登山道を少しだけ県道から削る

山梨県が富士登山の安全対策のため、登山道の一部を県道から削ったという。

富士山の弾丸登山・混雑解消へ「秘策」 山梨県、道路法の適用外す規制案を2月議会に提案 (産経新聞)

道路法の規定では、登山者数の抑制を目的として通行規制はできない。

道路法46条では道路に危険がある場合か工事の場合に通行禁止にできるとある。

富士山の登山道が冬期に閉鎖されるのも道路が危険だからである。


そもそも富士山の登山道の主要ルートは静岡県道・山梨県道になっている。

静岡県側は下記2路線3ルートが登山口への道路と登山道で構成されている

  • 150 足柄停車場富士公園線: 須走ルート+ふじあざみライン
  • 152 富士公園太郎坊線
    • (新道) 富士宮ルート+富士山スカイライン
    • (旧道) 御殿場ルート

一方の山梨県側なのだが、吉田ルートが1本指定されているのかと思いきや、そうではないのである。

  • 701 富士上吉田線: 吉田口登山道
  • 702 富士精進線: 精進口登山道
  • 707 富士河口湖富士線: 富士スバルライン

このうち実際に山頂に通じているのは701号富士上吉田線のみである。


一般に富士山の吉田ルートと言えば、富士スバルラインで五合目まで往来するルートを指す。

吉田口登山道と吉田ルートの登山道部分は同じものではない。

登山口と登山ルート (富士登山オフィシャルサイト)

黄色の吉田ルートは登山道・下山道で2本引かれているのはともかく、

六合目または五合目で「富士スバルライン五合目」と「吉田口」に分岐している。

この吉田口と書いてある先にずっと進むと北口本宮富士浅間神社がある。

このルートこそが吉田口登山道、伝統的な登山ルートで県道701号線である。

なお全部が登山道ではなく、浅間神社~馬返は車両通行可である。

吉田口六合目または五合目 と 富士スバルラインを結ぶ登山道は吉田口登山道に含まれないのだが、

ここは精進口登山道、精進湖からの登山ルートを利用したものになっている。

精進口登山道は吉田口五合目より下が県道702号線となっている。

全区間が車両通行不可で純然たる登山道である。

一般的な吉田ルートというのは、富士スバルライン(県道707号線)を自動車で走り、

富士スバルライン五合目と吉田口の間で県道702号線を歩き、

吉田口登山道と合流してからは県道701号線を歩くという形だった。


で、山梨県は県道702号線の五合目ロータリー~泉ヶ滝の県道指定を外したわけですね。

これにより県道702号線が吉田口登山道から切り離された形になる。

そして道路ではなくなった登山道は県管理の登山道となる。

この区間の通行を1日4000人に規制、16時~翌2時の通行制限を行い、

さらには富士山保全協力金とは別の通行料(2000円)を徴収するという。

この通行料については山小屋がない下山道の安全対策にも使うという。

下山道も県道701号線には含まれていないので、これも県管理の登山道という形で整理するという。


ここからもわかるように吉田口登山道を歩く場合は規制対象外になる。

登山者が多くなるとは思えないルートなので問題ないのだろうが。

富士スバルラインから登山道に入るところで規制できるとスムーズで、

登山ルートの主要な部分は県道として管理できたほうがよいということなのだろうか。

精進口登山道の県道指定の意味が薄れるが、登山者は極少ないか。


山梨県側について言えばそういうことになるが、懸念は静岡県側である。

山梨県側で規制にかかるなら静岡県側に回ろうとならないか。

静岡県側については山梨県のような対策はできないという。

これは登山道が国有地のため、県道ではなくなると県の施設として管理できないためだという。

現状は様子見ということになるが夜間の通行規制については静岡県側でも実施する話がある。

山梨に続き静岡側も夜間入山制限 富士山の弾丸登山防止 (産経新聞)

