緊急事態宣言が出てるだけ救いはある

東京都の緊急事態宣言は延長され今も続いている。

ただし、その内容は何度か見直されている。

映画館の休業要請がなくなり、だいたいその頃から都心部の人出が増え始めて(映画館だけが原因ではないけど)、

感染者が増えることはないかと思ったが、今のところ減少傾向は続いているようだ。

減ったといっても、今年2月中旬頃の数字と同じぐらいなので、

昨年3月に対策の手応えが薄れてきていると言ってた時期よりは多いので、これは道半ばだと思うが。

とはいえ重症者が急増する前に感染者増加のペースが落とせたので、なんとか助かってる感じはする。


こうして見てみると、酒類を提供する飲食店に終日休業を要請したことは効いてるなと思う。

あと、これが東京都だけに留まらず、まん延防止等重点措置という名目の差はあれども、

隣接する神奈川県・埼玉県・千葉県でも同様の要請が行われていることも大きいと思う。

意外と面的な対策になっている

ここに至るまでにはいろいろな経緯があったわけだけど、単純な営業時間短縮要請では不十分だったということは事実かなと。

対策の効果はこのように評価できるものの、問題は酒類を提供する飲食店に終日休業を要請するということは、

すなわちは居酒屋のような業態は実質的に休業を強いられるということでもある。

それでも営業内容を変更するなどして、酒なしでの営業に活路を見いだすような店もあるのだけど。

そもそも外食のニーズが細る中では、それを掘り起こすより休業した方がマシという判断になる店は多いと思う。


そんな中でこれは難しいなと思ったことなんですけど。

<新型コロナ>千葉県で「まん延防止」今日から再延長 飲食店への協力金の下限を1万円引き下げ (東京新聞)

「福井モデル」成功の影 戻らぬ客に繁華街から「地獄」 (朝日新聞デジタル)

