意外と面的な対策になっている

大阪府の状況の悪さはあれこれ報じられている通りで、

そりゃ大阪府・兵庫県・京都府の緊急事態宣言は延長されますわなという感じだったが、

愛知県と福岡県は状況の悪化を考慮して緊急事態宣言が新規に適用と。

福岡県はかなり厳しいということで、前倒しで厳しい措置に移行してるみたいですね。

そして、東京都も大阪府などと同じく延長、隣接地域も含めて良くも悪くも横ばいという評価なんじゃないか。

まぁちょっと要請内容は変わったりするんですけど、基本的なところに差はない。


東京都が昨年12月から一貫して全域の飲食店に営業時間短縮要請を出しているのは何度か書いている。

東京都で緊急事態宣言が必要な理由

ただ、この根拠となる条文には多少の差があり、

特に3月下旬~4月中旬には緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていない期間があった。

もちろん飲食店の営業時間短縮は求められていたのだが、ここで営業活動に躍起になった飲食店も多かった。

ふと思うのである。ここの断絶がなければもうちょっとマシだったんじゃないかって。

確かに3月下旬には緊急事態宣言の手応えも減ってきており、

この反省が4月下旬からの緊急事態宣言でより厳しい措置に出た理由ではないかと思う。

が、全く効果がなかったわけではなく、少なくとも時間稼ぎにはなっていたところは評価できる。


ゆえに緊急事態宣言からまん延防止等重点措置へのスムーズな移行が図られていれば、

東京都に緊急事態宣言が出ることはなかったんじゃないかという気はした。

これが大変な混乱を生んだことは事実ではあって、やはり避けられるなら避けたかったと思う。

酒類がなければ商売にならない飲食店にとっては営業困難な状態が延々と続くわけだが、

そこから逃れるのはもうどうあがいても無理なことだと思う。


ただ、一方で思ったのは東京都では緊急事態宣言で厳しい措置に出たわけだが、

隣接地域では緊急事態宣言が出ていないということで、これが東京都の必死の対策の効果を下げてしまうんじゃないかと。

そうすると対策の効き目がないとさらに厳しい対策に打って出ることにはならないか。

確かにどこに緊急事態宣言を出すかは国の判断であるが、それは広域の状況を見て判断することが求められているということ。

隣接地域だって決して状況が良いとはいえないし、むしろ厳しいぐらいである。


そう思っていたのだが、案外抜け目ない対策なのかもと最近気づいた。

と言うのも、かつて「昼飲み」の反省もあってか、東京都は休業命令を出せる緊急事態宣言を使ったところだが、

そこには基本的対処方針の変更もあって、まん延防止等重点措置の段階から終日にわたる酒類提供中止要請を出せるようになった。

根拠となる条文の差はあるものの、まん延防止等重点措置が出た段階で飲食店での酒盛りはかなり困難になった。

酒のために藤沢まで行くというニュースもあったが、裏返せば東京・川崎・横浜といったところは酒盛りは難しいということである。

「東京飲めないから来た」観光地に人出増の理由? (Yahoo!ニュース)

ちなみに12日からは藤沢市も飲食店の営業時間短縮・酒類提供中止の要請が出ることになっている。


また、東京都は緊急事態宣言の延長に伴い、各種イベントの無観客化要請は取り下げた。影響が大きすぎるという判断か。

商業施設の生活必需品以外の売場、映画館、博物館などの休業要請は続けている。

一方で、お隣の神奈川県は12日から商業施設の営業時間短縮要請を出すと言っている。

神奈川県、「まん延防止」延長で商業施設に時短要請 (日本経済新聞)

これもまん延防止等重点措置の枠組みの中で行われるものだが、こうして見てみるとけっこう東京都の内容に似たり寄ったり。

違いは要請に従わない場合に緊急事態宣言の出ている東京都では罰則もありうることぐらい。

確かに東京都の内容は厳しいが、隣接地域もまぁまぁ厳しいという感じはする。


というわけで、制度面の差はあるが、意外にも南関東一円で面的に抑え込もうという姿勢は見られる。

隣接地域もまん延防止等重点措置の効果をできるだけ高めて、なんとか乗りきりたいという意図は伝わる。

これがうまく効果をなせばよいですけどね。ただ、なかなか劇的な効果を得るのは厳しそうですね。

感染者数の報告が横ばいでもマシと考えるしかないですね。

重症患者の増加が懸念だし、それ次第では悠長なことを言ってられなくなるが、とりあえずは。


しかし、ここを乗りきってもワクチン接種後が地獄かもなぁ。

ワクチン接種猛烈に進む「チリ」感染激増のなぜ (東洋経済オンライン)

ワクチンの接種が進むも、それに伴って気の緩みが進んで、感染者数が激増したと。

チリもブラジルで猛威を振るうP.1系統の変異株の影響は受けているでしょうし、

ワクチンの1回接種まではしたが、2回接種まで至っている人が少ないという事情もあるらしい。

いずれにせよ、ワクチン接種の効果を高めるためには、より厳しい措置を長く続ける必要があるとみられる。

ただ、そこを理解して動いてくれるかどうかというのはわからない。


東京都の要請内容で1つだけイマイチだなと思うのだが、映画館の休業要請が続くことですね。

確かに映画館のために出かけることでいろいろ影響をなす可能性はわかるのだけど、

一方で映画のために遠出するのはもともとある話で、神奈川県だの埼玉県だの行けば映画鑑賞できるっていうなら、

それは普通に越境するんじゃないかという話がある。

確かに映画鑑賞による懸念は小さくないのだが、課題は実効性だと思いますね。

商業施設の休業要請にも似たような印象は持つが、こちらは生活必需品の売場は営業できるということで、

衣食住に関係するものならば生活必需品であろうというわけで、大規模催事の取りやめなどで要請に従ってることになるんじゃないかと思う。

百貨店なども長期戦を見据えてか、どこまで開けて良いかというのを精査しているようだけど、

それはそれでよいと思うし、必ずしも悪い話ではないと思う。それでも商売的に厳しいことに変わりは無いと思うが。