ただ、山梨県側ほど強い対策はできないんじゃないか。


ところで富士スバルラインは有料道路だが、当然とは言えない事情がある。

本来、有料道路というのは建設費の回収が終われば無料開放される。

全国路線網の場合は徴収期間を2115年まで延長する計画もあるが、

とはいえ、これも老朽化対策の工事費を回収するという名目がある。

富士スバルラインについては本来は2005年に徴収期間が終わるはずだったが、

路線の特殊性もあって維持管理有料制度に移行している。

有料道路は有料であるうちは通行料から維持費を出すが、

無料開放されれば他の道路と同様に税金で維持することとなる。

しかし、それが不適な場合は維持費のために有料道路を続けることが認められている。

これが維持管理有料制度で富士スバルラインは 関門国道トンネル(1973年~)に次ぐ2例目である。


このあたりの考え方からも道路の通行抑制というのは難しいことがわかる。

基本的には道路というのは広く利用できるものと規定されている。

一方で登山道を道路として管理することで安全対策がやりやすい面もある。

道路である以上は基本的には税金を投じることになるわけだけどね。

このあたりのせめぎ合いから、富士スバルライン~吉田口登山道を結ぶ区間だけを県道から外すということになったのだろう。


以前、宮島訪問税の話を書いたときにも富士山のことに触れてるけど……

宮島訪問税対応のため

基本的には訪問者による超過コストを補うという考えがあるため、

訪問者を抑制するほどに高い税金を徴収するということは認めにくい。

また、税金の場合は公平な徴収が出来るかという問題もある。

沖縄県の離島や宮島は入域手段が船などに限られているので容易である。

現状の富士山保全協力金も静岡県側はルートが分散するため呼びかけが難しく協力率は今ひとつ。


そんな諸々の事情を考えたときに、登山道の一部を県道から外すのがよいとなったんだろうな。

山の公共性という観点で登山道というのは自由に利用できるべきだが、

県管理でそれなりの理由があっての制限ならば問題はないのかなとも思う。

とりあえずは吉田口登山道は規制対象外だし……

通行料も登山道の維持費や環境対策費は登山者が負担するのが相応だろう。

道路と考えると通行料の徴収というのはそぐわないわけだけど、

小中学校の通学路などの生活に密接した道路と登山道では全く違うわけですよね。

ただ、登山者に求めている富士山保全協力金と吉田ルートで徴収する通行料、

役割が重複している部分がある中で合理的な説明ができるのかという疑問はある。

最大の心配事は静岡県側の登山道の混雑かな。大丈夫ですかね?

2つのマイコンを1つにする難しさ

少し前からマイコンについてのあれこれを書いてきたのだが、

これは仕事でとあるシステムを構築するための検討に関連しての話である。

これぐらいなら書いてもいいんじゃないかということで、どんなものを作ろうとしているかという話。


ことはシステムに搭載された2つのマイコンが製造中止になる話から始まる。

けっこう古いマイコンだったんですね。

単純に新しいマイコンに置き換えられればよかったのだが困難な事情もあり、

元々搭載されていたFPGAをマイコン入りのFPGAに置き換えることになった。

FPGAにマイコンの周辺回路を作り込めるのがポイントだったんですね。

で、このマイコン入りFPGAには複数のコアが搭載されているので、

2つのマイコンの役割をコア1つずつ割りあてようとした。


発想としてはありそうな話なのだが、これがそう簡単なことではない。

というのもこの手のマルチコアのプロセッサーはコアを個別にリセット・起動することは想定されていないからである。

使い方の例として、複数のコアを使ってLinuxを立ち上げる例や、

コアの一部をLinux、一部をリアルタイムOSで使う例が書かれているのだが、

外部信号で個別に起動・停止を行うハードウェアの仕組みは備わっていない。


マイコンが変わることでリアルタイムOSも新しいのを買わないといけない。

それで問い合わせたところ、全コアまとめて1つのOSでマネージメントした上で、

タスク群Aはコア1に、タスク群Bはコア2に割り付けて動作させるという構成を提案された。

元々複数のマイコンでやってた仕事を1つのマルチコアシステムにまとめるのはよくある話なんだろう。

タスク群ごとにコアを分けておけば、他方のタスク群の処理時間が増えても影響を受けずに済む。

全コアまとめてOSに渡せば、そこからはOSで対応してくれるし、

コア間の通信はOSの一般的なシステムコールで対応できるのもよい。


ただ……このシステムは元々2つのマイコンに分かれている前提の要素が多すぎた。

個別での起動・停止、個別でのファームウェアアップデートなどがある。

個別の起動・停止をタスクの生成・破棄で代替出来ないか。

個別でのファームウェアアップデートをアプリケーション部のみの差し替えで対応できないか。

1つのOSで全コアをマネージメントする方式でどこまで互換性を保てるか。


一方でコアごとにOSを分けるという構成もあるはずじゃないかと。

Linuxを動かすコアと、リアルタイムOSを動かすコアに分けられるなら、

コアを分けて2つのリアルタイムOSを起動させることはできないか。

これ、起動させるだけならば、そこまで難しいことではない。

問題は個別に起動・停止を行う仕組みである。

ウォームリセットとコールドリセット

これはマイコンにもよると思うのだが……

ここで書いたソフトウェアから見たウォームリセット、リセットハンドラへのジャンプぐらいしかない。

いくつか候補にあったマイコンも見たけど、ほぼこれしかないね。

(1つは他のコアからのレジスタ操作でハードリセットできそうにも見えたが)


一方でこの方法でのリセットができないシステムはないだろう。

割り込みを受けてリセットハンドラへのジャンプというのは誰でもできる。

この方法でどれぐらい完全なリセットになるかという問題はあるが、

OSを立ち上げなおすという動作は概ね実現できるように思える。

個別で停止して、個別にアップデートして、個別に起動する。

起動部分を多少注意して作れば実現できなくはない話である。


もっともOSを分ける構成でも全コアで共通的な機能は分けることができない。

このためコアごとにOSを分けることにどれぐらいメリットがあるかという指摘はけっこうある。

多少なりともブートローダーやOSに手を加える部分が増えるのは事実。

とはいえOSを1つにする場合にはアプリケーション側での工夫が多くなるので、

どちらの方が容易かという話なんだろうなという気もする。


というわけでマルチコアのプロセッサーに複数のマイコンをまとめるのは、

発想としてはありそうだけど、実際には簡単じゃないねという話だった。

他にもいろいろ難題があるんですけどね。Blogに書ける愚痴はこれぐらいで。

山のトイレをどうするか

エベレスト(ネパール側の話だからサガルマータと呼ぶべきか)のトイレについてのニュースを見た。

「岩にあるのがそのまま見える」 エベレスト悪臭の主犯 (中央日報)

