職場での接種は案外多いな

新型コロナウイルスのワクチン接種についてのニュースですが。

職域接種、初日は500超が申請 中小企業には課題も (朝日新聞デジタル)

現時点では1箇所で1000人以上に接種し、医師・看護師など自社で確保できることが条件だが、

それでも初日で500会場以上の申請があって、ところによっては1箇所で1万人以上の接種を考えているところもある。

1会場あたり5000人程度と見積もり、1週間ぐらいで1000箇所ぐらいには増えるだろうから、累計500万人となる。

日本全国の接種対象者は多分1億人ぐらいだと思うので、その5%ほどにもなる。

これはやや控えめな計算だとも思っているので実際はもっと伸びそうな気もする。

高齢者接種完で2~3割ぐらいの接種が終わるので、残分が7~8割程度と考えれば、職場接種の割合は案外多いなと思う。


もともと職場での接種は計画されていたが、僕の予想はこんな感じだった。

定期予防接種は市町村の業務なので、職場の接種会場も市町村からワクチンの供給を受ける必要がある。

ゆえに一般の医療機関と同じく、立地する市町村の接種会場の1つと言うになろうと。

ただ、立地市町村以外からも通勤している人がいるので、周辺市町村の住民にも接種できないと困る。

原則としては他の市町村で予防接種を受けるには居住地と接種地の双方の市町村に届出が必要だが、

実際には隣接市町村などの医療機関とは取り決めをして、申請なしで接種できるようにしていることが普通である。

そこで周辺市町村と申請なしに住民の接種を可能とするように取り決めをしておけばよいだろうと。


多分、これは一般的に可能だと思うのだが、市町村にとっては手間がかかって大変だと思っていた。

今回の職域接種というのは国が直接ワクチンを供給するのだという。

これはモデルナ製ワクチンを消化するための方策という面もあるらしい。

市町村での接種はファイザー製ワクチンで立ち上がったので、ここを邪魔せずにモデルナ製ワクチンを消化ということで、

これまでは国・都道府県が設置する広域接種センターで消化してきたが、まだまだ使わないといけないらしく、

それで市町村とは別系統の接種方法ということで、職場での接種に使うという話になったようだ。

ワクチンの保管に使用する冷凍庫は国から貸し出されるということで、なかなかの好条件? と思った。

医師・看護師などの確保は各社で行うものの、費用は1回あたりいくらと市町村(実質的には国)から支払われるので、

全部持出というわけでもなく、体制さえ整えられれば、わりと手を出しやすいのだとは思う。


課題はスタッフの確保であり、常勤産業医がいればできるかというとそんな簡単な話でもないんじゃないかと。

産業医は、一定の講習を受けた医師がなれる。2017年度の国の推計では約3万人。社員の健康管理について企業に助言したり、長時間労働をしている働き手の面接をしたりするのが業務の中心。

本来の業務はこなしながら予防接種を行うことが可能かというのはところによるだろうと。

例え、産業医が対応可能だとしても、数こなすには社内のスタッフだけで回すのは難しかろうということだが、

この職域接種では市町村の接種体制に影響を与えないことが前提だとなっているので、

地域の医療機関からの融通というのは期待しにくいところもある。


そう考えると、実施できるところとできないところの差は大きいだろうなと。

もちろん本来は市町村が接種を行うものなので、職場で接種ができないから接種できないということは当然無い。

うちの勤務先ではワクチン接種のための特別休暇が設定されたので、平日に半日休んで接種に行くとかはやりやすくなっている。

なので、自分の職場ではワクチン接種が行われなくても、それはそれで必ずしも問題ではない。

ただ、ワクチン接種が行われる職場に勤める人が多い市町村だと、

市町村で接種を希望する人が大きく浮いて、それ以外の住民への接種が早く回る一方で、

そういう職場がほとんどない地域だと、市町村の接種体制に完全に依存することとなり、

市町村の接種ペースが早ければよいのだが、接種ペースが遅い市町村もありますから、

地域によっては待てども待てども接種できないということが起きそうだなと思った。


このような地域差を平準化することで、重症化リスクの高い住民を早く減らせると思うのだが、

そのためには各市町村はどれぐらいの住民が職場で接種するのかということを把握できる必要があると思う。

ただ、国がとりまとめている都合、そういう情報が市町村に伝わるかというのが課題である。


現に国・都道府県の広域接種センターの予約が余っているというニュースがいろいろ聞かれている。

政府肝いりが一変、ガラガラの大規模接種 高齢者の事情 (朝日新聞デジタル)

