JR東日本は来年3月から運賃を値上げする。
現状は割安な山手線・電車特定区間含めて、本州3社の中では最も高い水準になる。
JR西日本は環状線・電車特定区間の運賃を統合して範囲を拡大する運賃改定を行うが、
この変更自体は値上げ・値下げ双方あり中立な運賃変更である。
(ただし、同時に鉄道駅バリアフリー料金の適用範囲が広がるのでこの分は増収になる)
これに対してJR東日本は全線値上げ、特に山手線・電車特定区間の値上げ幅が大きい。
信じがたいことだが、利用者の多い関東圏は投資額も大きく費用がかさむとのことである。
あくまでもこれはJR東日本のみで、東京~熱海は在来線を利用する場合は値上げ、
東海道新幹線を利用する場合は据え置き、すなわち在来線より割安となる。
現在はこの区間の在来線・新幹線のきっぷの売り分けは曖昧だが、
今後は明確に指定してきっぷを販売することになる。
多くの場合は気にしなくて良くて、新幹線の特急券と一緒に買えば新幹線経由、
近距離券売機で買ったり、在来線特急券と一緒に買えば在来線経由の乗車券が出る。
今は近距離券売機で買った乗車券に新幹線特急券を付けて乗るとか、
新幹線に乗るために買った往復乗車券の かえり券で在来線に乗るとか、
そういうことも可能だが、来年3月からはそういうことは難しくなる。
それに関連して運賃計算ルールも一部変更があるようで、そのパブリックコメントが出ているという話があった。
東日本旅客鉄道株式会社及び東海旅客鉄道株式会社からの旅客運賃の上限変更(計算方法及び適用方法の変更)認可申請について (e-GOV)
東京都区内・東京山手線内発着の場合のルール変更といわゆる電車大環状線のルール変更からなる。
後者の変更は運賃計算の影響がそこそこある変更である。
東京都区内・東京山手線内発着の場合のルール変更は、
200km以上の乗車券は東京都区内、100km以上200km未満のきっぷは山手線内発着のきっぷとして出る。
これらは東京駅までの運賃で範囲内はどこで乗降してもよいが、
この東京駅までの運賃の決め方に追加ルールを設けるというもの。
東海道新幹線で東京都区内・山手線内に出入りする場合は東京駅まで新幹線、
在来線の東海道本線で出入りする場合は東京駅まで在来線で計算するというもの。
すなわち大阪市内~東京都区内を東海道新幹線経由で買う場合の運賃は従来通りということである。
これで従来通り、品川・東京から他線に乗り換えてよい。
いわゆる電車大環状線のルール変更は、
東京~品川の東海道新幹線は電車大環状線の特例を適用しないというもの。
電車大環状線の特例は山手線周辺の指定区間を通過する場合、
この範囲内のルートを指定せず最短ルートの運賃で計算するというもの。
なお、指定区間には 錦糸町~秋葉原・東京、赤羽~池袋・田端、赤羽~尾久~上野を含む。
例えば、立川方面から新宿を経て東海道新幹線に乗るとすると、
大きくは東京駅で新幹線に乗り換えるか、新宿~品川を山手線に乗り新幹線に乗り換えるかの選択になる。
現在はこれを選ぶ必要はなく、後者が最短ルートなので一律こちらの運賃になる。
実用性は乏しいが、新宿~池袋~東京と回って東京駅から乗るとか、
新宿~錦糸町~品川と回って品川駅に乗るとかしてもよい。
いずれの経路でも途中下車は認められる。これが現在のルール。
在来線・東北新幹線は従来通りだが、ここから東海道新幹線が除かれると、
東京駅から新幹線に乗るか、品川駅から新幹線に乗るかを明確に決める必要がある。
東京駅から新幹線に乗る場合、立川方面~新宿~東京~名古屋方面で運賃計算する。
一方で品川駅から新幹線に乗る場合は、立川方面~新宿~渋谷~品川~名古屋方面 で運賃計算する。
この場合、在来線に限れば従来通りの電車大環状線の特例が適用されるので、
在来線で新宿~東京~品川と乗ること自体はかまわない。
東日本管内と他社をまたがる場合、幹線運賃+東日本加算で運賃計算するが、
品川駅から新幹線だと幹線運賃部分は従来通り、立川方面~品川の東日本加算だけ値上げにになるが、