登山者に排便用封筒の持参を求めるという内容。

登山者が多く利用するキャンプ地の中には強風で地面が露出したところがあり、

そういうところでトイレをすると排泄物がそのまま飛散するという点が問題なようだ。


エベレスト登山は高所順応を含めてかなりの時間を要する。

その中でも滞在期間が長いのがベースキャンプと呼ばれる標高5364mのキャンプ地である。

実はこのベースキャンプについては行政が美化活動を行っており、

トイレについても便を貯留して運び出す仕組みがあるよう。

ただし、尿や雑排水についてはそのまま放出されている。

尿をそのまま放出して問題ないのかという話だが、当地の環境を考えればあまり問題はないかもしれない。

尿をそのまま放出した場合、生物の栄養となり、アオコの大量発生など考えられるが、

これほどの高地では生物がほとんどおらず、栄養を消費する生物がいない。

そして流下するなかで希釈されていくので、麓での影響は軽微と言えそうだ。


すなわちここで問題となっているのはベースキャンプより上での排便である。

それも滞在時間の長いキャンプ地での排便ということになる。

排泄物を分解する生物が乏しく、便は分解されず滞留してしまう。

キャンプ1とキャンプ3は氷雪の上のため、氷の中で滞留することになる。

これも問題ではあるけど、それ以上に問題なのが地面が露出したキャンプ2とキャンプ4である。

というわけでここでの対策が特に求められているということですね。


山のトイレといえば、日本では富士山のトイレ整備がよく知られている。

他の登山者の多い山でもトイレの整備が進められてきた。

浄化循環式、バイオ式、焼却式、あとはくみ取り式も一部ではあるか。

浄化循環式は接触材としてカキ殻を使ったものが多いのでカキ殻トイレとも。

一般的な浄化槽に似ているのだが、浄化水を洗浄水に再利用する点が異なる。

水道がなくても水洗化できることや、周辺に排水しないメリットはあるが、

汚泥や汚水の引き抜きは一定必要となる。運搬状況がよいところ向けか。

なので登山道に限らず、水道が使えないところで使われている方式でもある。


バイオ式はおがくずなどの担体に居着いた菌を使って排泄物を分解する方式。

富士山のトイレとしては最も数が多いタイプではないか。

基本的に撹拌だけすればよいので、この場合は処理に必要な電力も少なく済むが、

気温が低く、利用者が多いとなれば、バイオトイレもそこそこ電力を使う。

富士山ではこれがけっこう問題のようで、近年の登山者の増加に対応できない問題がある。

吉田ルート下山道トイレのおはなし

このトイレは富士山の中でも特に利用者が多いトイレだという。

利用者の多い吉田ルートで、かつ山小屋のない下山道にあるトイレだから。

バイオトイレは担体が水分量を調整するが、尿の水分に対応すると処理能力が下がる。

そこでここでは尿を分離して貯留する仕組みを取っている。

貯留した尿は運搬しているようだが、尿だけならさほど不衛生ではないということか。

なお、バイオトイレの担体は一定の周期で交換する必要がある。


焼却式は文字通りの排泄物を焼却する方式。

燃料を多く使うことになるのが欠点だが、焼却後は灰しか残らないのは便利。

富士山では一部の山小屋で使われているよう。

ただ、どちらかというとコンパクトさを生かしたキャンピングカー向けなのかなと見える。

能登半島地震で注目の「トイレカー」 水洗ならぬ“燃焼式トイレ”とは何か? (Markmal)

国土交通省の対策本部車に搭載されていることが紹介されている。これもキャンピングカーみたいなものか。


生物の働きが期待できない低温だと、焼却式以外で自己完結型の処理は難しいだろう。

こういう方式のトイレをキャンプ地に設置するといいんだろうなと思う。

ベースキャンプより先は運搬も大変なのでトイレの設置も難しいだろうが、

ここで書いた方式の中ではコンパクトなのも燃焼式である。

尿は分離して処理(尿はそのまま放出でも許容されているのは先に書いた通り)とすれば、

必要な燃料も節約できるかもしれないなとは思ったがどうだろう。


現状は尿の処理は求められていないとあるが、尿を飲用水にできればメリットはあるかもしれない。

現状は氷河から水を採取したりしているようだが、水質も懸念があるわけだし。

これについては山というよりは宇宙空間の話だなと思う。

国際宇宙ステーション/「きぼう」日本実験棟向け「次世代水再生実証システム」をJAXAより受注 (栗田工業)

