おいしいところ狙いの車券?

今日はオートレースの話。

最近、公営競技の話題が多いねという話だが、これがスポーツというよりはお金の話。

だからカテゴリも「文化」ではなくて「お金」ですね。


雑誌読み放題のサービスで光文社の「FLASH」というカストリ雑誌、もとい写真週刊誌が読めるので、

パラパラ読んで下世話なことばっかり書いてあるなと見ていると、ちょっと気になることが紹介されていた。

FLASHくじ「当選率約2倍レース」2401分の1ってどんな確率? (Smart FLASH)

たかが出版社が くじ なんてできるものかと思って読んでいると、オートレースなんですね。

そして、それってこれと似てるなと。

DMM百万長者

全く同じものを違う商流で売っているだけのようだ。

そもそもは「当たるんです」という商品だそうで。

1口の金額が違う「ミニ」「メガ」「ギガ」があるが、売れ線は圧倒的にミニのようなので、ミニしか考えない。


これってなんなのかという話だが、非予想型のオートレースの4重勝車券なんですね。

オートレースは原則8車立て、その4レースの1着が全て当たれば的中となる。

ということは的中確率は 1/4096 となるが、さらにこの車券は少し独特な売り方をする。

発行口数は1セット4,096口。だから4,096人に1人は当たる!
4,096口の購入予約が集まった時点で確定となり、確定時点から最短で行われるレースで当選が決定します。

このような仕組みなので、この手のくじでありがちなキャリーオーバーの制度はない。

4096口の申込みがまとまってから車券が発行され、その4096口の中には必ず的中票がありますからね。


オートレースの控除率は全賭式で30%だそうで。

競馬が賭式により20~30%(JRAで馬連だと22.5%)、競艇が25%なのと比べると不利ですね。

「当たるんです」は基本的に1口500円で、4096口あたり1口が的中ということは、払戻は144万3600円となる。

ただし、欠車や同着があったときは払戻金は変わる。

さらに、現在は選手の移動抑制のため、開催によっては7車立てのレースとなる。

7車立ての場合は、2401口を1セットとして発売し、その中で1口的中となれば、払戻は84万0350円となる。


1/4096あるいは1/2401という的中確率は、他のくじと比べて高いとアピールしている。

宝くじだとロト6、totoだとBIGといった億単位で当せん金が出るのに比べたら、そりゃ高確率ですわな。

ここに近いのは宝くじだとナンバーズ4(的中確率1/10000で1口200円あたりの当せん金の理論値は90万円)、

totoだとmini BIG(1等的中確率1/19683で1口200円あたりの当せん金の理論値は約100万円)が近いか。

1口の金額が高くて、狙う金額は同じか少し高いぐらいで、的中確率はそれよりはやや高いと。


ところで、宝くじやtotoの当せん金は課税されない一方で、公営競技の払戻金は課税対象となっている。

払戻金は原則として一時所得として課税されるのだが、この課税方式は給与所得などとはかなり異なる。

タックスアンサー/一時所得 (国税庁)

