歌手デビュー10年間の苦悩

今日は久々に市内で1日過ごすというのに休暇を取った。

それは昨日出かけていたからなのだが、それがこのコンサート。

Machico 10th Annivesary Live ~Trajectory~

会場は世田谷区の昭和女子大学人見記念講堂――って大学なんですか。

三軒茶屋駅から近いということで、運賃が安いという理由だけで世田谷線を使って行った。

大学の敷地にたたずむ講堂で不思議な感じだった。


今までオールスタンディングのライブハウスで行うことが多かった中で座席のあるホールだった。

今どき珍しくも1席おきなのは、それで収まったからというのもあるのだろうが、

ライブハウスでの開催では実現性に疑問もあったので、こういうホールを確保したのはあるのだろう。

かつての感覚で言えばだいぶ背伸びした会場選びである。

それは開催に確実を期すための会場選びでもあったのだろう。満席になればなおよかったが。


それはそうとして、Machicoさん、歌手デビュー10年ですって。

本編でも言及していたし、パンフレットにもいろいろ書いてあったけど、デビューから4年ほどはいろいろな苦悩があったようである。

前提として、Machicoさんは2011年のタレントスカウトキャラバンをきっかけにホリプロ(後にホリプロインターナショナルに分社)に所属することになったことがある。

大手芸能事務所の挑戦だった

これは「声優アーティスト」を見いだすためのオーディションだったが、

ホリプロ自身手探りなところもあっただろうし、採用後の流れはいろいろだった。

Machicoさんは早々2012年に「すぴぱら」というゲームの主題歌で歌手デビューした。

ただ、歌手としてのデビューは早かったが、声優としてのデビューにはここからしばらくかかった。


では声優としてのデビュー作はなんだったのか?

これはアイドルマスターミリオンライブの伊吹翼役である。ゲームのリリースが2014年である。

TVアニメで名前のあるキャラクターを演じたのは2015年放送の「聖剣使いの禁呪詠唱」とのこと。

声優と言われて一般にイメージするような仕事にたどり着くには3年ぐらい要したわけだ。

この頃には同期はTVアニメで何作か主役級のキャラクターを演じて……という状況だった。


それでも歌手活動が順調ならよかったのだが、歌の仕事が多かったわけではない。

そんな中で事務所が「Anisong Ichiban!!」というイベントを2013年から定期的にやって、事務所の同期たちとともに定期的に歌う機会が与えられていた。

(上で引用した記事は2017年に「Anisong Ichiban!!」が久々に行われたときのもの)

これはこれでよい機会であった一方で、困ったこともあった。

というのも、当初の会場が「AKIBAカルチャーズ劇場」ということで、アイドルのファンを取り込むような形でやっていたが、行儀の悪い人も多かったのだ。

2014年にミリオンライブで役を得て、注目度の高いコンテンツでかつ、キャラクターとして歌う機会もあり、歌手活動についても注目を受けたわけだが、

その客層は「動物園のよう」と例えられるほどだったそう。

そこからの立て直しには(同期たち含めて)事務所も苦心したようである。


そんな苦労を乗り越えて、2016年にTVアニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」の主題歌「fantastic dreamer」でメジャーデビュー(日本コロムビア)を果たす。

これによりアニメ・ゲーム音楽のフェスに出演したりと知名度を上げていくことになる。

「動物園のよう」なライブももうその頃には過去のものとなっていた。

比較対象が事務所の同期たちでは分が悪いが、十分に売れっ子と言えるところまできた。


さらにここ2年ぐらいでさらに注目を浴びることがあった。

1つが「ウマ娘 プリティーダービー」のヒットである。

ウマ娘が発表された2016年頃から音楽関係は先行して動き始めていたが、

これが大きく注目を浴びたのは2018年放送開始のTVアニメ、そして2021年にやっとリリースされたゲームのおかげだろう。

Machicoさんは2021年放送の2nd Seasonの主人公であるトウカイテイオーを演じており、この点で注目を浴びることが特に増えた。


もう1つが2020年からプリキュアシリーズの主題歌を担当していること。

それ以前にプリキュアに出演してたことが、ここにつながったのだと思うが。

歌手として子供たちの憧れになるというのは、アニメ分野で歌手をする人にとっては名誉あることだろう。

ということで歌手という面でも注目度が上がったところである。

今は日本コロムビア発売の楽曲より、こっちの方が見る機会が多いのかも。


それでもあのホールを満席にできるほどは客は集まらんのかとも思うが。

でもインターネット配信はやってましたから、実際に見てた人数はもっといるか。

やはり各種のコンテンツで注目を浴びても、それをファンをソロの歌手活動にまで引きずり込むのはけっこう大変なことである。

フェスなどを通じて根気よくアピールしていきたいもんですがね。


一昔前は歌手デビューが先行して、時々キャラクターに声をあてるような、そんな声優ってけっこういた印象はあるけどね。

栗林みな実 さん(一時Minamiに改名していたが)が2005年放送のTVアニメ「舞-乙HiME」で主題歌を担当する一方で、エルスティン・ホーを演じていたとか。

彼女の数少ないTVアニメ出演の1つだったらしい。(調べたら本当に少なかった)

2012年にMachicoさんがデビューしたときはギリギリそんなプランもあったのかも。


デビュー10年を迎えて向かうべき道はなんだろうか?

やはり魅力はボーカルだと思うんだよな。歌手として歌う姿がやはり一番合っている気がする。

それはANIMAX MUSIXなどのフェスでパフォーマンスを見て、その後もワンマンライブなどで見て、やっぱりこれだなと。

ただ、それだけではなかなか差別化も難しいのかも知れない。

そこで助けになってきたのがミリオンライブやウマ娘のように、セリフも歌もキャラクターを演じるというようなところなのかな。

これも芝居も歌もうまい人が多いから大変だけど、やはり はまり役というのはある。

こういうことは本人や事務所がよく考えていることでしょうが。