国際宇宙ステーションの新しい水再生システムを日本で開発をしているという。

一般的な下水処理は生物処理での有機物の除去が主体である。

無機物は窒素・リンは富栄養化対策のために取り除くが、それ以外は放出する。

コンパクト化が求められていて、最終的に飲用水にすることもあり、これとはかなり異なる仕組みである。


まず、イオン交換樹脂で尿からマグネシウムイオン・カルシウムイオンを水素イオンに置き換える。

これらの成分は詰まりの原因となりやすいので先に取り除くと。

次に水の電気分解を行い、水の一部を水素イオンと水酸化物イオンにする。

この水酸化物イオンを使って有機物を分解する。主には水と二酸化炭素になる。

二酸化炭素と水素は気体として放出、各種イオンを含んだ水が残る。

この水を電気透析して陽イオンと陰イオンをそれぞれ濃縮、残った真水は飲用水になると。

電気透析は塩の製造に使われている仕組みと同じだが、陽イオンと陰イオンを別々の濃縮する点が異なる。

なぜ別々に濃縮するかというと、イオン交換樹脂の再生のためである。

ここで作った酸性水をイオン交換樹脂に通すと、マグネシウムイオン・カルシウムイオンを水素イオンに置き換えて再生できる。

イオン交換樹脂を使った方式は数あれど、薬剤なしで再生できるのは特色である。

こうして不要なイオンが集められた水が廃液として残ることになる。


エベレスト登山は長期間に及ぶわけで、そこに着目した対策でないとなかなか受け入れられないんじゃないかなという気はする。

ゴミ問題に対して、登山者自身に8kg以上のゴミの持ち帰りを求めているところだが、

実際にはこれを履行せず罰金を払うケースが多いようである。

登山全体にかかる費用に対して罰金は軽微な金額だし、安全面の問題もあるのだろう。

ベースキャンプについては行政がカバーしているので比較的よいのだけど、

その先は登山者の責任でやるようにと促しても、結局はやらないと。

ベースキャンプより先でも滞在期間が長いのが原因の1つだろう。

輸送が困難ならある程度は現地処理する仕組みが必要なんだと思うけどね。

団体種目で失格者が出た後

もうだいぶ前の話になるが2022年冬の北京オリンピックの話。

ドーピング頼みのフィギュアスケートか?

フィギュアスケート団体で日本は銅メダルを獲得と報じられるも表彰式が行われなかった。

原因はロシアチームのワリエワ選手のドーピング疑惑が片付いていなかったから。

本来はオリンピック前に解決しておくべき問題だったのだが、遅れてしまったという。

この問題は先月、2021年12月から4年間の資格停止処分という形で決着し、

資格停止期間にかかる北京オリンピックでの結果は失格ということになった。


長引いたものの、ワリエワ選手の失格という結果には驚きはない。

女子シングルは4位入賞だったので失格になれば5位以下が繰り上げになる。

(1~3位に影響はないため、メダルの授与はオリンピック期間内に行われている)

問題は団体種目なのだが、ワリエワ選手が獲得した得点を取り消して、

1位アメリカ、2位日本、3位ロシアオリンピック委員会となり、

この形で近日表彰式が行われるとのことである。

って1人失格になってもロシアチームは銅メダルもらえるんかいと。


この結果に反発しているのが特にカナダである。

順位変更は再検討せず ワリエワ失格の北京五輪団体―フィギュア (JIJI.COM)

フィギュアスケート団体は種目ごとの順位を得点に換算して総合順位を決めている。

1位が10点、2位が9点……10位が1点という形である。

で、女子シングルのショートプログラムとフリースケーティングについて、

ロシアチームはワリエワ選手の演技で10点・10点と獲得していた。

この20点分を取り消すと3位になるというのが上に書いた結果である。

でも、そもそもワリエワ選手が失格になったら種目別の順位も変わるよねと。

日本は9点・9点だったのが10点・10点になるし、カナダは8点・8点だったのが9点・9点になる。

こうするとカナダはロシアチームを上回り3位、銅メダルとなるはずだ。こういう主張である。


そもそも1人欠く時点で団体種目の出場資格がないのではという話もある。

ただ、事前に失格になっていれば、補欠選手を出すこともできたが、

後から失格にされてはどうにもならないわけでチーム全体を失格にはできないのかもしれない。

1人2種目分の得点を0にされても3位か4位に入れるロシアチームは強いということか。

こういう話はスキージャンプでもあった。

混合団体は1回失格で2回目進出絶望かと思われたが、他のチームの失格も相次ぎ、

1回分0点になったにも関わらず4位まで追い上げた。これは立派な結果である。

いずれにせよ、日本チームが女子スキージャンプでは世界トップクラスであることは確かである。

(スキージャンプは女子競技の歴史が浅い)

ワリエワ選手の件はそもそもロシアのスケート界の問題という話もありつつ、

全員失格というのはさすがに厳しいだろうとは思う。


この話を言われるまで、各種目の得点を単純に足し合わせてると思ってた。

体操は異なる種目の得点を足し合わせることが想定されており、

個人総合・団体ともども種目ごとの得点で順位を付ける。

フィギュアスケートの採点システムもよくできたシステムだし、

個人種目だとショートプログラムとフリースケーティングの得点を足して総合成績である。

ただ、種目間で得点の相場が異なることも確かである。

北京オリンピックの団体各種目の1位の得点を並べると、

  • 男子シングル SP:111.71, FS:208.94
  • 女子シングル SP:90.18, FS:178.92
  • ペア SP:82.83, FS:145.20
  • アイスダンス RD:86.56, FD:129.07

確かに単純な合計だと種目間の寄与度の差が大きすぎるのかも


あらためて振り返るとフィギュアスケート団体での日本の銀メダル獲得は、

ペアとアイスダンスというカップル種目の強化によるところが大きい。

元々個人種目は男女とも強いのが日本チームである。

最近の国際大会ではロシア人が締め出されているので特に活躍が目立つ。

それに比してカップル種目は国内での興味も薄く、レベルも低かった。

団体種目でのメダル獲得というのはカップル種目の底上げによるところが大きい。

種目単体で見てトップクラスにはまだ遠いのかもしれないけど、

団体種目の中で結果が見えるというのも大きなことだと思うので、頑張ってほしいですね。

auじぶん銀行とローソン銀行

昨日、ローソンの株式の半分をKDDIが買う話を書いた。

ローソンをKDDIが買う理由

そういえば両社共に銀行を子会社に持ってるんだなと思い出した。


KDDIの子会社には auじぶん銀行 がある。

KDDIと東京三菱UFJ銀行(当時)の出資で2008年に開業している。

インターネット専業銀行としては ジャパンネット銀行(現: PayPay銀行)、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行 に次ぐ5行目である。