東京都が当初、休業要請に応じた店に支払っていた協力金というのは、

事業規模に応じて増えるような性質の物ではなく、なおかつ中小企業のみが対象だった。

中小企業支援という意味合いもあったんだと思う。大企業にはテイクアウトの強化などの経営努力を求めたとも言える。

ところが、大企業であっても居酒屋ばかり経営するような会社にとっては取れる手立てに乏しく、

逆に小規模な店舗の場合、昨年は持続化給付金もあったので、焼け太りのようになる事業者も多かったとされている。


このことから、支給基準を見直して、中小企業・大企業それぞれの基準でもって協力金が給付されるように全国的に改められた。

この中で下限額に当たる場合は、従来の基準より支給額が減るが、すると協力に応じない店が増えるのではと思ったのか、

神奈川県・埼玉県・千葉県はいずれも他の財源を使って、下限額の支給水準を維持してきたが、財源に限りがあるのでやめると。

この点では東京都は恵まれていて、なぜならば緊急事態宣言の対象地域の方が支給水準が高く設定されていて、国が持ってくれるから。

そもそもこの協力金の支給水準は、家賃が高い東京都の事業者が不平を言って引き上げさせたような事情もある。

おかげで多くの店の協力が得られているとも言えるが、それは緊急事態宣言であることが前提でもある。

これがまん延防止等重点措置を根拠とするようになれば、国が決めた支給水準は切り下げられる。

かといって、居酒屋の類にとっては実質的に営業困難であることは変わらないでしょうから、単純に支給水準だけが切り下げられる。

強制力という点でも休業命令を出すには至りませんから、これまでの経緯を考えれば従わない店が増えるのは容易に想像できる。

そんなことを考えると、東京都の緊急事態宣言は、感染者数が大きく減少して、感染拡大に不安なしとなるまでは解除できないと思った。


あと、そもそもこの協力金というのは行政からの要請が出ているところにだけ支払われる。

福井県は感染者数が少ない状態を保つために、クラスタ対策を徹底しており、それができるのは感染者数が少ないからとも言えるが、

この結果として北陸でも特に少ない水準に抑えており、Go To Eatキャンペーンも再開したらしい。

が、そもそもこのような結果になっているのは、住民が自主的に感染リスクを回避したからという面もあり、

隣接地域の感染状況を考えれば、福井県内の感染者が低い水準にあると言っても、安全という認識にはならないと思う。

この判断は正しいと思う。そうして油断したところに飛び火して対策に追われた例はいくらでもある。

この結果、行政からの要請も出ない代わり、客足の激減を補う手段がほとんどない状況になっているという。


もともと、休業要請などに応じた店に協力金を払っても、その先の取引先は注文が減るだけで得るものがない。

このことは問題視されており「月次支援金」ということで、売上減少を補填するような国の制度もできた。

持続化給付金で不正受給が相次いだことの対策で手続きが煩雑になってるようだけど。

ただ、これも全国のいずれかの地域に緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が出ているのが前提ではある。

それがなくなったらこの制度はなくなるでしょうからね。なかなか先は見通しにくい。


ふと思うのである。東京都は当初自主財源を使って協力金を出すことで、スムーズに休業要請に協力してもらえる仕組みを作った。

これは当時先進的な取り組みだったが、それが全国的に広がり、要請も長期化する中で、

協力金の額が足りないだの、支給が遅いだの、大企業にとっては不十分など、事業者の不平が募っていった。

また、業種によって協力金が支給されたり支給されなかったりということでの分断も生まれていった。

もし、これを協力金のような仕組みによらず、罰則だけで実効性を持たせるようにしたらどうなってたんだろう。

誰も等しく金を受け取れないので、その点では不平はないと思う。

罰則規定を整備して、指示に従わなければ投獄されるような状況にすれば、指示に反して営業を継続するのは難しいだろう。

その点では今よりももっと実効的な効果があったかもしれない。


ただ、そうすると多くの企業が倒産し、特に飲食業界では非常に限られた業態だけが生き残ることになると思う。

他の企業がバッタバタ倒れる中で生き残った企業には、感染状況が改善した後に大きなチャンスがあるかもしれないが、

果たしてそういうのし上がり方を許して良いのかという話にもなってくる。

多くの企業が倒産し、そこで働く人が失業し、浮浪者であふれかえるようなことになれば、社会全体にとって大きな損失である。

今はなんやかんや言っても、各種の支援制度により、仕事が減ったなりには雇用が維持されていると見るべきだと思う。

それでも失業者は出てますけどね。でも、なければもっとひどいのは目に見えてますから。


東京都の緊急事態宣言の行方がどうなるかはなんとも見通せないところはあるが、

一方で、北海道と沖縄県の状況が最近悪く、これらの地域では状況改善に時間を要するものと見られる。

緊急事態宣言、期限まで2週間 解除の鍵は北海道と沖縄 (北海道新聞)

知らなかったんだけど、緊急事態宣言が出ている地域が1つでもあると、影響は全国に及ぶらしい。

コロナ対応の改正特措法では、全国的に急速なまん延の恐れがある場合に宣言を発令すると規定。宣言中の都道府県が一つでもあれば全市町村が対策本部を設置する義務があり、影響は全国に及ぶ。

もしかして、これが大阪府で緊急事態宣言を出すのに手間取った理由なのかなぁ。

東京都については、療養患者の回復が進み、新規感染者の減少が進めば、まもなくステージ3の水準には達すると見られる。

南関東全体として感染経路不明の割合が常に高いことから抜け目ない対策が続けられるかが課題である。

しかし、全国的な状況を見たときに、愛知県・大阪府・福岡県は感染者が一時激増した影響で患者の回復に時間を要しており、

北海道・沖縄県は今まさに新規感染者が多く、病床の逼迫はさらに進むことが懸念されている。


そのような状況で全国いずれの地域でも緊急事態宣言が不要になる時期というのを見通すことは難しい。

1地域でも残るのならば、いくつ残っても全国的な体制としてはそうそう変わらないとも言える。

東京都だけの都合で全国的な影響が続くならば、これは考え所なのだけど、

直近では北海道・沖縄県の緊急事態宣言要否のほうが支配的だと思うので、もはや東京都は関係ないなと思った。

東京都において、緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も、事業者がやるべきことは大半に置いて本来は変わらないでしょう。

しかし、まん延防止等重点措置になると、協力金が切り下げられ、休業命令という手札も失うことになる。

なんだかんだと理由を付けて継続することは可能でしょうから。