アフガニスタンがタリバンの占領下になったニュースが報じられたところだが、
そんなタリバンは新型コロナウイルスについてこう考えているそうだ。
Taliban Banned Using of COVID-19 Vaccines in Paktia (Shamshad News)
ワクチン禁止令ですってよ。
これはタリバンがアメリカ憎しであまり考えていないだけという説が濃厚なのだが、
実はムスリムにワクチンをどうやって普及させるかというのは多少問題があるようだ。
というのも、医薬品には豚由来の成分が使われることがわりとあって、
それはワクチンも例外ではなく、アストラゼネカ製ワクチンには豚由来成分が含まれている。
それを接種することについてどう考えるかである。
例え、イスラム教で豚が不浄な生き物だとか言っても、豚由来の成分を含む医薬品を使うことが問題かというと、
これは必ずしもそうとはいえなくて、必要に迫られて使うのなら問題はないだろうと。
積極的に食べるような行為は問題だが、無理強いされて食べたとかそういう場合は許されるだろうコーランにも書かれているそうだ。
ゆえに、医療上の必要性があって使うならば、これは問題ないと考えるわけだ。
だから、ムスリムが多い地域でも、医療用医薬品のハラール認証は一般的ではないようだ。
例え、成分的にはハラールとはいえずとも、それは必要があって使っているのだから問題ないということだろう。
ところがワクチンとなると事情が変わってくるわけですよね。
希望者が接種するという性質のものだから、このワクチンはハラールじゃないからやめておこうという発想になりかねないと。
それは社会にとって大きな問題があるので、ここには2つのアプローチがあったわけですね。
1つはハラール認証を取ったワクチンを普及させるということで、これは中国のシノバック社がやっている。
中国製ワクチンは「ハラル」 イスラム教徒最多国で認証 (朝日新聞デジタル)
中国にもムスリムの少数民族がいるので、そこでの普及も考慮したものだと思う。
このワクチンはハラールですから、皆さん気兼ねなく接種しましょうねというわけ。
もっとも、このワクチンの効果が他のワクチンに比べて弱いことが問題となったのだが。
もう1つは指導者がファトワを出して、戒律に反しないというようなお墨付きを出すという方法。
「不浄」とされるブタ成分含むワクチンも「戒律に反しない」 エジプトのイスラム教最高機関が接種呼び掛け (東京新聞)
問題ないとする根拠はいろいろあるでしょうけどね。
とはいえ、インドネシアでアストラゼネカ製ワクチン接種を容認するファトワが出たときには、
同時にこのワクチンはハラーム(禁忌)だとまで断言されたり、人々の受け止め方にとってはどうなのかなと思うところはある。
英製ワクチンは「非イスラム」 接種加速へ難題―インドネシア (JIJI.COM)
そういえば、同根であるユダヤ教ではこんな話もありましたね。
余談だけど、ユダヤ教は原則土葬なんだけど、感染症で亡くなった場合は火葬することで問題ないとしている。
感染症の事情を鑑みて、指導者が「火葬は死後におけるミツヴァ(善行)の達成につながる」とまで言ったそうである。
ここまで言うかという感じではあるが、人々の後押しにはなるでしょう。
さっきも書いたけど、コーランに書いてあることは絶対的なことではなく、わりと逃れる道はいろいろある。
そういう判断でワクチン接種にしても動いたムスリムは少なくないと思う。
ただ、ハラームであることを懸念して忌避する動きがあるのは事実であろうことで、
そこをどうやって後押しするかというところがムスリムが多い地域の課題になってるわけですね。
場合によっては「ワクチン必須化」というのも、ワクチン忌避の打開策になりうるわけですね。
不浄なワクチンだとしても政府に強いられて接種を受けたとすれば、それが許されないわけはないのだから。
今のところ、ムスリムのためにそこまでの策をとった地域は聞いたことはないが、
インドネシアではワクチン供給が安定化したらそういうこともあるかもなと思った。
とはいえ、タリバンはそこまで考えてないでしょう。
というかアフガニスタンはどうなるんだか。