東京(大手町)・大阪(中之島)の接種センターも来週分の予約が7~8割余っている状況という。

つい先週ぐらいには横浜市民が大挙して大手町の接種センターの申込みをしているという話が報じられたぐらいだが、

各市町村の接種体制が立ち上がる中で、そっちで収まってしまった分が多いようだ。

広島県が福山市に設置した接種センターはこんな状況だという。

広島県が福山市(人口約46万人)に7日に開設した大規模接種会場。80歳以上の福山市民と周辺2市町の65歳以上を対象に、1日1800人に接種する態勢を整えた。しかし初日に訪れたのは88人。2日目も30人にとどまり、市を通じて集めた介護従事者ら170人に接種した。

福山市は接種体制の立ち上がりが遅かったようで、それを見かねた広島県が接種センターを開設したのだが、

福山市は立ち上がりが遅いなりには計画的に年齢の高い住民から順番に接種券を送っていたら、

接種券を持っていて広島県の接種センターでの接種を希望する住民がほとんどいない状態になっていたようである。

さすがにこれは福山市と広島県の連携不足だと思うのだが、大なり小なりこういうことは全国各地で起きているということである。


というわけで各市町村、65歳未満の住民への接種券送付スケジュールを早める方向でやっているようである。

最近、住んでいる市の65歳未満の接種スケジュールが公表されていたが、

接種券自体は今月中に12歳以上の全住民に送るらしい。年齢が高いグループから順番に送るようだ。

最初のグループはギリギリ大手町の接種センターの1回目接種枠の最後の方にも入れそうな感じはする。

で、まずは医療機関での接種予約が始まるのだが、まずは持病持ちの人から。

あらかじめ持病持ちの人は通院先で相談して、通院先での接種か、集団接種・他医療機関での接種か調整することになる。

このグループが医療機関での接種でも集団接種でも高齢者の次に割り込んでくることになる。

その後は年齢別に集団接種の予約スケジュールが切られ、医療機関での接種も同様のペースで進むとみられる。

一般の30代の集団接種の予約は7月下旬以降となっており、少なくとも市内での接種なら1ヶ月は接種券を保管し続けることになる。


うちの勤務先はどうなんでしょうね?

常勤産業医はいるけどね。ただ、上で書いたように市町村の接種が案外ハイペースではあるんですよ。

あと、東京都は65歳未満の接種を念頭に複数の接種センターの設置を考えているという。

そのために市区町村と調整を進めていて、市町村の体制が手薄だったり、在勤在学者が多い地域なんかに設置するんだと思う。

職場で1万人以上も接種する見込みがあれば準備を考えてもよいかもしれないが、

インフルエンザの予防接種などに比べれば準備も大変でしょうから、どうかなぁとは思いましたね。


あと、現時点では比較的小規模な事業所での接種は想定していない。

工業団地などまとまれば多くの在勤者がいるようなところで接種が進められると、

その周辺の市町村にとっては助かると思うが、運営形態などに課題が大きい。

それこそ市町村の接種会場の1つとして運営するような形も考えるのかも知れない。

ただ、そこまでして職場での接種が必要かは非常に地域差が大きいところではあるかなと思う。

医療機関での接種で普通に回るよとなれば、仕事を休んで自宅近くの医者に接種に行ってもらえばよいわけだし、

場合によっては、すでに予防接種を行っている医療機関が職場に出張してきて接種するみたいなのもあるかもしれない。


というわけでいろんな意味で様子見ですね。

そろそろ全市町村ともども接種体制が本格的に立ち上がってきて、接種体制が不足する地域なども見えてくると思う。

連携が取れないと接種を待つ住民がたくさんいるのに、接種センターがガラガラということにもなりかねないので、

東京都は大手町の接種センターの状況を見て、市区町村との連携の重要性を学んだはずなので、

職域接種の状況、市区町村の接種状況など見極めた上で広域接種センターの運営を考えるんじゃないか。