親会社はKDDIだが、三菱UFJグループにとっての戦略的な意味もあったようだ。

ただ、インターネット専業銀行の中では後発で、特色も薄いのが実情である。

実際のところ、この銀行は住宅ローンとカードローンで稼いでいるという。

そのカードローン「じぶんローン」は歴史をたどれば、東京三菱銀行(当時) と アコム が設立した貸金業、キャッシュワン に行きつく。


一方のローソン銀行は2018年までは ローソンATMネットワーク という会社だった。

元は銀行から(主に)ローソン店内のATMの管理を受託する会社として存在していた。

このATMをローソン銀行自身のATMに転換したという会社である。

名目上はいろいろな銀行のATMだったのが開業とともにローソン銀行のATMになったという形である。

ATMネットワークのための銀行としてはセブン銀行とイオン銀行が知られている。

ただ、イオン銀行は資産運用・融資・クレジットカード、さらには中小企業向け融資(日本振興銀行を継承)と、

手広く事業を行っているので、ATMネットワークのための銀行という印象は薄い。

ローソン銀行については、現状はセブン銀行と同様のほぼATMのための銀行である。


auじぶん銀行 はネット銀行として後発ということで顧客との接点が少ない。

ローソン銀行はATMの受託ビジネスだった頃と商売は大きく変わっていない。

そこでこの両社が合わさることで、ローソンを通じた金融サービスの提供に結びつけられるのでは?

と、こういうことを思いつく人はなんぼでもいそうな話である。

もっともローソンはKDDIの子会社にならないので、単純に合併とはいかないかもしれないが。


企業統合で傘下の金融業が注目を浴びたと言えば、Zホールディングス(ヤフー)とLINEの経営統合である。

Zホールディングスは傘下にワイジェイカード(現:PayPayカード)、ジャパンネット銀行(現:PayPay銀行)、One Tap BUY(現:PayPay証券)を抱え、

関連会社として決済サービスのPayPayもいた。(現在は子会社化)

一方のLINEはLINE Pay、LINE Credit、LINE証券を傘下に抱え、LINE Bankの設立に向けて動いていた。


しかし、実際には経営統合後の金融・決済はあまり変わっていない印象である。

PayPayとLINE Payはユーザースキャンの加盟店網を統合したが、

それを除けばお互い別々のサービスとして継続している。

クレジットカードもPayPayカード、LINE Creditがともに展開している。

LINE Bankは中止、LINE証券は提携先の野村證券に移管という形で撤退。

経営統合の影響というよりは投資が見合わないという判断だろうと思う。

現時点でLINE・ヤフーの統合がもっとも進んでいるのは広告やeコマースというのが実情である。


ローソンとKDDIの重複分野として金融・決済というのは気になるけど、

そう単純に統合できる話でもないんだろうとは思う。

ローソンはKDDIの子会社になるわけではないのだし。

ただ、auじぶん銀行とローソン銀行はもっといろいろ出来るんじゃない?

両銀行の状況を整理してそう思ったので、期待しておこうと思う。

ローソンをKDDIが買う理由

KDDIをローソンの株式の半分を取得するというニュースが出ていて、

なんで通信会社のKDDIが小売業のローソンを? となる。

ローソンの子会社を見るとローソンエンタテイメント(ローチケなど)やローソン銀行があり、

この手のサービス業は、ローソンはコンビニを、KDDIは通信を通じて提供するという点で興味があり、

その点で親和性があるという主張なんだろうが、それでもよくわからんなぁとなる。


それはそうとして、このKDDIによるローソンの株式取得というのは、

最終的に三菱商事とKDDIがローソンの株式を50%ずつ保有し、非公開化することを目的としている。

現在、三菱商事の出資比率は50.06%なので、わずかに50%を超えるが、

株式併合により三菱商事とKDDIの比率をぴったり50%にするという。

この結果、ローソンは三菱商事の連結子会社から持分法適用関連会社になるという。

当社子会社(株式会社ローソン)の異動(持分法適用会社化)に関するお知らせ (三菱商事)

実はこれが目当てなのでは? という指摘を見た。


子会社の定義は、議決権の過半数を持っているか、議決権の40~50%を有して取締役の過半数を送り込むなどの条件を満たす会社である。

議決権の過半数を有していると、基本的には連結決算に入れることになる。

重要度が低いとか、連結が実態に合わない場合はその限りではないが。

50%ちょうどや50%を少し割る場合でも子会社になっているケースはある。

最初に書いた持分比率40%台前半で連結子会社にした会社には注釈で「株主間合意により」とあったから、

持株比率50%以下だけど、他の株主との間で取締役の過半数を出すことに合意は得られているという意味なんだろう

(それでも連結子会社だ)