東京駅から新幹線だと従来より遠回りなルートでの運賃計算となり、
幹線運賃部分が従来より高くなる可能性がある。
これにさらに立川方面~東京の東日本加算が加わる形である。
というわけで思いのほか値上げ幅が大きいかもしれないわけである。
従来のルールがおかしかったのでは? と言われればそんな気もするけど。
横浜~赤羽を上野東京ライン経由で乗るか、湘南新宿ライン経由で乗るか、
こういう列車の都合に合わせて乗り方が変わるのをカバーする特例という側面もあるが、
明らかに不合理なルートが選べたり、変なルールでもある。
あとは在来線だと東京近郊区間の特例でカバーできる部分も多い。
途中下車を認めない代わり最安ルートの乗車券で範囲内のどのルートでも選択できるルールである。
(あえて高いルートの乗車券を買って安いルートを乗ることもできるが合理性はない)
ただ、今まで知らず知らずのうちに恩恵受けてた人は多いんですよね。
さて、ところで東京都区内・山手線内発着の追加ルールを見て、
横浜市内発着だとどうなるんだろう? と気になった人はいないだろうか。
現在は名古屋市内~横浜市内の乗車券は、新幹線経由も在来線経由も同額である。
でも、今後は在来線は熱海~横浜で東日本加算が入り高くなる。
そこで冷静に新幹線で新横浜まで乗車して、中心駅の横浜駅までの運賃と考えると、
あれ? 名古屋~(新幹線)~新横浜~横浜 というルートになるのでは? と。
じゃあ現在、同額なのはなぜ? という疑問が出てくるわけである。
明示的なルールはないのだが、現在は新幹線で横浜市内に入る場合は、
新横浜駅を中心駅とみなして運賃計算が行われている。
このルールはおそらく変わらないので、新幹線経由の名古屋市内~横浜市内の運賃は変わらないとみられる。
前提として、小田原~新横浜と小田原~横浜の営業キロは同じである。
名古屋~(新幹線)~小田原~横浜 と 名古屋~(新幹線)~小田原~新横浜 は運賃計算上等距離、
現在はどちらも同じ運賃表を適用するので同額になっている。
来年3月以降は前者は東日本加算があり、後者は加算なしとなる。
この考えは新神戸駅のある神戸市内にもあてはまり、
新幹線で神戸市内に入る場合は新神戸駅を中心駅とみなして運賃計算をしている。
西明石~新神戸と西明石~神戸、新大阪~新神戸と新大阪~神戸は等距離である。
神戸駅って影が薄いけど、一応は神戸市内の運賃計算の基準駅ですよ。
このあたりはなるほどという感じもあるのだが、
山陽新幹線から大阪市内に入る場合の運賃計算の基準は、
どうも新神戸駅から営業キロで33.1kmの山陽新幹線上の地点らしい。
旅客営業規則第86条及び第88条に係る”仮想大阪駅特例” (note)
在来線経由で西明石~大阪の距離と、西明石から新幹線で上記地点までの距離は同じ、
この地点を基準とすることで、広島市内~大阪市内は在来線経由も新幹線経由も同額になる仕組みである。
同様のルールは「大阪・新大阪」発着のきっぷにもあてはまる。
大阪市内発着にならない姫路より遠方との利用で適用され、典型例は岡山~大阪・新大阪である。
在来線経由だと大阪駅までの運賃で新大阪まで乗ってもよいとなるが、
新幹線経由だと新神戸駅から33.1km地点までの運賃(在来線と同額)で、
新大阪で降りるか、乗り換えて大阪駅まで乗ってよいという意味になる。
東京都区内・山手線内発着の追加ルールはこういう話とは違うけど、
新幹線・在来線を問わず運賃計算上の距離は同じという点は共通する。
東日本管内の加算があるかないかという違いはあるので区別する、
東海道新幹線経由で買えば変わらないという点では理解しやすい。
横浜市内・東京都区内・山手線内で在来線に乗り換える場合も含む。
というわけで難しいねという話だった。
実はこの話に関係して変な話を見つけたのだけど、
東海道新幹線の東京~熱海には適用されないかもしれないので、それはまた気が向いたら。
これだけでも大概混乱する話だが、さらに変な話である。