まず一時所得の金額の計算方式だが、

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額

となっている。1年間の払戻金を合計して、払戻の付いた馬券であったり車券を買うのにかかった費用を差し引いて、

その金額が50万円以下ならば一時所得は0円、それ以上なら50万円引いた金額が一時所得となるというわけ。

さらにこの一時所得の金額の半額を他の所得と合算して、所得税・住民税それぞれの税率をあてはめて税金が決まる。

ちなみに、3連単のような賭け式はフォーメーションだのボックスだの多点買いすることがしばしばあるが、

多点買いしたもののうち1つが的中すれば、多点買いしたもの全てが 収入を得るために支出した金額 となると。

1点100円で20点買いして、払戻金が4000円なら、4000-2000=2000円 ということ。

他レースで外れた分は収入を得るために支出した金額にはならないんですけどね。

こういう計算法で年間累積して、50万円以内なら一時所得は0円となって、それ以上なら課税されるということ。


それで「当たるんです」で約144万円を的中させたときの税額なんですが、

これ以外の1年間に一時所得に該当するものがないという前提で言えば、一時所得の額は約94万円となる。

給与所得-各種控除=300万円(サラリーマンなら年収600万円ぐらいかな)の人の場合、一時所得の半分を加えて約347万円に対する税金を支払う。

このときの所得税額の増分は6万7300円(復興特別所得税は無視)、住民税の増分は4万8600円となる。

合計して払戻金のおよそ8%にあたる11万5900円の税金を納める必要があり、差し引き残るのはおよそ133万円となる。


これってどうなんですか? という話なんだけど、1口500円あたりの手取りの期待値は133万円/4096=325円で、

これは購入額の65%に相当する。30%がオートレースの控除分、5%が所得税・住民税の目減り分ということになる。

宝くじ と toto は当せん金は非課税である一方、控除率が50%と考えると「当たるんです」の方が期待値としてはよさそう。

ただし、所得税の申告をすると、それは国民健康保険料の算定にも使われる。

サラリーマンなら関係ないけど、自営業とか年金受給者だとそっちの影響が大きいかも。


競輪のランダム予想式の重勝式車券「Dokanto!」だと、1口200円で数億円ぐらいの払い戻しが想定される。

toto BIGやロト6と似ているが、このレンジを公営競技でやると税金がちょっと大変。

さっきと同様に給与所得-各種控除=300万円の人が、Dokanto!で1億円(適当に典型的な額を決めた)の車券を当てたとすると、

所得税の増分は約1874万円、住民税の増分は約497万円で、税金の支払いは払戻金のおよそ24%、手取りは約7629万円となる。


さっき「当たるんです」の場合は支払う税金はおよそ8%と求まったのとくらべると、かなり違うなと思ったかも知れないが、

それは所得税の税率が累進課税のためで、課税標準が~330万円ならば税率10%、~695万円ならば20%というのに対して、

4000万円超は税率45%ですから、1億円の車券を的中させてしまうと、それだけでそこまで行っちゃうんですよね。

あと、金額が小さければ年間50万円の特別控除の恩恵も大きいので、そこも税金を押し下げる効果がある。

というわけで「当たるんです」というのは、公営競技の税制上の特色を生かしたものになってるんじゃないかなと。

さすがに50万円以上当てると無税とはいかないけど、100万円前後ならば、実際の税率はそこそこ低く抑えられる。

そもそも非課税だが控除率が50%の 宝くじ や toto よりも、払戻金の期待値は高く出来る。


あと、的中確率がほどほどで、なおかつ4096口セットで車券を発行する仕組みというのもよいと思う。

高額当せん金が出るには十分な売上が必要で、toto BIGは1回で10億円ぐらい売ってるので、理論値相応の数億円の当せん金が出るわけだけど、

後発の公営競技の非予想式の重勝式投票券が、これらと同じように毎回とも億単位で売るのは無理がある。

そこでキャリーオーバーの制度があるわけだけど、キャリーオーバーが積み上がってないときは売れず、低調なままである。

「当たるんです」はレース設定日のほぼ全ての日で1セット以上の車券が成立しているようなので、

コンスタントに理論値通りの払戻が出ているということである。

欠車・同着の場合は当然目減りするが、キャリーオーバーがないので、影響はその回限りのことである。


ただ、問題はオートレースという競技はそれでよいのか? ということである。

やはり非予想型で稼ぐのはライバルが多すぎて難しい。

そこで払戻金額と的中確率で差別化してみたわけだが、それは功を奏するのか。

競輪のDokanto!よりは狙い目はいいんじゃないかと思いますけど。

とはいえ、競馬も競艇も、競技自体のファンを増やして、予想スポーツとして売上を伸ばしているのと比べると、

競輪とオートレースのランダム式の重勝式車券頼みはちょっと異様な気がする。

実際のところは重勝式車券の売上比率はそう高くないのかなとも思ったけど。