公開買付後はローソンは三菱商事とKDDIが取締役を半々出すという。

なお、公開買付者(=KDDI)は、本日付で、三菱商事との間で本株主間契約を締結し、本株主間契約において、本取引完了後の当社の取締役として、三菱商事が3名、公開買付者が3名をそれぞれ指名すること、当社の代表取締役を三菱商事及び公開買付者がそれぞれ1名ずつ指名することに合意しているとのことです。

こうなると明確にどちらかの支配下にあると言えないので、どちらの子会社にもならない。


三菱商事にとって実態として大きな変化があるとは思わないのだが、

連結財務諸表にローソンの負債・資産・損益が全て記載されていたのが、

ローソンの純資産と損益の50%(持株比率)だけが反映されるようになり、

連結財務諸表上は資本効率がよくなったように見えるという。

これが三菱商事の狙いにあるんじゃないかという指摘である。

ローソンにとっては非公開化により経営の自由度が高まることが期待される。


やはりよくわからないのがKDDIにとってのメリットである。

冒頭に書いたようにコンビニを通じたサービス提供と、通信を通じたサービス提供には共通点があるとか、

あるいはKDDIはau Styleの実店舗のネットワークを有しているが、

そこでローソンのサービスを導入するようなことも考えにはあるらしい。

でも、それだけではローソンの株式の半分を取得する動機には弱い気がする。

真の動機というのは金が余っていたからではないか。

直近の決算を見るとKDDIの連結決算では現金を6235億円持っている。

ローソンを買うのに使うのは5000億円、お金があるからローソンを買ったというのは納得感はある。真相はわかりませんが。

雪の後の首都高速は大変

南関東で雪が降ったのが月曜の夜のこと。

火曜の朝はまだ雪がだいぶ積もっていたが、夕方にはそこそこ溶けていた。

今朝もまだ残っているところはあったが、日中にかなり溶けたようだ。

それでも日陰に一部残っており、道の端に寄せられている。


今回、高速道路で立ち往生を防ぐために事前に通行止めにする対策が広範になされた。

近畿圏だと名神高速道路で通行止めをして、新名神ルートを優先する。

新名神ルートも東名阪自動車道と並行する四日市~亀山は東名阪を優先する。

と、雪対策が容易なルートを除雪を徹底して通すという対策をしている。

ただし、昨年1月には新名神まで立ち往生が発生する事態も起きているが、

基本的にはこの方針で東西のルートを維持する対応をしている。

一方、今回は関東平野の各方面で影響が発生することが避けられないと、

どの方面も広範囲に通行止めにしてしまうという対策が取られた。


ただ、今回の雪はその後の除雪にかなりの時間を費やすこととなった。

特に首都高速は今日の夕方まで丸2日通行止めが続く区間も出た。

高架橋では雪が溶けにくいこと、路肩が狭いことが課題だったようだ。

路肩の狭さもあって、手作業での除排雪を行う部分が多かったらしい。


以前、紹介したことがあるが、除雪というのは道の脇に雪を除けることである。

除雪後には道路脇に雪山ができてしまい、安全面に問題がある。

このため除雪された雪を運び出す排雪という作業が行われることがある。

しかし、排雪は大きな労力がかかる作業のため、そう頻繁にはできない。

交差点付近では安全面から比較的多く行われるものの、

幹線道路では年数回、それ以外の道路では年1回できればよいところ。

札幌の排雪は大変

それでなんとかやっているのは道幅に余裕を持たせているからである。


すなわち関東圏で同じようなことが起きても雪を除けておく場所がないと。

もちろん積雪もたかが知れており、気温が上がれば解けていくので、

一般道ではそこまで深刻な状況は起きていない。

しかし、高架橋は雪は解けにくく、都市高速の道幅はギリギリ、

こうなると排雪をしないと間に合わないわけである。

そんな大げさなと思ったけど、実際そういう状況になっていたのだ。


雪が積もっても、解けるまで放置しておけるなら何も問題はない。

でも、都市では交通の妨げになったり、建物が壊れたり問題が起きると。

地域によっては消雪溝や消雪パイプで雪を水にして雨同様に排水できるが、

札幌ではそうもいかないので雪は雪として置いておくしかない。

道幅を広くするなどの対策はしているけれど、200万都市では容易なことではない。

都市ほど雪を置いておける場所がないという問題は、首都高速にもあったという話だった。


ところで高架橋といえば、高速道路もそうだが、新幹線も多いですよね。

上越新幹線、東北新幹線(主に青森県内)では散水で対策している。水で雪を溶かすわけですね。

あと、ちょっと性質は違うのだが、東海道新幹線の関ヶ原区間でも散水をしている。

これは雪が舞い上がるのを防ぐ対策なので、ちょっと違うのだが。

東北新幹線(八戸以南)、北陸新幹線(主に長野県内)では貯雪ということで、

線路部分をかさ上げして、高架橋の中に雪を貯めるスペースを作る対策をしている。

雪は降るが比較的少ないので置いておこうという対策ですね。

高速道路では雪捨てに困る高架橋だが、新幹線ではむしろ好都合だと。


ただ、貯雪にも限度はある。

北陸新幹線の糸魚川~金沢では貯雪に加えて、高架橋の下に雪を捨てるという対策が採用されている。

ただ、市街地など下に捨てられないところもあるので、そこは融雪パネルを付けて対応しているよう。

北海道新幹線では下に穴が開いた高架橋にして、勝手に雪が落ちるようにしていると。

さすがにそれはなかなか使える地域が限られてしまうな。


