調べてて驚いたんだけど、長野県って港湾法でいうところの港湾はないんですね。
長野県は海に面してないしそりゃそうじゃないの? と思われたかも知れないが、
湖や川にも地方港湾に指定された港はいくつもある。
かつて諏訪湖の遊覧船に乗ったことはあるが、諏訪湖には船は航行しても港湾はないということである。
遊覧船には船籍港として「長野県諏訪市」と書いてあったが、そういう港があるわけではない。
(船籍港は船が航行できる水面がある市町村を指定するので、これはこれで問題ない)
40の都道府県に港湾があるようである。
境港は鳥取県・島根県の両県にまたがる港として登録されている。これが唯一ってのは意外でしたが。
日本には47の都道府県があるということは、港のない都道府県が7つあるということである。
これは単純なことであって、内陸県8つから滋賀県を抜いた数に等しい。
というわけで、港湾のない都道府県というのは 栃木県・群馬県・埼玉県・山梨県・長野県・岐阜県・奈良県 の7つですね。
滋賀県が内陸県ながらに港があるのは言うまでもなく琵琶湖のことであって、4つの地方港湾がある。
あと、港という観点では漁港というのもある。
これも40の都道府県に存在し、存在しない7つの県というのは滋賀県以外の内陸県である。
ちなみに滋賀県は漁港は20あり、これは意外に多い数字である。
福島県は漁港が10しかないんですね。いわき市を中心に漁業が盛んだと言っても漁港が多いとは限らないと。
では、湖や川に港があるのは琵琶湖が唯一なのかといえば、そういうわけではない。
- 猪苗代湖 : 翁島港・湖南港
- 常陸利根川・霞ヶ浦 : 軽野港・潮来港・土浦港
- 琵琶湖 : 大津港・彦根港・長浜港・竹生島港
- 淀川(宇治川) : 伏見港
- 斐伊川(中海・大橋川・宍道湖) : 安来港・松江港 他7港 (cf. しまねのみなと (島根県))
他にもあるかもしれませんけどね。
この中では安来港・松江港は中海に面していることもあって工業港としての役割も多いようですね。
湖といっても、それを「中海」と言ってるぐらいだし、境水道(これも斐伊川の一部)まで行けば、それは重要港湾である境港ですからね。
ただ、それ以外は観光船の発着程度しか使われないものが多いし、
京都市の伏見港はすでに港としての役割は完全に失っているとされている。
その象徴が伏見港公園であり、かつての港湾区域は運動公園になっている。
歴史的には伏見~大阪の汽船は鉄道のライバルだった時代もあるのだが、上流のダム建設で実用性を失い、
その後も使われないのに残存していた港湾施設を撤去して公園化したのが伏見港公園ということらしい。
それでも制度上は地方港湾として残り続けているという、かなり特殊な港である。
(かつて伏見港~京都市内の船の連絡に使われていた濠川で観光船の運航は行われているが、その程度)
伏見港以外は湖・川の港としての機能は何らかあると思いますけどね。
ただ、常陸利根川・霞ヶ浦はかつては海と行き来する船があったというけど、今はほとんどないでしょうね。
歴史的には江戸への内陸舟運の拠点という色が強かったようだが、土砂の堆積などで有用性はどんどん落ちていき、現在は使えない。
琵琶湖と猪苗代湖については、前後は陸路で、湖の区間だけ水運を使うことがかつてはあった。
鉄道黎明期には大津~長浜で鉄道連絡船があった時期もあったとか。大津~米原の鉄道は後回しにされてたんだな。
今は言うまでもなく全部陸送だから、そのような使われ方をすることはない。
そういう意味では当初の重要性というのはほぼ失われてしまったということになるんじゃないか。
なので、長野県に港がないというのは、そのような重要性を持った港があった時期がないということで、
今にして見れば諏訪湖も霞ヶ浦も猪苗代湖もレジャー用途で使われる船着き場がある程度でほぼ同格と思うが、
歴史的にはその重要性は全く違ったということですね。
ましてや伏見港なんて港ですらないじゃないかという話で、歴史だけの地方港湾である。
まぁそんなこともあるんだなって感じですね。