ブリーダーズカップのメインレース

昨晩、寝る前にブリーダーズカップ(BC)各レースの時刻を見たら、

JRA馬券発売対象のレースだとBCクラシックの発走が一番早いとみて、

え!? と思ったのだが、そうなんですよね。


大概の催しものでメインとなるものは最後に持ってくるのが普通である。

JRAではメインレースは最終レースの1つ前に置かれるのが通例だが、

最終レースを別とすれば、メインレースに向けてレースの格式が上がっていくものである。

ブリーダーズカップも2022年まではメインレースであるクラシックが最終レースの1つ前、

ブリーダーズカップの重賞では一番最後に行われていた。

ところが2023年以降、この順序は入れ換えられたわけである。


理由はテレビ中継との兼ね合い、具体的にはカレッジフットボール中継との時間調整のため。

【遥かなる世界の競馬地図】米BCの競走順にファン、馬主から不満が噴出…そのワケとは (サンスポ)

実際、TV中継も含めたタイムスケジュールを見てみるとよくわかるのだが、

NBCで中継が行われるのは、5R(当地12:41発走)から9R(15:25発走)まで。

ここにBC開催の格式高いレースを押し込んでいて、

ターフスプリント(5R)→スプリント(6R)→ディスタフ(7R)→ターフ(8R)→クラシック(9R)となっている。

あとはこの前後にいろいろ押し込んでいて、4Rにフィリー&メアスプリント、10Rにマイル、11Rにダートマイル、12Rにフィリー&メタターフとある。

ターフに日本馬がいればそれが一番早かったかも知れないが不在なので、

結果としてはクラシックが馬券発売対象では一番早かったわけ。


そんなわけで朝6時前にのそのそ起きてスプリントからTV中継を見始めたわけですが。

日本のファンにとって今年のBC開催はやはりクラシックが一番の注目ポイントでしょう。

それはフォーエバーヤングが出走するからで、日本の馬券発売でも1番人気、

といっても単勝は日本馬が売れるのはJRA馬券発売のいつものこと。

正味の人気は馬単など見るべきで……それでもフォーエバーヤング頭が売れている。

実は当地でも1番人気とほぼ差のない2番人気だったそうで、

この人気に応えてフォーエバーヤングはBCクラシックを優勝したのだった。

日本調教馬、そして日本産馬がダート競馬の世界チャンピオンになったわけである。


当然これは藤田オーナー、矢作厩舎、坂井騎手の偉業でもあるけど、

フォーエバーヤングが走ってきたレースを振り返ると日本競馬、世界競馬にとっての偉業であることがわかる。

フォーエバーヤングが新馬勝ちの次に走ったのがJBC2歳優駿である。

このレースはJBC協会・NAR(地方競馬全国協会)肝いりのレースで、

これ自体は2歳チャンピオン決定戦ではないが、全日本2歳優駿の前哨戦として重要なレースであることを示したわけである。

大井の3歳ダート三冠初年でもあったが、UAEダービーを目指したことで東京ダービーは見捨てられたが、

三冠最終戦のジャパンダートクラシックには出走して優勝、

ヨーロピアンスタイルのダート三冠の面白さを示した。(cf. ヨーロピアンスタイルの3歳ダート三冠)