というわけで雪対策は様々だが、雪を置いておけるということの重要性を改めて確認した。

いろいろあったけど正常化してよかった。

引数を渡せる割り込み

関東平野は頻度は低いが雪になると相当に降るというので、

今日の帰り道はけっこうな雪の中を歩いて帰ってきた。

今日、特に午後は在宅勤務の人が多かったので、ガラガラだったが。

滑りにくい靴とか、防寒具とか用意した上で、通勤経路を勘案して問題ないということで、出勤してたわけだけどね。


CPUには割り込みを発生させる命令というのがある。

ARMだとSVC命令だし、x86だとINT命令ですか。

で、最近知ったのだが、これらの命令を使ってシステムコールを発生させるとき、

レジスタに値をセットして渡したり、返り値を受け取ったりすることがあると。


一般的な割り込みは割り込み前の汎用レジスタの状態に依存せず動いて、

割り込み前後で汎用レジスタの値は変えないように退避する。

でも、システムコールの場合はそうではない場合があると。

引数をレジスタで受け取って処理を変えることもあるし、

返り値をレジスタに入れて返すということもあると。

SVC命令もINT命令も割り込みの番号を設定することができるけど、

どうせレジスタで引数を渡すなら、命令に付ける番号を使わないという実装もあるよう。


こういうことができるのは、他の割り込みと違って起きるタイミングが決まってるからこそだよね。

割り込みというよりは、関数呼び出しに近い使われ方をしてるんですね。

それでも割り込みという仕組みを使うのは、特権モードになるためである。

ユーザーモードから特権モードに遷移するには割り込みを起こす必要がある。

そのためにソフトウェア的に割り込みを起こす方法を用意していて、

その使われ方というのは関数呼び出しと近い部分があるというわけである。


今まで全て特権モードで動くようなシステムばっかりだったので、

わざわざこういう仕組みを使うことはなかったというのが大きいですけどね。

そうか、ユーザーモードから見れば関数呼び出しみたいなものなのかと。

そんなわけで今さら気づいた話だった。

確かに他の割り込みとは全然違いますよね。

騒音シミュレーションには頻度もある

以前、関西空港・神戸空港の発着枠拡大のための飛行ルート案の話を書いた。

従来より低いところを飛ぶけどね

関空は離陸後早々に6つのルートに散らせることと、神戸は出発ルートと到着ルートから分離することが主な内容。

このルートに対する騒音シミュレーションの結果が出ていた。

新飛行経路案に係る環境検証委員会 (大阪府)


簡潔に言えば、住宅地の基準より厳しいLden52dBの範囲すら海上に収まるという内容である。

Ldenというのは1日当たりの騒音エネルギの平均値を表す指標で、

19~22時の騒音は5dB増、22~翌7時の騒音は10dB増で計算するというもの。

国の基準では住宅地では57dB以下、それ以外の地域では62dB以下となっている。

これより5dB厳しい数字で見ても海上に全て収まってしまいますよということである。


ただ、平均値というところに納得感があるかということは考える必要がある。

大きな騒音があっても頻度が低ければ小さな数字になるからである。

まず、そもそも空港を発着する便数というのはある。

便数の多い空港ほど騒音の影響は大きく見積もる必要があるとは言える。

次に風向きごとの頻度ですね。

伊丹空港では発着便の99%が滑走路を北向きに使うことが知られている。

風向き次第で飛行機が遅れる

この結果、南側の市街地への騒音は大きく抑えられていると言える。

でも、南向きに離陸することも稀にあり、その時は大きな騒音が続くことになる。

伊丹は極端だが、発生頻度の低い風向きのルートは低く見積もられる。


視界条件により騒音の範囲が変わることがある。

羽田空港では東側から着陸する場合、好天時は千葉市付近から海上を飛行し、空港近くで曲がるルートをとるが、

悪天候時には直線的に飛行するため浦安市・江戸川区付近まで陸上を飛行する。

このため陸域での騒音影響が大きくなりがちだが、頻度が低いので低く見積もられる。

しかし天候が悪い日は延々とこの状態が続くことになる。


時間帯により騒音の範囲が変わることもある。

Ldenでは深夜の騒音を大きく評価するので、深夜帯の騒音対策がより評価される。

関西・中部・羽田の3空港は深夜帯は海上に飛行ルート収めることで24時間運用を実現している。

このことに文句を言う人は誰もいないと思うけど。

逆にケチが付きそうなのが羽田空港の混雑時間帯に使われる飛行ルート。

市街地上空を通って着陸する理由

北側から市街地上空を通って2つの滑走路に向けて着陸していくので、

このルートが使われる時間帯は品川区・渋谷区周辺の騒音がかなり大きい。

ただし、1日最大3時間、それも南風(頻度は4割程度)のときのみである。

なので、Ldenで評価すると新たな騒音対策が必要な地区は発生していない。


というわけでLdenで見て小さいから騒音の影響は軽視できるとも単純には言えない。

とはいえ、関西・神戸の両空港の新しい飛行ルートはそこまで極端なことはないのかなと思った。

関空は飛行ルートを多く分散させることにより騒音影響を分散させているが、

特定の時間帯・特定の天候のときに集中するという性質のものではない。


Lden52dB未満の地域についてもいくつか試算が書かれている。

  • 48~52dB: 多奈川小島, 夢舞台★
  • 44~48dB: 岩屋, 鵜崎★, 釜口, 由良★, 大川
  • 40~44dB: 二色, 中川原★, 沼島

