が適用されるお客さま向けの新たな IC カードのサービスの概要について  (pdf) (JR東日本)

これはSuica・PASMO加盟社合同の制度で、鉄道で介助者を伴って乗車する場合に半額となる人が対象である。

多くの鉄道事業者が共同でこのようなシステムを導入するのは、PiTaPa加盟社に次ぐものではないか。

スルッとKANSAIには特別割引用があった

これの発行が始まったのは2017年のことで、磁気カードのスルッとKANSAIにあった特別割引用カードの代替とされている。意外に歴史は浅い。


スルッとKANSAIが発行する特別割引用ICカードはPiTaPa加盟社では有効だが、

JR西日本を含む他社ではその効力が無い。というか利用も出来ない。

今回のSuica・PASMOの割引用カードはSuica・PASMO加盟社が対象であり、

関東圏のJR・私鉄・公営交通はほぼ対象となる。これは便利。

一方で、それ以外の地域については新潟・仙台・青森・盛岡・秋田の各Suicaエリアで、odeca・icsca・りゅーとエリアは含まないと記載されている。

って、odecaエリアが除外されてるってことは、JR東日本のバス事業である気仙沼線BRT・大船渡線BRTは対象外なんですか。

Suica仙台エリアには仙台空港鉄道が含まれるが、それを除けばJR東日本(鉄道線)に限るということとなるのだろうか。

(余談だが関東圏のSuica加盟社とPASMO加盟社の区分は複雑で、私鉄・公営でも富士急行線やりんかい線はSuicaである)


「多くの鉄道事業者が共同で」割引用ICカードを発行するのは2例目? と書いたが、

バス会社(バスを主体とする鉄道会社を含む)や公営交通、あるいは共同で発行するものは多い。

そもそも、身体障害者の割引運賃というのは事業者によって違うが……

手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄の「第1種」「第2種」に対して、

  1. 第1種で介助者を伴って鉄道・バスに乗車する場合 : 本人・介助者ともに50%引き
  2. 第1種・第2種で鉄道を100km超乗車する場合: 本人が50%引き
  3. 第1種で介助者を伴ってバスに乗車する場合 : 本人・介助者ともに50%引き
  4. 第1種・第2種でバスを乗車する場合: 本人が50%引き

というのが典型例であるが、東京都のバスでは精神障害者も4.に準ずる割引の対象になったり、

公営交通を中心に鉄道でもバス同様に本人だけの乗車でも割引対象にしたり。

実際はかなり複雑なので各社の規約を確認する必要がある。


すでに割引用ICカードを発行している会社の多くは4.をターゲットにしたものが多い。

なにしろ適用対象者が多いので、いちいち手帳を確認して手動操作は面倒ですから。

一方で1.や3.の第1種の介助者について対応している会社は限られている。

SAPICA(札幌市)・はやかけん(福岡市)・manaca(名古屋市他:名鉄は利用不可)は対応してるみたいだけどね。

これに対して、PiTaPa加盟社やSuica・PASMO加盟社が発行するものは、基本的に上の1.をターゲットにしている。

このため、必ず2枚セットで発行され、2枚の利用実績は基本的に一致しなければならない。

(100km超やバスの場合は2.や4.に該当するので本人のみでの利用を認める可能性はあるが)


大半の鉄道事業者では、障害者の割引運賃の適用を受けるためには紙のきっぷの購入が必須である。

しかし、関東圏の鉄道事業者ではちょっと違うのである。

おからだの不自由なお客さまの割引制度 (小田急)

関東圏ではICカードでは1円単位の運賃、紙のきっぷは10円単位の運賃となっている会社がほとんどである。

このため、紙のきっぷを買って乗ると、多少不利になるわけである。

そこで、1円単位運賃の導入以降は、介助者と2人揃ってICカードで乗車してから、降車時に手帳を見せて手動処理で精算するという対応になっている。

これが大変なので割引用Suica・PASMOを導入することにしたのでは? というのが僕の読みである。


もっとも紙のきっぷを買って乗車する場合も、手帳の確認や介助者と乗車しているかの確認が必要である。

JRの場合、正規の対応方法は窓口できっぷを発行するという対応だそう。

鉄道会社によっては券売機に割引用のボタンが設けられていることがある。

押すと駅員が飛んできて手帳などの確認を行って、確認出来たら券売機で発行するというシステムである。

あるいは、半額という点では小児運賃と同じであるということで、券売機で小児運賃のきっぷを購入するという対応もある。

(小児運賃のさらに半額はこの対応はできないけれど、稀だろうと)

JRの短距離利用ではこの方法で対応することが多いようで……

100キロメートルまでの普通乗車券に限り、本人と介護者の2人分を自動券売機で小児用乗車券をご購入(割引乗車券の代用)いただけますが、この際、必ず係員のいる改札口をお通りいただき「手帳」又はマイナポータルとデータ連携された「ミライロID」(以下、「手帳等」といいます)をご呈示ください(「手帳等」により使用資格などを確認させていただきます)。

(おからだの不自由なお客様へ / 割引制度のご案内 (JRおでかけネット))

代用という扱いではあるけど、一応は公式に記載されているんだね。

いずれにせよ、長距離乗車券を除けば駅員が手動できっぷを発行するのは稀ということになろうかと思う。

それだけにICカードの割引運賃の手動対応はけっこうな手間だった? と推測するがどうだろうか。