Road to JBC(昨年のジャパンダートクラシック、今年の日本テレビ盃)をBC前哨戦に使われる屈辱もありつつ、

NARと各主催者が築いてきたダートグレード競走の体系があったからこそ、

フォーエバーヤングは日本ダート競馬のチャンピオンとして挑戦できたわけですよね。


日本ダート競馬のチャンピオンがアメリカに殴り込めるのも、

ドバイワールドカップデー、特にUAEダービーの存在は大きい。

当然フォーエバーヤングにとってもケンタッキーダービーの出走権を取ったレースでもあるけど、

2016年にUAEダービーをステップにアメリカ三冠を完走したラニの活躍も大きいわけですよね。

ドバイワールドカップデーも最近はアメリカからの遠征馬が寂しいという話はあるが、

そんな中で地元馬とともにダートのレースを盛り立てているのが日本からの遠征馬であることは確かである。

ダート競馬の本場、アメリカから一線級の馬が来ないのにワールドカップなんて……

言われかねないところでこのように活躍馬を出せたことは大きい。


あと、サウジカップデーもそうですよね。

UAEダービーの前に走ったサウジダービーもそうですが、

やはり今年のサウジカップ、ロマンチックウォリアーとの死闘は今年の世界競馬の1つのハイライトである。

当地で1番人気かそれに近い人気を得た要因でもあるでしょう。

実はサウジカップは今年からBCチャレンジの指定競走(BCクラシック)になっていて、

フォーエバーヤングはこの権利を使っての参戦である。

来年からはサウジダービーはRoad to the Kentucky Derbyのヨーロッパ・中東シリーズのポイントレースになる。

同シリーズは2枠の出走枠があり、1枠は事実上UAEダービー優勝馬に与えられるが、

サウジダービーは2枠目を決める上での重要レースに位置づけられる。


そして忘れてはいけないのがブリーダーズカップそのものである。

BCクラシックがダート競馬の世界チャンピオン決定戦であることを疑う人はいないが、

基本的にはアメリカの全国チャンピオン決定戦なんですよね。

それを”World Championship”と言えるのはアメリカ人が厚顔無恥だからというわけではなく、

芝レースを中心に外国からの遠征馬が実際に多いからこそである。

そのために輸送費補助、北アメリカ産馬以外の自動エントリー制、BCチャレンジなど導入しているわけですよね。

フォーエバーヤングも父リアルスティールが種牡馬登録されていることによる自動エントリーである。


BCクラシックは9頭立て、日本の感覚で言うと少ないが……

直前でゾウリンティ(今年のKYダービー・ベルモントS優勝馬)が熱発で取消になったが、

それでもBCクラシックとしては豪華メンバーという評判だった。

当地でも日本でもフォーエバーヤング、フィアースネス、シェラレオーネの4歳馬3頭が人気上位、

この3頭が評判通りに上位独占、チャンピオンこそフォーエバーヤングに持って行かれたが、

フィアースネスも迫り、これなら仕方ないと思える勝負だったのでは。


BCクラシックがダート競馬の世界チャンピオン決定戦であることが日本のファンに広く認識されたのは、

2021年にラヴスオンリーユー(F&MT)とマルシュロレーヌ(ディスタフ)を連れてきた矢作厩舎の功績も大きい。

一昔前なら世界チャンピオンといえば凱旋門賞であると疑ってなかったでしょうから。

当然、この認識は時代を追うにつれて変わっていって、

それこそ香港スプリントを勝つのは凱旋門賞より難しいと思われた時代もあったんですがね。

NARを初めとする関係者の努力により日本でのダート競馬の地位が高まったからこそですが。


芝だと世界チャンピオン決定戦ってなんだろうとなるわけですが、

ジャパンカップは芝長距離の世界チャンピオン決定戦であると主張していきたい。

凱旋門賞はもう世界チャンピオン決定戦とは言えないのでは?

というのは今日のBCターフでも思ったんですよね。

優勝馬が障害から転向したエシカルダイアモンドというのは異質としても、

上位5頭がせん馬、すなわち凱旋門賞に出走資格のない馬である。

玉がないのでジャパンカップへ

凱旋門賞が「牡馬・牝馬限定」であることは必ずしもダメなことではないが、

ヨーロッパにおける芝長距離路線の地位低下を表していることは確かである。

一方のジャパンカップ、地元馬が上位独占で国際競走という感は薄いが、

それは日本の芝長距離路線の充実度が高いからですよね。


ところで冒頭の話に戻るのだが、日本で1日にG1レースを複数やることは基本的にはない。

JBC開催については1日に3つのG1級レースが行われるのと、

中山大障害とホープフルステークスが同日開催になることもあるのとそれぐらいである。

ジャパンオータムインターナショナルなど国際競走シリーズを組んでも、

香港国際競走、ドバイワールドカップデー、ブリーダーズカップのように複数頭まとめて遠征とはいかないんですよね。

これは日本の国際競走で外国からの遠征馬が充実しない理由として言われることもある。

これは日本競馬の特殊な事情があって、それはG1レースの馬券が売れまくる、それこそケタ違いである。

このため同日に複数のG1レースを開催して売上を分散させたくないと。

香港競馬も馬券売上は多いが、香港国際競走デーにしても、国際競走よりハンデ戦の方が馬券が売れる。

このため、同日に4つのG1レースを開催してもあまり問題が無いという。

有馬記念を筆頭にチャンピオン決定戦で馬券を買って熱狂する日本の競馬ファンはそれはそれですごいということで。