★を書いた地域は新しく騒音の影響を受ける地域である。

夢舞台は新しい神戸からの出発ルートの真下だね。

夢舞台自体は公園や国際会議場で、騒音も比較的受け入れられるとみたか。

そこから南北に離れて岩屋・鵜崎となると影響は減りますよと読める。

由良は友ヶ島水道の淡路島側、関空の発着ルートの分散の影響が比較的大きい。

いずれも海上で高度を稼ぐ対策はある程度効いているとは言える。


あとは実運用上の飛行ルートや高度がどうなるかですね。

可能な限り、陸上を飛行する高度を上げてほしいというリクエストは書かれている。

このルートを多少逸脱する飛行機も実運用上は発生する。

これは発着する飛行機の間隔を調整するために少し遠回りさせたり、

逆にショートカットさせる指示を出すことがあるからである。

その観点では淡路島のかなり広い範囲で騒音の影響を受けることになる。

ただ、頻度としては比較的低いのでLdenで見ると軽視されることにはなる。

そういうこともたまにはありますと素直に説明して納得を得るしかない。


そんなわけで数字だけで見ると見誤ることもあるという話だった。

とはいえ、やはりそれなりに理由があって世界的な基準になっているわけで、

これを低く抑えるための作戦自体は騒音対策に寄与する内容と言える。

佐渡から羽田には行けない

先日、新潟を拠点とする新しい航空会社、トキエアが新潟~札幌(丘珠)線で運航開始した。

元々昨年6月に運航開始予定だったが、いろいろ手間取って半年遅れ。

その背景には既存航空会社との関係が薄いということがありそうだ。

このような航空会社の新規参入はフジドリームエアラインズ(2009年運航開始)以来か。


トキエアが導入した航空機はATR72、72人乗りのプロペラ機である。

日本で離島路線を中心に多く使われるようになったATR42の大型版で、

すでに日本エアコミューターがATR42と併用して使っている。

ATR機は鹿児島空港が日本における整備・訓練の拠点となっているところである。

比較的短い滑走路で運用できるため、丘珠空港を通年で使えるんですね。(cf. 丘珠空港に足りないもの)


トキエアは佐渡空港への就航を考えていると言われている。

てっきりATR72で佐渡に行くのだと思っていたがそうもいかないようだ。

というのも佐渡空港の滑走路は890mしかない。

この滑走路の短さも相まって、現在は定期便の設定がない。

この長さの滑走路だとATR72は難しいため、ATR42を導入するとのこと。

実はATR42にとっても890mという滑走路は少し短い。

このため座席数を減らす必要があるのが実情のようだ。

ATR42-600SというSTOL性能強化版ならば満員でも対応できるが、こちらは来年以降納入となっている。

いずれにせよATR72では佐渡に乗り入れることはできない。


佐渡発着の路線としては新潟と成田を考えているという。

なんで国内線なのに羽田空港ではなく、成田空港なんだ?

これには明確な理由があって、羽田空港には60席以下の飛行機は原則乗り入れができないという。

もちろん60席以上でも発着枠の調整が必要なので容易ではないのだが、

それ以前の問題なので、羽田空港以外で東京に近い空港ということで、選ばれたのが成田空港だったと見られる。


このような問題はすでに東京都内の離島路線でもあったことである。

調布飛行場の存在意義

調布飛行場は東京都港湾局が管理する空港で、名目上は離島のための空港である。

実際は同飛行場が国管理だった時代からいる自家用機の拠点でもあるが。

自家用機の事故もあり周辺地域からはよく思われていない飛行場だし、

羽田空港と比較すると交通アクセスの面でもかなり悪いのが実情である。

にもかかわらず、大島・三宅島・新島・神津島の路線が発着するのは、

羽田空港の乗り入れ規制のためだと言われている。

じゃあ佐渡便も調布にすれば……それは地元の理解が得られないでしょ。


もしもATR72ならば、60席超という条件は満たすことが出来る。

実際、同程度のジェット機、E170はJAL(J-AIR)便で乗り入れていたことがある。

(現在はクラスJのあるE190に代替されているが)

発着枠の調整は必要であるが、離島路線ということで特別枠もあるかもしれない。

一応、佐渡空港には2000m滑走路を作る計画があり、

これが実現すればジェット機の乗り入れも可能となる。ATR72も当然OK。


羽田空港の忙しさはわかるけど、それで離島空港の活用が難しくなってるのは残念ですね。

これが西日本だと伊丹空港にATR42も乗り入れていますからね。

なお、トキエアは新潟~神戸線を今後運航する予定、これはATR72でしょうが。

発着枠の都合か神戸になったが、神戸もそれはそれで悪くない。

将来的に佐渡~神戸とかもあるのかな。計画には書いてないけど。


でも、佐渡~成田でも今までになかった画期的な路線ではあるので、

成田空港へのアクセスを考えても、新幹線+高速船に比べてだいぶ早いでしょう。

成田空港もそれはそれで忙しい空港ではあるのだが、

羽田空港に比べれば柔軟性は高く、主にLCCの受け皿として機能してきた。

離島路線までそういう選択を強いられるのはどうかと思うけど、選択肢があって助かったことは事実である。

この路線の成否によって佐渡空港の今後は大きく変わると思うので期待している。