今日は奈良へ行ったが、結局はそこから京都まで足を伸ばすことに。
博物館・美術館と回ったわけですけど。
奈良博では大安寺の特別展、大安寺って今はそんなに大きくないよなと思ったらなんと奈良時代の4%の敷地しか残っていないから、それはそれでびっくり。
興福寺でもだいぶ減ったと思うけど、あれでもマシな方だなと思えるレベル。
旧境内の一部は都市化したが、一方で空き地で残っている部分はそこそこあるので、そこから雰囲気を感じ取ることはできるかもしれない。
歴史だけはあるので、奈良時代なら残る仏像を持ってきて展示していたが、
腕が失われたのを後で補ったので、元々何の仏像だったかは不詳だと「伝」と付いているのがけっこうあって、こういうのは学芸員も悩ましいところか。
そう、何の仏さまか知るには手の形が重要なのである。
さて、京都で地下鉄の駅を降りるときに、このことを案内するポスターが貼られていた。
民間バス事業者と共に運行する系統における乗車券等の取扱いについて (京都市交通局)
今年3月から市バスの3つの系統について、京都バス あるいは 西日本JRバス との共同運行を始めた。
共同運行といってもいろいろなスタイルがあるが、特徴は下記の通り。
- 市バスのバス停に複数社のバスが来る
- 系統番号は市バスの系統番号を各社掲げる
- 会社によらず230円均一だが、使える乗車券類は必ずしも統一されていない
市バスの路線の一部を他社の車両・乗務員で運転するという性格が強い。
しかし、運賃制度は市バスに揃えているというわけではない。
共同運行はこういう路線で観光路線か大学への通学路線ですね。
- 北3系統(北大路バスターミナル~京都産業大学) : 市バス・京都バス
- 86系統(梅小路公園~京都駅~平安神宮) : 市バス・京都バス
- 快速立命館号/快速205系統 (京都駅~立命館大学) : 市バス・JRバス
各社で運賃制度を揃えているわけではないのだが、共通で使える乗車券も存在する。
基本運賃であれば、現金・市域共通回数券・PiTaPa・ICOCAは各社使える。
定期券は紙定期券は各社別だが、通勤・通学(大学生のみ)はICOCA定期券を発行している。
ICOCA定期券に限っては市バスの定期券で京都バス・JRバスも利用できるルールになっている。
これが大学への通学路線がターゲットになった理由であろう。
フリーきっぷについては、市バス均一区間が利用できるものは、京都バス・JRバスの均一区間であっても利用できる。
このため観光客にとってはそこまで意識せずに利用できる。(一部例外はある)
一番差が大きいのが、福祉乗車証・敬老乗車証で、市バス以外では限定的にしか利用できない。
なので通院・買い物を中心とした生活路線は共同運行の対象にならないのではないか。
それにしてもどうして京都市バスはこういうことを始めたのだろうか?
京都市に限らないが公営バスでは民間のバス会社への運行委託を行っていることが多い。
ところが最近はどこのバス会社も人手不足で、市バスからの委託を縮小する動きがある。
この状態で便数を維持するには、市が乗務員など雇って対応する必要があるが、どうしても委託していた頃よりも割高になる。
というわけで市バス全体の運行本数を減らして、経営状況を改善することにした。
観光客の数が減ったので、バッサリと減便できる路線もあるのだが、生活路線や通勤・通学路線は維持していかないといけない。
そこで考えられたのが他社との共同運行だという。
しかし、これは根本的な問題解決なんかね?
まず、共同運行というのは従来市バスの収入となっていたものが、共同運行先の会社に流れるということ。
定期券・フリーきっぷについては実績に応じて分配されるのだと思うが。
京都バス・JRバスはともに京都市バスの運行委託を受託している会社であり、
マンパワーを市バスからの受託に充てるか、市バスとの共同運行に充てるかと、という話になってきそうな気もするが。
ただ、市バスにも適正規模というものがあるだろうし、共同運行するバス会社にとっても自社路線とあわせて運行効率化の余地があるかもしれない。
お互いWin-Winだからこそ、共同運行をスタートできたはずだが。
この共同運行に関係してちょっと気になる路線がある。
京都バスの路線図を見ると「臨東山」「臨丸太町」というのがあるが、これは86系統の共同運行に伴ってできた路線らしい。
臨東山は京都駅~祇園~高野では市バス206系統とまるっきり被る。
臨丸太町は川端丸太町~嵯峨瀬戸川町と丸太町通をひた走るバスで、市バス93系統(錦林車庫~嵐山)の一部区間と被るがちょっと中途半端な感じがする。
こちらは市バスとの共同運行路線ではないのだが、市バスと被るのであわよくば乗って欲しいという雰囲気を見せている。