昨年夏に予定されていたオリンピックが1年延期され、その間にいろいろな体制が整備され、
国際的なスポーツ大会の選手・スタッフは一定の条件で日本に入国し、
入国後から制限付きで練習などした上で大会に参加できるような仕組みが作られた。
リスクが完全になくなるわけではないが、制限事項を守る限りではなんとかなるんじゃないかという感じはある。
本当に選手・スタッフがそのルールを守れるのかとか、大会運営上の支障がないかとか、
いろいろ課題はあるものの、ただでさえ国際的な大会が延期になる中で、
何らかの形で大会を実現する必要はありそうで、オリンピックとかいう格段に規模が大きいものを日本でやるというのは、
とんでもない貧乏くじを引いたなと思うが、それもお役目かもしれない。
もともとオリンピックの経済効果なんてあるとは思ってなかったし。
なんて思っていたのだが、世界大会というところの前提が崩れる可能性もありそうだ。
飛び込み最終予選にオーストラリア選手派遣せず 五輪出場の可能性消滅 (日刊スポーツ)
インド選手、五輪絶望的に 渡航制限で予選に出場できず (朝日新聞デジタル)
前者はオーストラリアが東京で行われた水泳の飛び込みの大会(オリンピックに向けた体制のトライアルとしてニュースでも報じられたが)に選手を派遣しなかったという話。
オーストラリアといえば水泳大国で知られるが、一方で飛び込み競技ではそこまでではないとは書いてあるのだが、
実はリオデジャネイロオリンピックで銅メダルを取った選手も参加しなかったということで、
オリンピック出場権に全く手が届かないわけでもなかったし、なによりこれ自体が重要な国際大会である。
そう考えると残念な話だなと思うが、国際大会に参加自体は各地の競技団体の判断ということになろうと思う。
それ以上に問題なのが後者で、インドの選手が各国で行われる国際大会に出場できないことが相次いでいると。
これはインドからの入国・乗継客について厳格な規制を敷いている国が多いためで、
大会を開催する国はOKだとしても、そこまでたどり着けないということが起きているらしい。
各国選手が入国できない状態でオリンピックをやれば、日本選手がメダル独占だなと、
そんな冗談を言う人もいたが、そこまで極端ではないとは言え、実質的に参加できないチームが多く発生しそうである。
予選もそうだし、乗継客の拒否という話だと日本への渡航というところも問題になるケースがありそう。
それはオリンピックを開催する日本の都合ではないんですけどね。
むしろ日本はこの点については模範的な対応といえるんじゃないか。
オリンピック全体としてはやるぞと言っていても、各競技団体がどう判断するかというところはある。
競技団体からしてみれば、オリンピックを開催することで国際オリンピック委員会からの分配金が入るという都合もあり、
オリンピックで競技を実施しないという選択はしたくないと思うのだが、
ただ、実質的に国際大会といえる体裁が整わなければ、できないという結論もあるのかなと。
これはわからないんですけどね。ただ、実務に関わるのは各競技団体で、それぞれ事情もありますから。
というわけで、非常に難しいと思いましたね。
各地で新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るっている状況を見て「変異ウイルスのオリンピック」だとか揶揄する人もいたが、
大会の重要性からすれば、取るべきリスクというのはあるし、何も無対策でやるわけではない。
懸念は各種の対策が厳格に実行されるかどうかで、そこが信用ならないという話はわからんこともないが。
ただ、そういうことは置いておいても、実務的に実現できないというのではもうそれはどうしょうもないと。
そういうことが本当にないのかな? というのは非常に気になっているところですね。